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読書ノート

2013-11-11

p.393

今から思い返すに、国家を後退させる改革に伴って、われわれの念頭から、国家意識までも次第に後退していったような気がします。

[松永和夫「国家を問い直す」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.393]

ISBN:9784779505133

pp.389-90

(大屋)伝統的共同体を壊した後にしか、国家という共同体は生まれなかったのでは(…)だから、共同体をつくったり壊したりしながら、バラエティを変えて新しいことをやる(…)

中野 その点で日本にとって有利なのは、(…)河野有理さんが発表された(…)日本のイエというのは実は血縁ではなかった、ということがある(…)ゲマインシャフトではなく、ゲゼルシャフト(…)だから、共同体をつくりかえるということについては、実は日本は他の国よりも容易かもしれません。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.389-90]

ISBN:9784779505133

p.383

(萱野)言論や概念、理屈、あるいは価値の創造(…)そういったときに要求されるコミュニケーション能力(…)自信をもって外の荒波にでていって自分の意見を述べたり交渉したりするためには、内側の共同体のレベルで承認されていることが不可欠

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.383]


ISBN:9784779505133

p.381

(大屋)アジア通貨危機のときに市場経済導入直後のモンゴルを大不況が襲った(…)そこに氷点下三十度の冬(…)だけど、誰一人移住もしなければ、死ぬこともなかった。(…)親族に誰か一人は遊牧民がいて、そこから肉はもらえる(…)暖房は街全体がセントラルヒーティング(…)だから大不況の真冬でも、誰も死ななかった。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.381]

ISBN:9784779505133

p.371

(萱野)世界資本主義の覇権国は、みずからが特権的に活用できる空間をつねに確保することによってそのヘゲモニーを確立してきました。(…)イギリスは(…)海(…)アメリカは空(…)コンピューターを通じてIT空間や金融空間とむすび(…)軍事的に支配しつつ、お金が流れて情報が流れる空間をみずから特権的に活用できるよう な環境を世界に確立しようとしてきた(…)そのための方便が、おそらくはネオ・リベラリズムだった。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.371]

ISBN:9784779505133

p.368

(松永局長)議論を、国民とともに行っていく必要があると思う。日本国民の知的レベルは国際的にも十分に信頼が置ける水準にある。ただ、そういう議論を、いままではする必要がなかった(…)が、これからはもっとしていかないと、国の行方を誤る。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.368]

ISBN:9784779505133

pp.366-7

(柴山)いまはネイション・ステイトというものが、一見すると消えていくように見える(…)が、国際関係が危機になればかならず主権国家の原理が出てきますから、(…)ネイションの巻き返し、再ナショナライゼーションのような動きが、かならず出てくるだろうと(…)しかもそれは、かなり悲劇的な(…)これまでの戦争とは桁違 いのことが起こる可能性があるわけです。

(…)

(大屋)いわゆるジュネーブ条約(…)や、ハーグ陸戦条約(…)もはやそういうルールにもとづく戦争ができなくなったとすれば、もう一度市民どうしの殴りあいに戻っていってしまうということ(…)ルワンダの内戦みたいなことを世界中がやり出す(…)そういう嫌な予測もできると思います。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.366-7]

ISBN:9784779505133

p.366

(柴山)一九五〇年代のアメリカで、いわゆる経済成長論というものが出てくる(…)これは冷戦下の特殊な歴史的背景のもとで生み出された学問分野(…)ですから、先進国がこれから低成長化していくという状況そのものは、ある意味では元に戻るということ

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.366]

ISBN:9784779505133

p.365

(大屋)たとえば仲裁法を改正するときに、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)のつくった国際的なモデル法と一字一句同じでないと、(…)一条でもずらしたら国際社会から批判されるという状況(…)国連が立法権力をもっていってしまったのか。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.365]

ISBN:9784779505133

p.363

(大屋)戦前一時期、多民族化しかけた、つまり搾取構造を抱え込むような形で(…)しかしそれを敗戦によってやめさせられた。すると結局、国家とは何なのか、国民とは何なのかという観念、あるいは(…)「国民たる資格」とは何なのかというような問題についての意識が、非常に曖昧なまま経過してきた。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.363]

ISBN:9784779505133

p.363

(大屋)いまがターニング・ポイントだというのは、おそらく間違いない。日本にとっての問題は、幸か不幸か、それがグローバルなだけではなく、日本にとっての大きなターニング・ポイントとも重なってしまったということだと思います。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.363]

