Easy Reading

(非)日常(通常の日記)へ
鴉とオレンジ(HP)へ
2005 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 10 |

2006-2-28

[]荒野の恋 第二部 bump of love (ファミ通文庫) 著:桜庭一樹 絵:ミギー

ああもう、どうしてこんなに桜庭一樹の少女セカイ小説は面白いんだろう。1巻の出来から期待値は高かったのだけど、それすらも飛び越えてしまった。恋に直面しておびえる荒野の繊細かつ多感な様子を、無駄に文章を積み重ねることなく見事に書ききっている。前に、桜庭一樹は感性で小説を書いている……というような事を言った気がするのだけど、この作品はまさにそれ。だけど、感性そのものが昔(多分、赤×ピンクくらいの頃)よりずっと研ぎ澄まされているし、感性に頼り切って話が崩壊してしまうギリギリのラインを完全に見切っている。ここら辺、桜庭一樹は本当に上手いなぁ。

1巻が面白かった人には文句なくオススメだし、他にも純粋少女小説を読みたい人にも是非読んで欲しい作品。完結編となる次巻は15歳の話だそうで。またずいぶん間が空くのだろうけど超期待。

 評価:★★★★

2005-11-17

[]少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア) 著:桜庭一樹

砂糖菓子の二番煎じ。確かに桜庭一樹のガールミーツガールものは好きだし、この作品も面白かったけど、……うーんこれはちょっと……。

14歳の大西葵は、クラスメイトの宮之下静香と仲良くなる。それが、二人の人間を殺害することに繋がっていく――。要するに、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない解体し、今度は少女が殺人する側という切り口で再構成したもの。初の一般向け作品と言うことで期待していたんだけど、その期待値からすると随分物足りない。葵が殺人を犯す緊迫感や、静香殺人者としての書き方も上手いんだけど、結局は砂糖菓子の焼き直しというイメージが終始ついてまわっていて、それが期待ほど楽しめなかった要因か。プロローグの絶望感も、迷路のどん詰まりにはまったようなハッピーなのかそうでないのか分からないラストも◎。だけど、先に砂糖菓子がある以上、その鮮烈さも二回目では希釈されてしまう罠。別に砂糖菓子に出来が劣っているというわけじゃないんだけど……単に順序の問題かな。

これはこれで面白いというのは本当。だけど、先に砂糖菓子を読んでいた身だとどうしてもあちらと比べてしまったという罠。過ぎた思い出は美化されるというのは本当ですね。

 評価:★★★☆

2005-10-16

[]ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA) 著:桜庭一樹

………うーん………。なんだかよく分からないままに読了桜庭一樹は基本的に感覚で小説を書く人だと思っているけど、これはその極み。合う人にはかなりいいんだろうけど……。

魔女裁判の世界での話<第一の箱庭>、近未来グラフィックデザイナーの話<第二の箱庭>、そして主となる少女の話、という三部構成。第一の箱庭での緊迫感・異様な雰囲気に、これはかなりレベルの高い作品なんじゃないかと思った。第二の箱庭は、話はそれほどでもなかったけどゴシックバーチャル世界の雰囲気はやはり良かった。そして軸となる三番目の話は……。うん、一言で言うと合わなかった。今時の女子高生の一人称で綴られる話なんだけど、正直いまいち彼女とふれ合わない。んで、ふれ合うことのないまま突っ走られてしまって、置いてけぼりのまま読み終わってしまった。そして軸となる話が合わない以上、第一の箱庭も第二の箱庭も相対的に合わないものとなってしまう。なぜなら、どちらの話も、結局は軸となる話を語るためにある、準備期間のようなものだから。青井ソラは携帯を通して世界と繋がれたけど、私はこの小説の世界とは繋がれなかった。ただ、それだけのこと。

……とまあ色々言ったけど、私には合わなかった、の一言で終わっちゃうのが事実桜庭一樹の少女一人称の小説で合わないという時がくるとはなぁ。あと、一つだけ。村上春樹チルドレンの匂いがした。

 評価:★★☆

2005-7-03

[]荒野の恋〈第1部〉catch the tail (ファミ通文庫) 著:桜庭一樹 絵:ミギー

 本当にこの路線の桜庭一樹は当たりばかり。『赤×ピンク』然り、『推定少女』然り、『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』然り。当然この作品も外れな訳がない。

 今までに比べて文章が幼い気がして(というか他のに比べると下が白い)第一章の半ばまでは特に面白いとは思わなかったけど、それ以降はじわじわと面白くなってくる。人物の立ち位置はこれ以上ない、というほどはまってる。荒野の心理描写は言わずもがな。甘さと痛さが絶妙にブレンドされた雰囲気にはまるともう抜けられない。久々に恋愛小説でドキドキしたな。そして読み終わったあとの熱っぽい酩酊感。素敵。あとイラストが非常に良いですね。カラーを見た時は特に思わなかったんだけど、モノクロの柔らかさが小説マッチしていて。

 金がなかったのと恋愛ものだと聞いて発売当初は回避したのですが、やっぱり買って良かった。でもお金がないのは不可抗力だからね! お金って偉大。次は秋だそうで、楽しみ。

 評価:★★★★