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読書ノート

2014-02-28

pp.315-6

十九世紀に(…)受けた恥辱によって、中国の指導者は国家主権や内政不干渉の偉大な信奉者となった。グローバル世界との正しい接触は、その価値観と矛盾しない

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.315-6]

ISBN:9784560082768

p.299

感覚的であろうが現実的であろうが、各国の利害が異なる世界において、規制を調整したいと望むことは有害無益となり得る。たとえそれに成功したとしても、最小限度の共通点に基づく脆弱な協定か、あるいはどの国にとっても適切なものとはなり得ないより厳しい基準が生まれることになる。これらの違いを(…)包み隠すことができると仮定するよりも、その存在を認める方がはるかにいいのだ。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.299]


ISBN:9784560082768

pp.295-6

世界貿易体制からさらに大きな利益を搾り出すためには、広範囲における制度に関する外科手術が必要となるだろう。それは、(…)国内基準や規制の調和にまで達することになるだろう。(…)制度の多様性や政策余地が(…)犠牲となるが、それと比べると得られる利益は全く一時的なものだろう。(…)実際、GATTの最後の貿易ラウンド(ウルグアイ・ラウンド)に対する失望が起こった後ではそれを望む声はほとんどない――(…)

 ドーハ・ラウンドが直面する困難は、貿易体制自身が袋小路に入っていることを暗示しており、世界で広く行われている利益が少なくコストの高い戦略の持つ問題のいい例となっている。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.295-6]


ISBN:9784560082768

p.292

 現行のセーフガード導入の手続きでは、輸出国について最恵国待遇を取ることが要求されており、その上、一時的な措置しか取ることが許されておらず、さらにセーフガードを適用する国が補償を支払うことが求められる。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.292]

ISBN:9784560082768

pp.289-90

 今日直面する問題は、すでに実現している開放的な世界を維持可能なものとし、幅広い社会目標と調和させることだ。そのためには、多国間交渉の中心をきっぱりと変える必要がある。(…)交渉すべきことは、市場アクセスよりもむしろ各国の政策余地である。(…)

最終的に、持続可能な貿易体制は対外制約によってではなく、国内における政治的支持に基づくものだ。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.289-90]


ISBN:9784560082768

p.276

 貿易とは、つまるところ手段であり、それ自身が目的ではない。グローバリゼーションの旗振り役は、国際貿易の拡張のために政策や制度を変えろ、外国投資家をもっと惹きつけるべきだと、ひっきりなしにご高説を垂れて(…)目的と手段を取り違えている。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.276]

ISBN:9784560082768

p.274

国際協力が「成功」するのは、最も強い国の選好を反映してはいるが、他の国には適合的ではないルールに行き着く時だけだ。(…)WTOルールは、その種の無理の代表である。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.274]


ISBN:9784560082768

*1:「エラスムス大学の」

2014-02-27

p.267

 われわれは、(…)一つの国の権利や責任が終わるところで、他の国のそれが始まるという現実を、率直に受け入れなければならない。国民国家が果たしている役割をごまかすべきではない(…)

 現実に目を開けば、健全で、いっそう持続可能な世界秩序が見えてくるだろう。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.267]


ISBN:9784560082768

p.266

グローバル・ガバナンスを口うるさく叫ぶ人々(…)超国家的な政治共同体の建設は、グローバル・エリートのプロジェクトであり、彼らの必要に見合ったものなのだ。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.266]

ISBN:9784560082768

p.260

金融市場で格付が有効に機能しなかったのは、格付会社が自らの収入を最大化し、社会から受託された義務を無視したからである。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.260]

ISBN:9784560082768

p.252

 ヨーロッパに固有のジレンマは、世界経済が全体として直面していることと違いはない。(…)

経済的には(…)統合されているが、統治構造はいまだ未完成だ。(…)経済が危機によるストレスを受けると、反応は圧倒的にナショナルなものになる。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.252]


ISBN:9784560082768

pp.249-51

超国家的な(…)EUの諸制度は、右派の批評家からは範囲を広げすぎだと非難され、左派の批評家からは「民主主義の赤字」だと非難されている。

(…)二〇〇九年十二月にリスボン条約が発効した(…)。この条約は、(…)いっそうの権力を欧州議会に与え、(…)新たに欧州理事会の大統領の地位を創設した。

(…)他国と横並びに行動する利益はないと考え(…)利害関心は、あくまで経済的なもの(…)関わりを最小限に抑えるというイギリスの方針は、何かにつけ連邦主義を目指そうとするフランスやドイツの野心とは鋭い対照をなす。

(…)フランスやドイツがトルコのEU加盟に反対しているのは、文化的、宗教的な理由による。(…)他方、イギリスは、政治的ヨーロッパを目指すフランスやドイツの野心を鎮めるものなら何でも歓迎なので、トルコの加盟を支持する理由がある。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.249-51(傍線=傍点)]

