香雪読書録 RSSフィード

yukattiのこつこつ読書録&ブックリスト このページをアンテナに追加!

0000 | 00 |
2004 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 12 |
2005 | 04 |

2004-12-16(Thu)

『かめくん』北野勇作

[][][][] パトリシア・コーンウェル作品レビューページ更新  パトリシア・コーンウェル作品レビューページ更新 - 香雪読書録 を含むブックマーク

12/15発売の検屍官シリーズ(ケイ・スカーペッタ・シリーズ)新刊『痕跡』全二冊の情報を追加。今後は『痕跡』の感想や(まだ届いてなくて読めていません)やその他、シリーズ各作品の書影などを追加していく予定です。

パトリシア・コーンウェル著、相原真理子訳『痕跡』(講談社文庫、2004.12)
痕跡 (上) (講談社文庫) 痕跡 (下) (講談社文庫)
原題:Trace, by Patricia Cornwell(2004) ペーパーバックISBN:0425204200/ハードカバーISBN:0316854735
Amazon.co.jp(上)ISBN:4062749475/(下)ISBN:4062749483
bk1『痕跡(上)』 『痕跡(下)』

上記オンライン書店掲載情報によれば、コーンウェルは主人公ケイをフロリダ(ケイの出身地)、そしてヴァージニア(ケイが検屍局長として勤務していた場所・検屍官シリーズの舞台)というホームベースに戻して活躍させているようです。ここ数作、ケイはあちこち彷徨いすぎてましたからねえ。

2004-09-15(Wed)

『推定無罪』(上)スコッ

[][][][] スコット・トゥロー『推定無罪』読書人生に大きな影響を与えた一冊 スコット・トゥロー『推定無罪』(読書人生に大きな影響を与えた一冊) - 香雪読書録 を含むブックマーク

スコット・トゥロー? 『推定無罪』?全二冊(上田公子訳、文春文庫、1991.2、上・ISBN:4167527073、下・ISBN:4167527081
(上)bk1bk1.jp、(下)bk1bk1.jp
原題:Presumed Innocent by Scott Turow , 1987
55字内容紹介…地方検事選挙戦のさなか、美人検事補が自宅で遺体となって発見された。主席検事補サビッチは捜査を担当するがやがて…。

ハリソン・フォード主演で映画化もされているリーガル・サスペンスのエポック・メーキング的作品。1987年に出版され世界的ベストセラーになりました。

推定無罪 (上) (文春文庫) 推定無罪 (下) (文春文庫) 《いつまでも心に残る大好きな小説》初めて読んだときからもう十年近く経つのに実のところいまだになぜかほぼ毎日必ず二、三秒はこの本のことを思い浮かべてしまう(なぜだ!?)。秀逸なストーリー、固唾を飲んでしまう法廷の場面、スピーディーで意外な展開。それ以上に登場人物たちの陰影深い描写と解放感や寂寞がないまぜになった読後感がいつまでも心に残る。そしてアメリカ社会という異文化生活の一端を知ることができる…これは海外小説を読む醍醐味のひとつだろう。そういう小説

小学校高学年のころ大人向けの推理小説を読み始めた。自宅にあったEQMMのアンソロジー松本清張ほかの本はとても面白いが意味がよく分からないところがあった。中学校の時は通学時間が長くて一日二冊は本を読む生活で、そのころちょうどそれらの本に書かれている内容が理解できるようになったわたしは古典的なミステリや日本人作家推理小説をせっせと読んではうっとりと親しんだ。もちろん今も古典的なミステリには今も愛着を持っている。

が、大学生になりこの『推定無罪』にのめり込んだ(のと海外ドラマに夢中になった)のを契機に主にアメリカの現代ミステリのシリーズ物や「クライム・フィクション」「サスペンス」といったジャンルを本格的に読み始め、いつしか海外翻訳小説に読書の軸足を置くようになった。人間心理の深いところや社会をわりにジャーナリスティックに描くスタイルが多い海外作品を読むのは自分の思慮を深化させてもらえている確かな手応えがあったし、ミステリ―サスペンスなども含んだ広義のミステリ―としてのそれだけでなく文学的な水準も高くて、分厚く読み応えがあるのがうれしかった。そういった意味でもこれはわたしにとっては非常に大切な小説である。


 ただし日本人としてのわたしはこの作品における日系人監察医タツオ・クマガイの描かれ方にどうしても少々不満を感じてしまい、その点が残念です。白人から見たステレオタイプの日系人像、といったことではなく、このキャラクター特有の…と考えようとは思うのですが。

