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読書ノート

2017-06-21

p.220

 国際社会の責任において、紛争処理への介入と、貧困対策への貢献は、互いにバーターの許されない別次元の問題である。

 しかし、(…)日本の国内政治に利用されてきた。

(…)〝根本の議論(=憲法第九条)〟を避けるため

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.220]

ISBN:9784061497672

p.217

紛争を起こす動機や、時に愛国心や民族主義を装った人間のエゴは、常に倫理を超えたところにあり、紛争解決とは、敵対勢力間の利害調整以外の何物でもない。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.217]

ISBN:9784061497672


pp.206-8

イラク戦争が始まる二日前、(…)伝統的に現場で人道援助をやってきた事業実施型NGOは、反戦運動をそんなにしていなかった(…)

彼らのロジックは、次のようなものだ。

(…)人道主義は政治を超越したものである。だから、(…)戦争に表立って反対することもしない。

(…)彼ら人道援助団体が活動できて、その職員が食い扶持を得られるのは、人道問題が起こるからで、それをつくるのは戦争である。

(…)復興ニーズの中でも、規模的に小さい、医療・教育など人道的にアピールする、NGOなど非営利業界がやることが当然とされてきた領域に、企業など営利業界が進出してきている。(…)

 人道援助は、もはや「戦争利権」の一つなのである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.206-8(傍線=傍点)]

ISBN:9784061497672

p.183

 軍閥の下には中小のコマンダーがいて、「アフガン人の忠誠心は青空市場で買える」と言われるほど、彼らの忠誠心は物欲的で(…)軍閥と同じように政治的野心がある。彼らは地元ではその武力にものを言わせて強い政治力を持っている。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.183]

ISBN:9784061497672

p.178

抑止力となるべき中立な軍事力が存在しない中、まったく別の目的で局地的に展開する空軍力をバックにした米連合軍の存在が、間接的な抑止力として働いているという〝恩恵〟

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.178]

ISBN:9784061497672

p.168

「バーチャルな抑止力」をつくる(…)

一般住民の中に、軍閥は嫌だ、武器がある社会は嫌だ、というようなコンセンサスをつくって(…)武器を持っている連中が差別されるような世論形成をしてゆく。

(…)政権が、唯一の統一政権であるという一つのイメージを地方の隅々まで広げ(…)中央政権のお陰で村に援助が来た、と思わせなければならない。

(…)復興期暫定政権については、(…)中央政権と地方軍閥を、同等の政治勢力と見なしてはいけない。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.168]

ISBN:9784061497672

pp.164-5

軍事の〝政治性〟に疎い軍人の暴走(…)

これが〝有志連合型多国籍軍〟の弱点なのだ。

 国連平和維持活動(PKO)における国連平和維持軍(PKF)であれば、その司令部は文民である国連事務総長特別代表の指揮下に置かれ、現場に密着したシビリアン・コントロールが働く。しかし、(…)ISAFのような多国籍軍は有志連合の代表の軍人が司令部を牛耳り、軍事行動の政治性を外交レベルで、それも現場で判断する文民の存在がないのだ。(…)

シビリアン・コントロールが現場で利かない外国の部隊を、政治的にきわめて脆弱な状況下に派兵するほどリスクを伴うものはない。外国の軍の行動そのものが、脆弱な政治状況をさらに脆弱にし、それどころか紛争の一翼になってしまう恐れもあるからだ。(…)

日本の自衛隊の派兵は、この現場でのシビリアン・コントロールの確保に敏感になるべきだ。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.164-5]

ISBN:9784061497672

p.156

タリバン政権崩壊後、共通の敵がいなくなったことで、各武装勢力は群雄割拠のメンタリティに戻った。(…)米が創設しているアフガン新国軍に関しても、「あんなのはアメリカ軍の奴隷だ。国を本気で守れるはずがない」とまったく意に介せず。

 そして、〝幽霊兵士〟まで動員して、カルザイ政権国防省から、給料名目の国家予算をできるだけ絞りとることに専念した。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.156]

