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読書ノート

2013-11-11

p.393

今から思い返すに、国家を後退させる改革に伴って、われわれの念頭から、国家意識までも次第に後退していったような気がします。

[松永和夫「国家を問い直す」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.393]

ISBN:9784779505133

pp.389-90

(大屋)伝統的共同体を壊した後にしか、国家という共同体は生まれなかったのでは(…)だから、共同体をつくったり壊したりしながら、バラエティを変えて新しいことをやる(…)

中野 その点で日本にとって有利なのは、(…)河野有理さんが発表された(…)日本のイエというのは実は血縁ではなかった、ということがある(…)ゲマインシャフトではなく、ゲゼルシャフト(…)だから、共同体をつくりかえるということについては、実は日本は他の国よりも容易かもしれません。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.389-90]

ISBN:9784779505133

p.383

(萱野)言論や概念、理屈、あるいは価値の創造(…)そういったときに要求されるコミュニケーション能力(…)自信をもって外の荒波にでていって自分の意見を述べたり交渉したりするためには、内側の共同体のレベルで承認されていることが不可欠

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.383]


ISBN:9784779505133

p.381

(大屋)アジア通貨危機のときに市場経済導入直後のモンゴルを大不況が襲った(…)そこに氷点下三十度の冬(…)だけど、誰一人移住もしなければ、死ぬこともなかった。(…)親族に誰か一人は遊牧民がいて、そこから肉はもらえる(…)暖房は街全体がセントラルヒーティング(…)だから大不況の真冬でも、誰も死ななかった。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.381]

ISBN:9784779505133

p.371

(萱野)世界資本主義の覇権国は、みずからが特権的に活用できる空間をつねに確保することによってそのヘゲモニーを確立してきました。(…)イギリスは(…)海(…)アメリカは空(…)コンピューターを通じてIT空間や金融空間とむすび(…)軍事的に支配しつつ、お金が流れて情報が流れる空間をみずから特権的に活用できるよう な環境を世界に確立しようとしてきた(…)そのための方便が、おそらくはネオ・リベラリズムだった。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.371]

ISBN:9784779505133

p.368

(松永局長)議論を、国民とともに行っていく必要があると思う。日本国民の知的レベルは国際的にも十分に信頼が置ける水準にある。ただ、そういう議論を、いままではする必要がなかった(…)が、これからはもっとしていかないと、国の行方を誤る。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.368]

ISBN:9784779505133

pp.366-7

(柴山)いまはネイション・ステイトというものが、一見すると消えていくように見える(…)が、国際関係が危機になればかならず主権国家の原理が出てきますから、(…)ネイションの巻き返し、再ナショナライゼーションのような動きが、かならず出てくるだろうと(…)しかもそれは、かなり悲劇的な(…)これまでの戦争とは桁違 いのことが起こる可能性があるわけです。

(…)

(大屋)いわゆるジュネーブ条約(…)や、ハーグ陸戦条約(…)もはやそういうルールにもとづく戦争ができなくなったとすれば、もう一度市民どうしの殴りあいに戻っていってしまうということ(…)ルワンダの内戦みたいなことを世界中がやり出す(…)そういう嫌な予測もできると思います。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.366-7]

ISBN:9784779505133

p.366

(柴山)一九五〇年代のアメリカで、いわゆる経済成長論というものが出てくる(…)これは冷戦下の特殊な歴史的背景のもとで生み出された学問分野(…)ですから、先進国がこれから低成長化していくという状況そのものは、ある意味では元に戻るということ

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.366]

ISBN:9784779505133

p.365

(大屋)たとえば仲裁法を改正するときに、UNCITRAL(国連国際商取引法委員会)のつくった国際的なモデル法と一字一句同じでないと、(…)一条でもずらしたら国際社会から批判されるという状況(…)国連が立法権力をもっていってしまったのか。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.365]

ISBN:9784779505133

p.363

(大屋)戦前一時期、多民族化しかけた、つまり搾取構造を抱え込むような形で(…)しかしそれを敗戦によってやめさせられた。すると結局、国家とは何なのか、国民とは何なのかという観念、あるいは(…)「国民たる資格」とは何なのかというような問題についての意識が、非常に曖昧なまま経過してきた。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.363]

ISBN:9784779505133

p.363

(大屋)いまがターニング・ポイントだというのは、おそらく間違いない。日本にとっての問題は、幸か不幸か、それがグローバルなだけではなく、日本にとっての大きなターニング・ポイントとも重なってしまったということだと思います。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.363]

ISBN:9784779505133

pp.356-7

(中野)ちょっと前までは、グローバル化の中で国家は(すた)れる、国家論も廃れるといわれていました。ところが、現在のような危機が起きて、根源的な議論をしなければならないということで集まったとき、われわれはまさに国家を論じていた。

[「討議『経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』をめぐって」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.356-7]

ISBN:9784779505133

pp.198-9

「先んずれば人を制す」か、「急いては事を仕損じる」か。(…)どちらが有利(…)

そもそもどちらが有利か、という質問自体がナンセンスである。どちらが有利かは、そのときの状況によって変わる。ましてや、状況のわからない見知らぬ土地では、どちらが有利かは結果論でしかないのだ。どちらを選んでもリスクがあるならば、どちらも選ぶ両がけ戦略を選ぶことが唯一の正解である。

(…)性格の異なる二つの種子があるからこそ、どんな環境でも克服できるのだ。限られた価値基準で優劣をはかることはできないのである。

[稲垣栄洋・三上修 「身近な雑草の愉快な生きかた」 pp.198-9]

ISBN:9784480428196