 ラスティやリップ、バーバラ、スターン、レイモンド…彼らの息づかい、戦き、ささやきが心の中にいつまでも残り続けます。どこか熱く、しかし透明で凍みるように静かに心を浸食して覆い尽くすささやき。そして、生き続ける人間の姿。

※2001年秋記す ページ移転のお知らせより転載。

★★★★★

apple-eaterapple-eater2004/09/20 10:27飛浩隆『象られた力』は入手されましたか?音楽にたずさわっているなら楽しめる作品「デュオ」が掲載されてます。
さらに、飛浩隆さんの日記http://d.hatena.ne.jp/TOBI/によれば、グランヴァカンスはオペラ3部作を参考にしたとか。オペラどころか音楽に弱い私には何のことかさっぱりですが、心あたりはありますか?グランヴァカンスの元ネタオペラ。

yukattiyukatti2004/09/20 10:58入手していません。機会があれば読んでみます/グラン・ヴァカンスの元ネタ(?)オペラ、分かりません。オペラやミュージカルは苦手であんまり見てきませんでした(最近、義務的に見て少しずつ面白さも感じるようになりましたが)ので知識が浅くて。すみません。

2004-08-07(Sat)

『夏への扉』ハインライン

[][][][] ロバート・A・ハインライン『夏への扉』夏に読みたいこの一冊 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』(夏に読みたいこの一冊) - 香雪読書録 を含むブックマーク

id:yukatti:20040727#summerbooksの続き。

ロバート・A・ハインライン『夏への扉』?福島正実訳、ハヤカワ文庫SF345、1979.5、ISBN:4150103453
bk1bk1.jp
原題:The Door into Summer by Robert A. Heinlein, 1957
55字内容紹介…1970年12月、友人と恋人に裏切られた発明家は牡猫ピートと30年後の「未来」へ飛ぶため冷凍睡眠の扉を叩く…。

……わたし自身がそうだったのだが、夏に「夏への扉」(The Door into Summer)というタイトルに惹かれてひょいと手に取る人も多いのではないかと思うのだ。そして、多くの人は手に取ったことを満足するだろう。わたしもそのひとりだ。

ほぼ半世紀前に書かれたSF小説『夏への扉』は名作である。作品中に出てくるタイムマシンのように、この作品も時を超えて21世紀にもなお名作として残っている。それはなぜだろうか。

ひとつめには、SFらしい筋書きや小物の楽しさ、不思議さを味わえるからだろう。現在の水準の科学技術――かなりの人が当たり前に持っている携帯電話!――、そこから敷衍して到達しているSF的な諸芸術、諸作品の華麗さ――CGやSFXがあたりまえになった映像美もほんの数年前には大騒ぎだったはずだ――から見ればここに描かれているSFガジェットは牧歌的で素朴である。しかし、素朴さ故の力強さと、原理の美しさがある。タイムマシンとはこういうものだったのだ、ということだ。冷凍睡眠とは、こういうものだったのだ、と。そこにはそれらのタイムトラベル技術を欲した人間の要求が書かれている。

ふたつめには、SF要素を離れて普遍的な人間の心理を描いた物語としても楽しめるからだろう。生き方が下手で挫折した人間の、失敗し挫折していく過程と、もういちど自分の生活を取り戻すべくがんばる姿が描かれる。不幸と幸せ。失敗と成功。ちょっとしたことでそれらはくるりと入れ替わる。そして青春物語として、愛情物語として、きゅんとくる物語がそこかしこにある。ちょっとサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に似ているような気がする、少女への一途な愛情。彼女を求めて主人公の発明家ダニイは駆け回る。

そう、要求である。仕事の成功、名声、冨、愛情、といった人間としての要求。科学への尽きせぬ心の動き。ダニイの発明品「文化女中器」――家事を取り仕切るロボット、これは今でも実現出来ていない難技術だ。家事? それは誰かにやってもらえたら楽なこと。地に足が着いていて平凡で、だけど切実な、実はとても難しいことを人間はこなしていたのだ、ということがわかるもの。この作品のトータルトーンはこれだ。地に足の着いた、現実と結びついた、平凡な、だけど難しく、切実な。人間の切なる欲求、要望。この作品には人間の、とりわけ主人公の心の動きが細かく書かれている。切実な望みが、この作品を突き動かす。現実から離れず、しかし現実の縛りを超えて希求する心がこの作品を突き動かす。それにわたしも共振させられるのだと思う。

