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2006-2-16

[]レインレイン・ボウ 著:加納朋子

月曜日は水玉模様の姉妹編。月曜日~の時からイマイチ好きになれなかったけど、やっぱりこのシリーズは私には合わないみたい。その最たる原因は登場人物。どのキャラもいやに刺々しい上に悪い意味グダグダで、新境地を開拓しようとしているのかも知れないけど、それが成功しているとは言い難い。むしろマイナス。その上各ストーリー短篇サイズなせいか、ドロドロした部分を見せつけてくるくせに最後の救いが足りないから、読み終わった後今ひとつ気持ちが晴れない。ドロドロをメインにしたいのなら救いゼロでもいいわけだし、ドロドロではなくいつものような心温まる感じのを持っていきたいなら、もう少しドロドロとハートウォーミングのバランス配分を考えるべきだと思った。持ち味を殺してどうする。あ、ただ唯一栄養士のエピソードは面白かったな。どの話もあれくらい爽快感があればよかったんだけど。

月曜日は水玉模様が面白かった人なら楽しめるかも知れません。私は合わないんだなということでFAアリスシリーズはどんなもんなのかしら。

 評価:★★☆

2005-11-16

[]スペース (創元クライム・クラブ) 著:加納朋子

期待通りの良作。元々外れなしの駒子シリーズ、今回もやっぱり安牌。ああ、とてもいい話だった。加納朋子作品は素直にそう言えるから好きです。

駒子シリーズ三作目。駒子が持ち出してきた手紙と、二つのささやかな恋の話。今までの、というか加納朋子作品のほぼ全てに言えることなんだけど、この物語を包み込む優しさ・暖かさがどうしようもなく心に沁みる。その雰囲気が、特に起伏のない、言ってしまえばなんて事のない話を心地よい良作に仕立て上げている。個人的にはバックスペースの方が好みかな。もともとこういう、カップルになるまでの、いわば出会いの話が好きなのもありますが。彼女の心情を実に丁寧に書いた素敵な恋愛小説。もちろん、スペースも良好。謎云々よりも、二人の関係を少しだけ進めた。もうそのことだけでも評価できる。ミステリとしては今まで以上に大したことないんだけど、そんなこと気にしてはいけません。まあ、言わなくてもこのシリーズミステリを求めている人はそんなに居ないでしょうけど。

これ単体でも読めないことはないけど、この作品を本当に楽しめるのはやっぱり過去二作を読んだ方でしょう。過去の駒子シリーズが楽しめた人なら読むこと推奨。

 評価:★★★★

2005-10-07

[]てるてるあした 著:加納朋子

あー……、正直この本が学校図書館に入るから、その前にとささらさやを急いで読んだわけなのだけど……、こっちをささらさやより先に読むべきだったのかも。単品で考えると良作だけど、あれの続編と考えると納得できない。

借金地獄のために夜逃げして、遠い親戚のいる町・佐々良に行くことになった主人公が、町の人と触れあううちに成長していく話。ささらさやと同じく間違ってもミステリーなどではないですが、主人公の成長物語としてみると至極真っ当な出来映え。最初は主人公のかわいくないところにイライラすることもありますが、その後のカタルシスを考えるとこういう子を主人公にしたのは妥当な選択でしょう。ひねくれていた少女がいろいろな人と触れあうことで成長していく――その点では実に丁寧に書かれた良作と言えるのです。じゃあ何が不満かって言うと、終わり方。成長物語としては王道な展開なんだろうけど、続編を書くために最後に前作の登場人物を死なせるような真似はどうしても納得できない。ふつうに考えたら仕方ないし、いい終わり方だというのもわかります。だけどやっぱり許容できない。あと母親のこと。えーっと、あれで終わりですか? 昔に悲しい過去がありました。だからといってあれとかあれとか許されていいことじゃないでしょう。母親が特に何のおとがめもなしにラストに主人公と和解できて泣けるいい話風に終わって、それもすごく納得いかなかった。

全体としてみればいい作品だというのもわかります。実際(納得いかなかったけど)泣いたし。だけど自分には合わなかったと言うことで評価はこんな感じ。ささらさやの前に読むべきだったなぁ……失敗した。

 評価:★★☆

2005-9-09

[]ささらさや 著:加納朋子

ああ、実に加納朋子らしい作品。加納朋子の作品に共通しているあの優しさが前面に出ていて、加納朋子が好きな人間には非常にいい読書だった。幸せとか、心地いいとか、そんな感じ。

夫を亡くして生後間もない赤ん坊を抱えるさやと、ささらの街の住人の連作短篇集。北村薫の『スキップ』にも言えるんだけど、主人公を温かく見守る優しい眼差しが非常に心地いい。一人で生きるにはあまりにも弱すぎるさやの儚げな雰囲気と、彼女を支える周囲の人物一人一人の強めの個性が一緒になることで実に上手く調和が取れていて、そこら辺に作者の上手さを感じたり。最初と最後の章以外、全部三人称で珍しいと思ったけど、こういった方向でもちゃんと良さは失われてなくて善哉善哉。個人的にはダイヤモンドキッズがベスト。エリカのキャラはプラスな面もマイナスな面もあるけど、ラストのあの場面が涙腺を刺激する。うん、かなり泣きツボ。元々ミステリ部分の弱い加納朋子作品の中でも特に弱く感じたけど、そんなことはいいんです。ミステリ部分なんて飾りです。この雰囲気に浸り、優しい気持ちになりながら読了。ああ、いい本を読んだ。終わらせ方も実に綺麗で満足。あと微妙百合要素があって満足。

今までの加納朋子作品で気に入ったのがあったなら文句なくオススメ。良作って言葉がぴったり当てはまる作品。ミステリ部分を気にしてはいけません。だって加納朋子だし。

 評価:★★★★

2005-7-25

[]いちばん初めにあった海 (角川文庫) 著:加納朋子

 うーん、思ったより癒されない。いい話だとは思うんだけど……。

 裏表紙のあらすじに書いてあるとおり狙いすました感動路線で、実際どちらの話もラストは涙を誘うのだけど……ちょっとそれまでの過程がお粗末というか唐突というか。表題作は千波の口が利けないことが明かされるところは非常に上手で期待してたんだけど、メインの謎解きがいささか唐突で飲み込み難く、混乱してしまい肝心のラストでの感動が半減する事態に。ラストシーンは心に沁みる素晴らしいものなだけに惜しいなぁ。もうひとつの『化石の樹』は表題作で気になっていた人物のその後の話で、その人物周りに関しては大体良かったんだけど、母親がどうしても好きになれず、いまひとつ引き込まれなかった。というかあの母親の性格と言動を考えるとあの謎解きには違和感が残る。うーん納得いかない。

 どちらも感動系のいい話なだけに残念。何が残念って細かいことが気になって素直に感動できない自分が。

 評価:★★★