ISBN:9784779505133

pp.356-7

(中野)ちょっと前までは、グローバル化の中で国家は(すた)れる、国家論も廃れるといわれていました。ところが、現在のような危機が起きて、根源的な議論をしなければならないということで集まったとき、われわれはまさに国家を論じていた。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.356-7]

ISBN:9784779505133

2013-11-04

p.149

実証的な心理学的幸福研究もまた、争いのある哲学的前提に与することなくしては統治選択に関する限り単に的外れな営為となるほかない

[安藤馨「幸福・福利・効用」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.149]

ISBN:9784779505133

pp.146-7

諸分野では「科学化」を目指すために量的概念を経験的測定に基礎づけるべく「操作化(operationalize)」する「操作主義(operationalism)」が方法論上の主流を占め(…)経済学では(…)かつての効用(=福利・厚生)の代替物である「効用」*1を構成することになったし(28)、心理学においても研究対象とする心的実体の操作化は「常識」に属することとなった。

[安藤馨「幸福・福利・効用」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.146-7(傍線=傍点)]

ISBN:9784779505133

p.140

そもそも「幸福」が研究対象として――哲学者であれ心理学者であれ――関心を惹くのは、それが我々自身の重大な個人的関心事だからである(11)

[安藤馨「幸福・福利・効用」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.140]

ISBN:9784779505133

pp.135-6

欲求充足論に典型的に指摘される問題を「幸福な奴隷(Happy Slave)といった事例に見出すことができる。奴隷が、自由民になる見込みがない状況におかれることで、自由民になりたいという欲求を捨てて「自由民ではなく奴隷としてご主人様に良くお仕えすることこそが私の幸福なのだ」といった信念やそれに伴う欲求を形成する。こうした――しばしば暴力的に強いられた――状況に適応して形成された欲求の充足が、果たして彼の福利だといえるのだろうか(適応的選好形成の問題)(5)

[安藤馨「幸福・福利・効用」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.135-6]


ISBN:9784779505133

p.131

福利は「自己利益(self‐interest)」の源泉であり「賢慮(prudence)」の窮極的対象である(このため福利はしばしば「賢慮的価値prudential value」とも呼ばれる)

[安藤馨「幸福・福利・効用」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.131]


ISBN:9784779505133

p.164

不法就労においては、活動の内容が違法なのではなく、当該職種に就くことそのものが入管法上問題になるわけだが、(…)治安を悪化させるというような印象につながることがある。

[浦山聖子「外国人労働者の受け入れは、日本社会にとってプラスかマイナスか」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.164]

ISBN:9784779505133

p.158

井口泰は、日本の外国人労働者の受け入れをめぐる論争を二つの時期に区別し、(…)「第一の論争*2」がジャーナリズムにおけるものに終始し、政策の基本方針に影響を及ぼすことがなかったのに対し、 「第二の論争*3」が政府や経済界を席巻する様子を指摘している(11)

[浦山聖子「外国人労働者の受け入れは、日本社会にとってプラスかマイナスか」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.158]

ISBN:9784779505133

pp.157-8

二〇一〇年三月に法務省が公表した「第四次出入国管理基本計画」では、今後、高度に専門的な知識や技術、技能を有する外国人について、日本もポイント制(8)を実施し、(…)優遇措置を行うことや、(…)医療関係の資格を持つ外国人への就労年数制限を撤廃することなどが提案されている(9)

[浦山聖子「外国人労働者の受け入れは、日本社会にとってプラスかマイナスか」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.157-8]

ISBN:9784779505133

p.157

二〇〇八年末現在の外国人登録者数は二百二十一万七千四百二十六人(…)在留資格別の内訳(…)就労を目的とする在留資格を持つ者は(…)全体の一割に満たない(6)。多くの外国人が、就労以外を目的とした在留資格を持ちながら、中小・零細企業において働くという状態が続いている。

[浦山聖子「外国人労働者の受け入れは、日本社会にとってプラスかマイナスか」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.157]

ISBN:9784779505133

p.202

人民団のある部分(統治者)だけが「徳」を装備するという(…)徹底的に〈身も蓋もない〉枠組みを採用することによってこそ、「庶民の目線」という低劣な欲情にまみれたクリシエが統治論へと浸透してくることを、あらかじめ封じ込めることができる。