ダニイがタイムトラベルで飛ぶのは30年だ。想像の範疇であり、たぶん、無事に行けば生きていられる間のことだ。これもまたこの作品が巧妙に地に足をつけているところだ。「そんなことありえない」と思わせない巧妙さ、なのである。確かにこれは未来の話だが、とかつての読者は思っただろう。そして今のわたしたちは、確かにこれは過去の話だが、とノスタルジックに読んでしまうのだけれども、それでも気になることはたぶん一緒だ。自分が生きてるだろうこれから先の30年後はどうなっていると思う? 30年前ってどうだったかな? あの人はどうなっているだろう……そういったことが気になって、だからこの小説がページから繰り出す魔法からわたしたちはさめない。がっちり作品世界の範疇の中に読者の心を閉じこめる仕組みのたくみさよ。そして30年を飛ぶのであれば、人間はたぶん少し慣れれば生きていけるのだ……。しかし、そこに本当は自分と一緒にいるはずの愛する者がいるかどうかで心は大きく変わってくる。

人生の「夏」をこの小説は描いているのかもしれない。自分や自分の家族を愛するのみだった「春」。やがて季節は巡り、草木が育つがごとく人間も大人となって成熟し、「夏」には他人と出会いその人を愛することができるようになるだろう。人生の「夏」を謳歌する。人を愛し、愛に気付き、精一杯仕事もする。やがて秋へ、冬へ。

★★★★★

summercontrailsummercontrail2004/08/06 23:21yukattiさんのレビュー、楽しみにしています!自分の拙い文で紹介するよりも良さそうなので。

yukattiyukatti2004/08/07 13:08あわわわわわ、恐縮です、でもむっちゃ重圧で焦るっ! 軽く書くつもりですし軽い気持ちでお待ちくださると幸いです(来週まで書けないので)。というか、summercontrailさんの紹介も読みたいです!

summercontrailsummercontrail2004/08/07 13:42あはは、そんなに気になさることないのに。じつは私も、お薦めの本リストを作りかけている途中です。まだ掲載するかどうかわかりませんが…。
『夏への扉』についてはyukattiさんが書かれたらリンク張ればいいか、と横着なことを考えていましたが、わかりました、私も(yukattiさんのレビューを読む前に)ローカルで書いてみます。いい作品ってただ「いい」と言ってもよさが伝わらないのがもどかしいですよね。

yukattiyukatti2004/08/07 14:10リスト>なるほどそういうことでしたか。でもレビューありがとうございます、わーい♪ それぞれのレビューで違う角度から作品をいろいろ見ることができる、教えていただくことができるのが面白いですよね。
それにしても「いい作品」だと黙ってただ「いい」「素敵だった」とかため息だけついていたいときあります。かえって何か語るのは難しいときが。無粋になっちゃう気もして。

summercontrailsummercontrail2004/08/11 19:25こんばんは。『夏への扉』、レビュー書きました! http://d.hatena.ne.jp/summercontrail/20040810#doorです(なぜかトラックバックに失敗してしまうのでコメントで失礼します)。
引用ばかり多くて大事な所に少ししか触れていないレビューになってしまいましたが、お知らせまで…。

yukattiyukatti2004/08/13 13:03遅くなってすみません。拝読しましたよ! 「仕掛けの面白さは面白さとしても、この小説の一番の見どころは他に」というご指摘、まさにそうだそうだっ。だいたい同じような感想を持っていたとこもあって意を強くしました(いちおうその路線でわたしも書くつもりでした……来週になりそうですが。で、きっと内容かぶっちゃいますがすみません~、ひ~)。「ターミネーター2」気になります。そのせりふに注目して見直したくなりました。

yukattiyukatti2004/08/13 13:04後日また改めて日記文中から紹介させていただきます。

summercontrailsummercontrail2004/08/15 00:58文中から紹介してくださるんですか、ありがとうございます!結びに入る重要なところに「ターミネーター2」という他の作品の引用を使うのが、自分ではちょっとどうかと思いますが…アハハ。内容がかぶるのはむしろ光栄なのでお気になさらず。

yukattiyukatti2004/08/17 22:58『夏への扉』、タイムマシン、30年、現実的、をキーにちょともやもやとまとまりつつあるのですが、まだ取りかかれてません……しょぼしょぼ……(;_;)

0000 | 00 |
2004 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 12 |
2005 | 04 |

言及ISBN/ASIN

この日記で最近言及した本
Copyright© "yukatti" Matsumoto,Y.(E-Mail : yukako@feb.email.ne.jp).