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ISBN:9784560082768

p.242

 グローバルな政府という観念を心に抱いているのは、今では変人だけではないし、素朴なユートピア論者だけでもない。経済学者、社会学者、政治学者、法学者、哲学者の多くが、国民国家を超えた新しいガバナンスの形式を探している。(…)彼らが提唱しているのは政治共同体、代議制、説明責任の新しいコンセプトである。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.242]

ISBN:9784560082768

pp.239-40

 国際的なコミットメントは民主主義を強化するが、そうなる必然性があるわけではない。(…)ハイパーグローバリゼーションの目標は、(…)われわれに、多国籍企業や大銀行、そして投資会社の必要の方が他の社会的・経済的目的に優越するという物語を受け入れるよう要求する(21)。(…)

 われわれは、この欠点を克服する選択肢を持っている。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.239-40]


ISBN:9784560082768

pp.234-5

トム・フリードマンが「黄金の拘束服」という用語をつくった時に、心に描いていたもの(…)金融引き締め、小さな政府、低い税率、流動的な労働市場、規制緩和、民営化、そして全世界に開かれた経済。「黄金の拘束服」は、第一次世界大戦前の金本位制の時代を想起させる。国内経済や社会的義務の重荷を背負うことなく、当時の各国政府は厳密な金融ルールに沿った政策目標のみを、自由に追及していた。

(…)ハイパーグローバリゼーションは同じように国内政治を締め出そうとしている。(…)経済政策の決定主体(中央銀行、金融当局、規制当局など)が政治と距離を置き、社会保険は消滅(や民営化)し、低い法人税が求められ、労使間の社会契約が浸食され、民主的な発展目標がマーケットの信認を維持する必要に置き換わっている。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.234-5]


ISBN:9784560082768

pp.232-3

 地域的、あるいは二国間の貿易協定は、WTOよりも制約が強いことが多い。これらの協定は、実際はアメリカやEUが「自分たちの規制体系を新興国に輸出する」手段である(18)。(…)

提案された政策がWTOルールに適合しているかを逐一確認しない、新興世界の政府はほとんどない。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.232-3]


ISBN:9784560082768

pp.230-1

外国投資家は、(…)受け入れ先の政府を国際法廷で訴え(…)補償を要求できるという(…)「規制収用」(…)アメリカでは一度も法的実践としては受け入れられたことがない

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.230-1]

ISBN:9784560082768

pp.228-30

WTOの(…)(SPS)は、(…)ジュネーブの判事たちの解釈に委ねられている。国際的な義務と国家主権を明確に線引きできないので、判事はしばしば貿易体制の側に過剰に味方する主張をする。

(…)WTOパネルと上級委員会の双方は、EUに対して(…)

協定のルールが彼らに、どんな科学的証拠が重んじられるかについての国際基準を用いるよう強いたのだ。

(…)EUが、独自基準を決めるゆとりを持たせるべきだとWTOを説得できなかったら、途上国が直面する困難はもっと大きいと想像できる。貧しい国にとって、豊かな国以上に、ルールは単一基準を意味する。

 結局、問われているのは、民主政治が独自のルールを決めること――あるいは自らで間違いを犯すことを認めるかどうかだ。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.228-30(傍線=傍点)]

ISBN:9784560082768

p.227

 租税政策をめぐるOECDの詳細な研究によると、(…)国際租税競争は、資本管理を廃止した国の間で起こる。(…)一九八〇年代から法人税率の引き下げ競争が始まったのは、資本管理が撤廃されたからである(9)

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.227]

ISBN:9784560082768

pp.223-6

 古典的な自由主義者の視点からすると、ほとんどの規制は意味がない。それらの規制は、好きな条件で契約を行う個人の権利を侵害しているからだ。(…)

 労働市場は、かつてこの原理によって支配されていた(5)。(…)

貿易を通じたアウトソーシングの仕事は、すべての関係者に、間違いなく同じ結果をもたらす。(…)

労働市場を枠付ける政治的、社会的な制度は、生産性の強力な影響を離れて、賃金に独立した影響を与えている。(…)

労働者の権利の弱い国に仕事を移す――あるいは移すと脅す――ことで、使用者は利益を得ることができる。(…)

アウトソーシングが国内の労働基準に深刻な困難を作り出さないかのように振る舞うことは、もうできない。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.223-6(傍線=傍点)]

ISBN:9784560082768

p.223

 われわれは民主主義や国家主権を大事にしているのに、次々と貿易協定にサインして、自由な資本移動を事物の自然な秩序であるかのように扱っている。この不安定で一貫しない態度は、災厄の原因である。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.223]

ISBN:9784560082768

2014-02-26

pp.209-10

中央政府側の態度の変化とそれに伴うわずかな調整(…)は、経済活動に対して著しく強力な影響をもたらし(…)インドの経済成長率は、一九八〇年代の間に(一人当たり基準で)(…)二倍以上になった(33)。しかし、(…)リストに挙げられた障害(…)官僚主義の非効率性とお役所主義は依然悪夢のようなものであったし、貿易障壁は高いままであり、インフラはとても脆弱なものだった。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.209-10]