ISBN:9784061497672

pp.152-3

二〇〇二年一月の東京アフガン復興会議後すぐにG8の間で治安分野復興(通称SSR:Securitiy Sector Reform)の責任の分散がなされたが(米:新国軍建設、独:国家警察復興、伊:司法改革、英:麻薬対策)、これら四分野のすべての復興の成功に直接的に関係するDDRだけが未定であった((…))。

 その後の川口順子外務大臣のアフガン訪問の時に上がった花火が「復員庁構想」。復員、つまりRを専門的にやる機関をアフガン暫定政府につくり、日本が主導的に支援する。誰がこの花火を上げたのか定かではないが、復員なら日本も経験している。SSR分野で日本が貢献できる唯一の分野かも。こんな乗りで日本が手を挙げることになったらしい。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.152-3]

ISBN:9784061497672

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2017-06-20

p.129

シエラレオネ内戦は、隣国リベリアのクーデターが引き金となった。それを首謀し大統領の座に就いたテイラーは、その後もずっと抵抗勢力との戦闘を継続し、この国は一秒たりとも安定したことはなかった。(…)アフリカのこの地域では、民兵は傭兵化して国境を行き来していると考えてよい。武器弾薬も同じだ。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.129]

ISBN:9784061497672


p.122

 シエラレオネ産のダイヤモンドは、(…)原石の多くがRUFのパトロン、テイラー大統領の隣国リベリアを通じて密輸され、(…)ゲリラの資金源になり大虐殺を引き起こす(…)ゲリラ兵士は戦闘員としてだけでなく、こういったダイヤモンド原石の採掘労働者としても使われていたのだ。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.122]

ISBN:9784061497672


p.113

その国の国民の自然発生的な要求でなくても(…)侵略、占領をおこなっても(…)

有権者としての自意識が、歴史的にまったくその国民に存在しなくても、(…)Post-war Electionをどう平和裏に実施し、〝民主主義〟をひとり立ちさせるか。これが、国際社会が多額のを投入する復興の焦点になる。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.113]

ISBN:9784061497672


p.112#a

蜂起の言葉に酔ったのは、後に戦闘員になった若者たちだけではなかった。反体制、左翼のアカデミア、市民社会までが拍手喝采したのだ。(…)〝革命〟がその後十年余も続き、(…)大虐殺を引き起こすなんて誰も予想できなかったし、確かに僕(伊勢崎)を含めた人道援助コミュニティでさえ、RUFを心情的に支持したのである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.112#a]

ISBN:9784061497672


pp.103-5

生き残った人々は、和解に人間的な価値を見出して、和解するのではない。和解を善行として、(…)「復讐の連鎖」を心配するのでもなく、(…)十年間の内戦を経ても、世界で一番貧しい国であり続ける庶民の(…)復讐する気力も失わせる〝絶望〟である。

(…)「和解」には、寛容というフレーバーがいつも漂っているので、それ自体が崇高道徳的価値にまで昇華しブームになる。(…)道徳的価値を背負っているお陰で、人道的な一つの援助事業として金を集めやすくなる。(…)資金はNGO業界にも流れ、援助産業として一分野が出来上がる。

 一方で、戦争裁判は、人を裁くという冷酷なイメージからか、なかなか資金援助を得られず開設が遅れ、「和解」が先走ることになる。

 この状況は、東チモールでも(…)復興中の現地社会に大きなモラル・ハザード(社会倫理の破壊)を来たした。(…)

 「和解」の先走り。これほど、戦争の被害者の気持ちを蹂躙(じゅうりん)するものはない。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.103-5]

ISBN:9784061497672


p.97

武装解除は、二〇〇一年五月から二〇〇二年の一月まで九ヵ月を要し、(…)突発的な交戦で何度か(…)進行が妨げられたが、悪さをしたのはどちらかというとCDF*1の方であり、RUF*2は実に優等生的に振舞ったのだ。やはり、ロメ合意の恩赦条項が、最終的な武装解除に応じる安心要因になっていたのである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.97]

