大和但馬屋読書日記

この日記は

2005年08月29日月曜日

[][][][]裏山の宇宙船(笹本祐一,ソノラマノベルス)

裏山の宇宙船 (ソノラマノベルス)

裏山の宇宙船 (ソノラマノベルス)

SFといふより、やはりライトノベルだよな。これの元になつた文庫本の方は未読。

前半はかなり退屈。何故さう感じるかと考へてみるに、単に文章が拙いだけなのではないかと思つた。今勝手に「中トロ会話文」なんて言葉を思ひついたけれども、要するに「うる星やつら」の会話そのままの、しなくていいボケを延々と続けた挙句に「××だっちゅーとろーが!!」といふツッコミで締めるあのノリである。これが詰らなくて仕方なかつた。主人公の名前が「文(ふみ)」だし、キレて机を持上げたりするし、まあ世代的に「うる星」が底本になるのはある程度仕方ないのかもしれないが、十年前に書かれた本としてもセンスが古いし、まして今読むとなると相当に辛い。さらに、その会話文がプロンプトなしに延々と鈎括弧だけで続けられるから、場面に三人以上の人物が居る場合に一体誰が喋つてゐるのかが分らなくなり、これが読み辛さに輪を掛けてゐる。これは地の文で適当に説明を補つて然るべきだらう。そもそも会話として無駄なボケが多すぎるからかういふことになる。

そんな訣で一向に話の進まない前半を何とか読み進めて後半に入り、畳み掛けるやうに様々な要素が明かになつていくところから話は俄然面白くなつてきた。結末まで文句なし。気になるあれやこれやの描写も、少し物足りないくらゐが丁度いいのだ。同じ調子で前半をシェイプアップして文庫本一冊くらゐのボリュームに収めるくらゐが丁度良かつたのではなからうか。

挿絵は、やはりキャーティアだよなあ。猫型宇宙人の出てくる話の絵を今この時期に放電映像に依頼するといふのはどうなんだらう。まあそれはともかく、なんかキャラクターの絵ばかりで風景描写がほとんどなかつたのが残念ですよ。

2005年07月25日月曜日

[][][][][]恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―(松浦晋也, 朝日ソノラマ)

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

火星の周回軌道投入に失敗した探査機の、プロジェクトの一部始終を追ふドキュメント。過剰に夢を語るでもなく、「税金の無駄遣ひ云々」と無駄に批判的になるでもなく、時に鋭い指摘を交へながらも淡々と記述されてゐる。そして、それ故に、読みながら涙を堪へるのに苦労した。

探査機一個打上げるのにしなくていい苦労を散々して、それでも何とか空には上げて、できる限りの力を尽して、結局目的は果たせないまま、それでも探査機は今なお地球と火星の間を天体として巡り続けてゐる。世の中があとほんの少し宇宙開発に優しければ、PLANET-Bは今頃火星、あるいは金星の周回軌道を巡つてゐたかもしれない。でも現実はたつたひとつ。火星へと向ふ途上で「のぞみ」に発生したトラブルは、起るべくして起きたのだ。その現実の重みに、泣いた。

だきにだきに2007/04/25 21:16個人的に好きなほう出たら買う

2005年07月05日火曜日

[][][][][]スペースシャトルの落日-失われた24年間の真実-(松浦晋也,エクスナレッジ)

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

一気に読み終へた。この分野に興味を持つた状態で最近の情報をある程度仕入れてゐればそれほど耳新しいことが書かれてゐるとまでは感じられず、どちらかといふと「ふむふむ成程ね」といふ意識で読み進めがちだが、それでもやはり「翼の付いた宇宙船」といふものに対する誘惑(あるいは呪縛)は簡単にが拭ひ去り難いものだとも思つた。

スペースシャトルのオービターが着陸するあの絵面と比べると落下傘による海上への帰還はどうしても技術的に後退した様に(有体にいへば格好悪く)映つてしまふ。そのどうしようもない洗脳状態から目を醒ますためにも、この本が多くの人に読まれて欲しいものだ。

[][][]ウェブログの心理学(山下清美/川浦康至/川上善郎/三浦麻子,NTT出版)

ウェブログの心理学

ウェブログの心理学

基礎教養として目を通しておいて損はない。控へ目な言ひ方だがこの本はそれが全てであり、そのために読む価値はある。

2005年04月21日木曜日

[][][][][]キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ(川島レイ,エクスナレッジ)

キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ

キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ

大学生による、十センチメートル立方の超小型人工衛星打ち上げ成功の記録。

もちろん、この本の結末がどういふことになつてゐるかは既に知つてゐる。隠された事実でも何でもなく、現に二つのキューブサットが今も軌道上を回つてゐるわけで、さういふ意味では安心して読めるはず。しかしまあ、その結末に至るまでに起きたことどものなんとドラマチックであることよ。ある局面では、ほとんど詐欺紛ひの目にさへ遭つてゐるではないか。よくもまあ打上げまで漕ぎ着けられたものだ。

仮に、「プロジェクトは必ず成功させなくてはならない」といふスローガンめいたものを大前提として掲げてみる。「なぜ成功させなくてはならないか」といふ理由など必要ない。この前提の前には、現れてくるすべての「理由」は「なぜ成功しないか」を説明するものでしかなく、そのことごとくを退けたものだけが成功を味はふことができるのだと、さういふ風に読んだ。

これは別に「成功することだけを信じていればよい」といふ精神論ではない。「成功しない理由」を退けられるのは具体的な目標であつたり、複数の回避策を講じておくことだつたり、人間関係を築いておくことだつたり、一度失敗しておくことだつたり、あるいは運だつたりもする。ただ、当事者が「成功しない理由」を退けられると信じてゐないことにはどうしようもないわけで、信じる信じないといふより「さういふ感覚を持てるかどうか」なんだらうな。

「プロジェクトは必ず成功させなくてはならない」といふ大前提に沿へば、自分が身を引かなくてはならない場合(学生だつたら卒業もするし、何が起るか分つたものではない)でもプロジェクトが止まることは有得ない。当り前のことばかりだが、日頃プロジェクトが前に進まない理由にまみれて生きてゐる身にしてみれば、読み進めながらいろいろとつまされるものがあつた。

それにしても、本当に小さいよキューブサットは。何となく名前からの連想でニンテンドーゲームキューブくらゐの大きさを想像してしまふのだけど、実際は‥‥

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