大和但馬屋読書日記

この日記は

2005年07月25日月曜日

[][][][][]恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―(松浦晋也, 朝日ソノラマ)

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―

火星の周回軌道投入に失敗した探査機の、プロジェクトの一部始終を追ふドキュメント。過剰に夢を語るでもなく、「税金の無駄遣ひ云々」と無駄に批判的になるでもなく、時に鋭い指摘を交へながらも淡々と記述されてゐる。そして、それ故に、読みながら涙を堪へるのに苦労した。

探査機一個打上げるのにしなくていい苦労を散々して、それでも何とか空には上げて、できる限りの力を尽して、結局目的は果たせないまま、それでも探査機は今なお地球と火星の間を天体として巡り続けてゐる。世の中があとほんの少し宇宙開発に優しければ、PLANET-Bは今頃火星、あるいは金星の周回軌道を巡つてゐたかもしれない。でも現実はたつたひとつ。火星へと向ふ途上で「のぞみ」に発生したトラブルは、起るべくして起きたのだ。その現実の重みに、泣いた。

[][][][][]彼女はミサイル(須堂項, MF文庫J)

彼女はミサイル (MF文庫J)

彼女はミサイル (MF文庫J)

タイトルが譬喩ではなく文字通りの内容を表してゐることを期待して買つてみたら、全然違つた。くそう。つかそれではただの最終兵器以下略。

譬喩としてのミサイル彼女に振回される話ならば最近「ハルヒ」シリーズを続けて読んだばかりなのでお腹一杯やなあといふ感じで最初はあまり乗り切れなかつたものの、後半の唐突な展開が巧くはないがそれなりに楽しめたので、まあ良かつた。

[][][][][]憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ(水口敬文, 角川スニーカー文庫)

憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ (角川スニーカー文庫)

憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ (角川スニーカー文庫)

友人が読んで面白いと言つてゐたので手に取つた。なるほどその友人が好みさうな内容だ。

主人公の境遇に関する基本設定があまりに強引といふか不自然で幾らなんでもそんな社会はないだらうと思ふのだが、それさへ許せば、あとは悪くなかつた。ただ全然話が終つてなくて、よく賞が取れたなとは思つた。奨励賞といふことは「続きを書け」といふことなのだらう。と思つたら既に続刊があるらしいので読んでみよう。「時の意志」とやらをグーで殴らないことには話は終るまいて。

[][][][]最終エージェント・チカル(大迫純一,MF文庫J)

最終エージェント・チカル (MF文庫J)

最終エージェント・チカル (MF文庫J)

帯を見て想像した内容通りなら楽しいなと思つて買つてみたら、全然違つた。くそう。いや、前半は期待通り「周りの人間が勝手に自分を『お前は最終エージェントだ』と言つてちよつかいを出してくるんだけど本人は何が何やら分つてない」といふ話なのだが、後半であつさり「目覚めて」しまひ、普通にシリアスな話になつてしまつた。最後まで何が何やら分らないまま走り切つてほしかつたな、と。オレがラノベに求めるのはさういふものです。

[][][][]サンダーガール!(鈴木鈴,電撃文庫)

サンダーガール! (電撃文庫)

サンダーガール! (電撃文庫)

いかにも電撃ぽい内容といふか、タイトルからしてさうだな。電撃ぢやないけど「放課後退魔録」みたいな感じ。特に感想は出てこないけど、嫌いではない。続きが面白さうなら読む。

だきにだきに2007/04/25 21:16個人的に好きなほう出たら買う

2005年07月05日火曜日

[]一箇月ぶり

いろいろ読んではゐたのだが、引越のごたごたで纏められないまま放置してしまつた。とりあへず駆足でフォロー。

[][][][][]神様家族〈2〉発育少女(桑島由一,MF文庫J)

悪い意味でアニメやゲームのシナリオみたいだ。刹那的な前後の繋がりだけがあつて、物語全体としては何といふこともない。最後に佐間太郎に課された処罰がこの話の一番の鍵であるはずなのだが、何を失はせるかの取捨選択も巧くないと思つた。何も読後感が残らない。

続きはもういいや。

[][][][][]スペースシャトルの落日-失われた24年間の真実-(松浦晋也,エクスナレッジ)

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

スペースシャトルの落日~失われた24年間の真実~

一気に読み終へた。この分野に興味を持つた状態で最近の情報をある程度仕入れてゐればそれほど耳新しいことが書かれてゐるとまでは感じられず、どちらかといふと「ふむふむ成程ね」といふ意識で読み進めがちだが、それでもやはり「翼の付いた宇宙船」といふものに対する誘惑(あるいは呪縛)は簡単にが拭ひ去り難いものだとも思つた。

スペースシャトルのオービターが着陸するあの絵面と比べると落下傘による海上への帰還はどうしても技術的に後退した様に(有体にいへば格好悪く)映つてしまふ。そのどうしようもない洗脳状態から目を醒ますためにも、この本が多くの人に読まれて欲しいものだ。

[][][]ウェブログの心理学(山下清美/川浦康至/川上善郎/三浦麻子,NTT出版)

ウェブログの心理学

ウェブログの心理学

基礎教養として目を通しておいて損はない。控へ目な言ひ方だがこの本はそれが全てであり、そのために読む価値はある。

[][][]新宗教と巨大建築(五十嵐太郎,講談社現代新書)

新宗教と巨大建築 (講談社現代新書)

新宗教と巨大建築 (講談社現代新書)

近世末期以降に勃興した日本の新宗教を題材にし、その教義を具現化したものとして建築を捉へて解説を試みる本。

なかなか面白かつた。関西出身なので幕末期の天理教金光教大本教などがそれほど遠い世界のことでもない割に、ではそれらのことをどのくらゐ知つてゐるかと改めて問はれれば、親類縁者に信者が居ないのでほとんど何も知らないことに気付かされた。精々、奈良で親類の結婚式に出たときに同じ建物で挙式のあつた別の家の新郎新婦が、天理教式に則つて黒い着物を着てゐたのを見た程度か。

本の前半を占める、その天理教の教義と建築に関する部分は読んでゐてある意味興奮した。なんと壮大な構想であり、しかもそれが着々と完成に近づきつつあるといふ。

Google マップで表示させてみた。この中心点が天理教本部で、それを四角く取り囲む様な建物が見える(参考:【お知らせ】)。いつかこれが完成すれば、完全に四角い宗教空間が出来上がるといふのだ。語彙の不足を呪ふしかないが、それにしても面白いではないか。

新興宗教がどの辺りから際物扱ひされなくなり社会的な立場を得られるやうになるものかと考へると、それは概ね教祖が死んで教団が組織的な安定を求めるやうになつた後だらう。それにはやはり数十年といふ時間が必要で、それを乗り越えた新宗教の持つ迫力のやうなものを感じた。

[][][]テロルの決算(沢木耕太郎,文春文庫)

テロルの決算 (文春文庫)

テロルの決算 (文春文庫)

昭和三十五年に起きた社会党委員長刺殺事件を題材に、実行犯山口二矢と殺された浅沼稲次郎の人生が如何に交はつたかを描くノンフィクション小説大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

二人の人生を描く作者の筆致があまりに真直ぐで、綺麗にまとまり過ぎてゐて、さて「事実は小説より奇なり」といふが本当に奇なるものは事実なりや小説なりやと考へ込んでしまつた。

傑作だと思ふ。

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