大和但馬屋読書日記

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2005年10月15日土曜日

[][][][][]疾走! 千マイル急行 (下)(小川一水, ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)

上巻で物足りなく感じた部分をすべて払拭し、結末まで一気に駆け抜けた。お見事。テオは主役たらんと自分の足で立上り、周囲の大人がそれを支へていく。それでいい。

存分に楽しんだけれども、まあ何だ、鉄道で戦闘を行ふといふのが如何に有得ないことかもよく分つた。宇宙空間で艦隊戦を行ふのと荒唐無稽さで争つてみればなかなか甲乙付け難いのではないかと思ふ。片や空間が一次元の軌道上に限定されすぎるし、もう一方は空間が全方位に広がる割に「天体(宇宙戦艦のことだ)」の運動はやはり重力の制約を受けた限定的な軌道に縛られるはずで、大海原を自由に航行するやうにはとてもいかない。もちろん、だからこそ想像の仕様によつていくらでも面白くできるわけだが。その点で小川一水はよくやつた。

あとがきについて。「そんなに気楽に電車に乗るなよ! 」は、成程これがアイチ圏*1の人の感覚なのだらうな、と思つた。首都圏と関西圏ではまたそれぞれに感覚が違ふし、地方に行くほどその意識の格差は拡がるばかりだらう。京阪間の衛星都市出身の自分にとつては、鉄道とは私鉄VS国鉄の激しくも華々しい激戦のフィールドといふ感覚が強い*2。子供心にも理解できるほど目に見えて向上していく過剰なまでのサービス合戦、それ故に贔屓の電車に乗つて感じた奇妙な優越感やライバル線に乗つて感じた微妙な羨ましさは、この小説でアルバートが抱いたものとたぶん同質のものだつたのだらう。結局そのサービス合戦に在阪各社は疲弊しきつてしまひ、悲劇的な象徴として例の事故が起きたことを、オレは忘れないやうにしようと思ふ。でもそれは、オレ達利用客が求めた利便性の結果なのだよ。作中でドラグストン機関が求めたものと、少しも変らない。

*1:「YATATA WARS」て分るかな?

*2:この気分を見事に描き出したのが同人漫画の「電車でD」だ

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