ISBN:9784560082768

p.207

より優れた戦略は、トラブルの直接的な源を見極めることだろう。(…)その車について調べてもいないメカニックが提示した(…)長いリストを実践する代わりに、一度に一つの問題に取り組むというようにした方が、より多くの恩恵をより少ないコストで得ることができる。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.207]


ISBN:9784560082768

p.206

 数年前ある南米の国を訪問した際、自慢気な経済大臣が、わが政府はすでに第二世代の改革をすべて完成させ、今「第三世代の改革」に乗り出そうとしていると、私に話した。経済は貿易と資本移動に対して開放されており、市場に対する規制は緩和され、公営企業は民営化され、マクロ経済の不均衡は消え去った。租税体系、銀行規制、社会保障制度、財政規律、そして司法制度はすべて「ベスト・プラクティス」の基準に沿って改革されてきた。そして、労働市場は「柔軟」――すなわち労働規制が撤廃されている――になった。しかし、その国の経済はほとんど成長していなかった。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 p.206]


ISBN:9784560082768

pp.202-4

貿易自由化や規制緩和、民営化、(…)これらの改革をあからさまに拒否することは、経済学者に自身の持つ最も根本的な教義のいくつかを捨て去るように強いることを意味した。このため、ワシントン・コンセンサスが持つ問題は別のところになければならなかった

(…)その主張を保ちながらより広い範囲に及ぶ追加的な改革を含むよう拡張され(…)コンセンサス自体に悪いところは何もなく、単に十分に野心的ではなかっただけだとされたのである。(…)

これらの新しい改革は「第二世代の改革」と呼ばれ(…)世間一般に「統治改革」と名づけられている不可能なまでに広範で野心的な政策課題へと変貌することになった。(…)政策上のアドバイスとして役に立つことはめったになく、(…)優れた言い訳として役立った。

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.202-4]


ISBN:9784560082768

pp.195-8

サックスとワーナー*1は、世界の国々を二つのグループに分けた。国際貿易に対して開放的な国と、閉鎖的な国である。(…)

その他の欠点がどれだけ大きいのかにかかわらず、(…)貿易に対する障壁を低くするだけで、成長に拍車がかかるのである(8)

 これらの結果は、(…)「開放的」と「閉鎖的」に分類する際に採用した方法に決定的に依存していた(9)。(…)一九八〇年代まで輸入に対して高い障壁を維持し、かなり大きな製造能力を獲得した後に初めてこれらの障壁を削減していたにもかかわらず、開放的な国として扱われた。(…)

これらの研究(…)新しいコンセンサスは、外国貿易と外国投資を国内の経済社会政策の適切さを判断する究極の物差しに転換し(…)グローバリゼーションの追求は開発戦略に取って代わり、(…)それ自身が目的となった

 学会でも懐疑的な声はあったが、実世界における(…)熱狂に立ち向かうことに関心を持つ者はほとんどいなかった。多くの経済学者は、(…)研究は信憑性に欠けると、内々では言っていた。しかし、彼らは保護主義を容認しているように思われたくなかった。(…)

 二〇〇〇年に、私がサックス=ワーナー(…)その他の同様な研究に対する批判を研究者たちの前でプレゼンテーションした際の反応は象徴的だった。著名な経済学者は、私を遮り(…)「なぜ君はこのようなことをするんだ?」私は途方に暮れてしまった。経済学者はとても議論が好きなので、(…)疑問を持たれることには慣れていたが、このような疑問に遭遇したことは以前にはなかった。(…)自由貿易という思想はこれほどまでに神聖にして犯すべからざるものとなってしまい、その証拠を再検討するものは、その動機を問題視されなければならなくなったのである(14)

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.195-8]


参考


ISBN:9784560082768

pp.193-4

一九五〇年代と六〇年代においては、(…)自由貿易と小さな政府が、経済成長と発展を促進させる最もいい方法だという見解に賛成する者は皆無だった(5)。(…)

 一九八〇年代までに、北米の開発の専門家とその信奉者たちの支配的な見解は、劇的に変わっていった。国家は、経済成長のために隷属的に働く小間使いから、経済成長を阻止する主要な障害へ(…)国際分業は、脅威から救世主へと変貌し(…)一九九〇年代には、資本移動の自由化に対する熱狂もこれらのパッケージに追加された。このような物語は、世界銀行のような開発機関に新しい使命感を吹き込み、これらの機関が提示する政策提言を作り直していった。

(…)パッケージの初期のものは、いわゆる「ワシントン・コンセンサス」として成文化されている。これは一九八九年に経済学者ジョン・ウィリアムソンによってつくられた新語で、最初は当時の南米諸国が乗り出した改革に共通する要素のいくつかについて言及したものだった。(…)時が経つにつれて、(…)超自由主義者による呪文のようなより狂信的な手法へと変形され(…)

一九九〇年代半ばまでには、ウィリアムソンによる元々のリストの具体的な項目を思い出せる人はほとんどいなくなった

[ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス/世界経済の未来を決める三つの道」柴山桂太・大川良文訳 pp.193-4]


ISBN:9784560082768

*1:「ジェフリー・サックスとその共著者であるアンドリュー・ワーナー」