 このような、(…)議論を極めて精緻かつ壮大な体系の下、永らく議論して来た知的蓄積は、実のところ我々の足下に存在している。それは、儒学を中心とした東アジア世界における政治思想の歴史的蓄積である。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.202]


ISBN:9784779505133

p.200

この「徳(virtue)」が何であるのか、そして、それがどのようにしたら涵養されるのかは、必ずしも明らかではない(むしろ「謎」である)

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.200]

ISBN:9784779505133

p.199

教育者として狭義のリベラル=如何なる特定の善の構想にもコミットしない完全な中立者であり続けることは極めて困難であるように実感される。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.199]

ISBN:9784779505133

p.198

「社会的包摂」の観念は、「社会」の「国家」に対する依存を低減させるためにこそ、国家が「社会投資国家(social investment state)」として社会に介入し、「社会を分厚くする」ことを目指すものである。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.198]

ISBN:9784779505133

p.197

宮台自身の言葉を借りるならば、要するに、八〇年代以降、「対米従属」と「国土保全」が両立し難くなったのである。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.197]

ISBN:9784779505133

p.196

「スプロール・バスターズ(sprawlbusters)」という市民運動(…)全国規模のチェーンストアの増殖が地域経済を破壊すること、あるいは「独立商店主」が「雇われ人や単なる店員」に置き換えられることによって地域社会における「自己統治」が浸食されることなどを主張し、(…)反対して行われるものである。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.196]

ISBN:9784779505133

p.196

社会的分断が非常に切迫した問題として喧伝され(…)格差問題とともに「安心・安全」といった標語の下、治安問題があからさまに語られるようになったことなどを想起されたい。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.196]

ISBN:9784779505133

pp.193-4

二〇〇一年から六年間の(…)小泉政権(…)特定の政権に対して「リバタリアン的(11)」であるというラベリングがなされたのを、筆者は、この政権で初めて目にした。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.193-4(傍線=傍点)]

ISBN:9784779505133

pp.191-2

 アメリカ合衆国政治史における「共和主義」モチーフの横溢は、古典古代期のギリシャ・ローマへと遡ろうとする強力な意志によって裏付けられているが、(…)一面において、それは自らの歴史の浅さを補おうとする強迫観念を露呈させつつ、他面に(…)政治共同体のアイデンティティに関わる、広く、そして深く浸透したひとつの傾向性を示してもいるのである。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.191-2]

ISBN:9784779505133

p.189

 一見、夢物語かとも見紛う、この「無政府資本主義」は、(…)二〇〇三年からのイラク戦争において「民営軍事請負企業(privatized military firm)(4)」にアウトソーシングされていた事実に目を向けるなら、あながち机上の空論でもないことが理解されるだろう。

[谷口功一「共同体と徳」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.189]

ISBN:9784779505133

*1:「主体の選好順序の数値表現のことを指すものとなっており、いまやこれこそが標準的な用法である」(p.146)

*2:「一九八〇年代後半から一九九〇年代前半(…)いわゆる単純労働者」

*3:「一九九七年の「少子化ショック」を受けて、一九九八年以降、特に経済界における(…)提起」

2013-11-03

p.243

現実の地域産業政策は、依然として経済成長を最優先する既存のパラダイムに捕らわれ(…)しかも、それがために、福利どころか経済成長すら達成できないという皮肉な結果に陥っている。(…)「オルタナティヴ・ヴィジョン」の実践は、可能性があるというだけでなく、必要性があるのである。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.243]

ISBN:9784779505133

p.241

リレーションシップ・バンキングは、金融市場の不安定化や危機に際して、中小企業などに安定的な資金を供給し、地域経済を安定化させる役割を果たす。(…)行政による金融機関の適切な監督・指導が不可欠である(…)ことから、金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に「地域密着型金融の推進」の項を設けている(22)

(…)

(22) アメリカ(…)地域社会再投資法(Community Reinvestment Act)(p.246)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.241]

ISBN:9784779505133

p.239

村松岐夫は、綿密な実証分析によって、日本が中央集権国家であるとする説を否定している。(…)法制度の上では確かに集権的であるが、地方は実質的な自治を持っている。(…)日本の中央政府は、地域の社会関係資本の発達を阻害するほど中央集権的であるとは言えないのである。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.239]