ISBN:9784061497672

*1:「副国防大臣が主導するメンデ族のKamajorという民兵組織で、自らをCDF(Civil Defence Force:市民防衛隊)と名乗るようになる」(p.88)

*2:「政権に反旗を翻していた反政府ゲリラグループ、革命統一戦線(RUF:Revolutionary United Front)」(p.84)

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2017-06-18

pp.62-3

後方支援とは、(…)戦闘部隊への支援が原則である。道路や橋の補修作業を実施しても、それらはあくまで戦闘部隊の戦略上必要なもの、つまり戦車や歩兵輸送車両等の通行に必要なものが主体で、それ以外のサービスはすべて〝片手間〟と見なすべきなのである。医療部隊においても、しかりである。

(…)後方支援部隊としての自衛隊を、戦闘のない、つまり安全な地域に派遣する(…)戦闘部隊を支援するのが後方支援であり、そもそも安全な場所に戦闘部隊を配備するのがおかしいのだから、これはまったく本末転倒した議論だ。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.62-3]

ISBN:9784061497672


p.59

軍の活動を軍のシステムの中だけに閉じ込めてしまうのは最も危険なことである。(…)指揮官を統括する文民の権威が必要なのだ。それも、中央の本部ではなく、軍指揮官と同じ現場に配属される文民の統括である。軍というのは、監視する〝権威〟(監視だけだったらメディアでもできる)をに置かない限り、自らの意思で決して分をわきまえることはない。

(…)このモデルは、これから将来の国連平和維持活動にも発展させて行かなければならない。復興後を見据えた現地社会の民主化の基本理念として、僕たち紛争屋が体を張って定着させなければならないのである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.59]

ISBN:9784061497672


p.55#b

平和維持活動は「戦争」ではない(…)「抑止力」であり、無勢に多勢であることに意義がある。つまり、武装勢力を武力で圧倒して、いかなる戦闘も未然に回避することが平和維持活動である。そもそも、他人の国のために死んではいけないのである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.55#b(傍線=傍点)]

ISBN:9784061497672


p.55#a

日本で平和構築、紛争を専門にする学者を前に講演を行ったとき、数々の国連平和維持活動の研究対象としての〝優劣〟を犠牲者のだけで量る不届き者を目にし、開いた口がふさがらなかった経験がある。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.55#a]

ISBN:9784061497672


p.49

日本を含めた西側諸国はインドネシアの侵略を支持した。東チモール独立運動派((…))アカであるという国際的世論操作がなされたからだ。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.49]

ISBN:9784061497672


p.44

紛争が起こり、国連安全保障理事会がその処理に乗り出す。そうして、生み出されるのがPKOなどのいわゆる国連ミッションだ。(…)紛争処理のギャンブルである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』p.44]

ISBN:9784061497672


pp.15-6

この都営団地にはアパート群ごとに十二個の自治会があったが、我が母子アパートは、(…)どういう訳か〝自治〟を認められず、(…)行事前の会合にも呼ばれずいつでも蚊帳の外、(…)女達は団結することになった。12から独立して母子家庭だけの第13自治会をつくるためである。

 しかし、敵がいた。当の第12自治会の会長、初老の爺さんである。(…)市役所にまで訴えて、母子アパートには女ばかり責任ある戸主は誰もおらず、いかに第12自治会の加護が必要であるかと露骨な妨害工作に出た。それでも女たちが諦めないと、今度は双眼鏡でこちらの〝男〟の出入りのチェックまでし始めた。自治に値しないコミュニティだと吹聴するためだ。(…)

このオヤジをここまでちっぽけな権力に固執させるのは一体何だろう。(…)アフリカの部族長も、数千の兵を率いるアフガニスタンの軍閥も、個人のエゴの質は一緒である。これに関しては、世界中どこへ行っても人間は同じである。

[伊勢崎賢治『武装解除――紛争屋が見た世界』pp.15-6]

ISBN:9784061497672

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