ISBN:9784779505133

pp.238-9

フランシス・フクヤマ(…)狭い範囲内のつながりによって生まれた社会関係資本は閉鎖的で内向的になりがち(…)国家が(…)地域を超えた広い視点を与えることが重要

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.238-9]

ISBN:9784779505133

p.238

ピーター・エヴァンス(…)国家がより弱体で消極的になっていくと、自主的な中間組織がその目的を達成することが難しく(…)また、社会関係資本が豊かになれば、国家政策はより効果的になる(9)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.238]

ISBN:9784779505133

p.238

シーダ・スコッチポルによれば、アメリカでは、連邦政府と州政府が自主的組織・宗教法人・非営利法人に対して補助を行ったり、協調・連携(…)形成に大きな役割を果たしてきたという。

二十世紀に形成された自主的な中間組織は、しばしば政府がトップダウンで形成を促進してきたのであり、市民社会を政府と対立するものとして理解すべきではない(8)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.238]


ISBN:9784779505133

p.237

戦後の地域産業政策の変遷は、経済成長を至上目的とする政策の限界が次第に明らかとなり、(…)活性化のためには、地域内在する社会的価値や社会関係資本が重要であることが認識されるようになっていくプロセスであった。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.237]

ISBN:9784779505133

p.237

戦後の地域産業政策の歴史は、経済成長そのものを政策の目的とすると、地域社会の個性的な発展に失敗するばかりでなく、経済成長という結果すら出せないことを示している

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.237]

ISBN:9784779505133

p.233

地域産業政策は時代の変化に応じて変貌(…)だが、いずれも地域の外からの産業振興で、内発的な発展という面を軽視していた点で、共通の弱点を持っていた(4)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.233]

ISBN:9784779505133

p.341

本来商品として市場で自由に売買されることを想定されていない擬制商品としての貨幣のもつ可能性について、再度考えてみる必要があるだろう。(…) 自己調整的であるためには生産要素のすべての市場が存在する必要がある一方で、まさに本来商品ではない労働・土地・貨幣にまで市場が拡張することによって、究極的には自己調整的市場自体を掘り崩してしまう

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.341]

ISBN:9784779505133

p.340

異なる社会が市場を構築するさいの「実証的なバリエーションは、それぞれのやり方(…)異なった埋め込みの取り決め」をめぐるものなのだ(36)

(…)異なった制度的取り決めの可能性に注目することで、イデオロギー論争を回避すること(…)たんに英米型を仮定するものとは異なる規制の方途について考えていくことが可能となる。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.340]

ISBN:9784779505133

p.337

戦後国際経済秩序は米(英)型の資本主義がそのまま国際領域に投影された秩序であり、今日においては、グローバル化にともなうネオリベラルなイデオロギーによってそれがさらに推し進められたとすらいえる。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.337]

ISBN:9784779505133

p.337

より制度的な視座からみると、「埋め込まれた自由主義」は、国家の役割についての諸国間合意である「社会的目標の一致」というかたちで正当化が付与されるという意味において、覇権安定論のより洗練された理論として捉えることもできよう。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.337]

ISBN:9784779505133

pp.336-7

W・M・スキャンメルの言葉を借りるならば、IMFの目的と活動は、もともとケインズとホワイトによって想定されていたものから、米国の「自由化目標」へと移り変わっていった(…)

ブレトン・ウッズ体制は国際通貨システムとして大きな問題を抱え(…)深刻化する国際収支の赤字とあわせて、自由化を促進するという従来の立場に米国を引き戻したのである。

 これは米国が覇権国として、十九世紀と同様の開かれた自由主義的な国際経済秩序を築いたとする、(…)「覇権安定論」に通じるものである(25)

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.336-7]

ISBN:9784779505133

p.332

「(…)歴史を忘れることは……過去に経済的政治的混乱を促したような条件を整えてしまうというリスクをともなう」のである(8)

(…)

(8) Jonathan Kirshner,(…)またJacqueline Best,(…)(p.344)

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.332]

ISBN:9784779505133

p.329

このグローバル金融危機*1 は、ともすると市場が平静さを取り戻すにつれて資本主義の今日的展開について再検討を求める声がかき消されていった、アジア金融危機とそれに続く国際金融アーキテクチャーをめぐる論争が辿った道を繰り返すのかもしれない。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.329]

ISBN:9784779505133

*1:「二〇〇八年九月のリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した金融危機」(p.328)