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読書ノート

2017-07-24

p.103

(柴山)主権というのは、長い歴史と関わる正統性の問題です。数十年単位の社会実験で、いきなり確立できるものではないのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.103]

ISBN:9784087208863

pp.101-2

(中野) ユーロという通貨システムは、ユーロの貨幣価値の決定を国際金融市場に委ねるという発想に基づいて設計されています。ユーロの価値を維持するためには、投資家たちからユーロの需要がある必要があるということです。しかし、この場合、ユーロは資産として需要があることになり(…)保有され(…)その分、支払い手段としては流通しない(…)

 ということは、(…)その価値が高まれば高まるほど、ユーロの供給量は少なくなる(…)つまり、ユーロ・システムは、デフレ圧力が発生するという仕組みになっているのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.101-2]

ISBN:9784087208863

pp.98,108-113

(中野)自分たちの理論で説明できないものは意味がないとする啓蒙主義者の傲慢(…)

ありていに言えば「馬鹿な国民は黙って見てろ」ということなのですよ。(…)

(柴山)ハイエクのファシズムの原因分析は、ポラニーと真逆です。

(…)(中野)経済自由主義がもたらす、すばらしい世界を阻害するのが民衆の声だ、というのが彼らの理論*1(…)

EUそのものは民主的な組織ではありません。民主政治を隔離する巨大な官僚システムの完成形なのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.98,108-113]

ISBN:9784087208863

*1:p.98

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2017-07-23

p.75

国家が一般市民を動員したり、エリートやエスタブリッシュメントのもっている権利や財産を制限したりして社会を束ねるという経験の素地があったからこそ、対抗運動がうまく組織化されたし、ニュー・ディールの際に、政府が無理やり力ずくで、エスタブリッシュメントの権益を削って再分配に回し、規制を強化して社会を安定化することも可能だったのです。

 ポラニーもガルブレイスも見落としていたのですが、「対抗運動」や「拮抗力」というものは、総力戦を経験した社会から出てきたのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.75]


ISBN:9784087208863

pp.72-3

アメリカでもベンチャーの開業率は(…)一九七〇年代末と比べて半分にまで減っています。(…)独占・寡占がどんどん高まって(…)

産業集中度はこの二〇~三〇年で高まっているんです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.72-3]

ISBN:9784087208863

pp.64-7

(中野)中間層を再生するには、アメリカの再工業化が必要だというトランプの直観は大きく間違えているわけではない。(…)

レーガンもクリントンも、ブッシュだって、オバマだって、政権の前半は製造業の復活を掲げていた(…)大統領の四年や八年の任期の間では達成できないということです。

(…)

(柴山) 熟練労働者を育成するには何世代もの経験が必要だけど、壊れるのは一瞬。再び熟練労働者を育成しようと思うと、やっぱり何世代もかかる。

(中野) だから、(…)歴代の大統領は、政権の途中で金融のほうに走って、金融バブルを引き起こして失敗してきた。(…)

短い期間で簡単に成果が出るというのが理由の一(…)金融層が政治を支配しているからというのが、理由の二つめ。

 金融化によって国が弱るというのは、まさに第一次グローバル化の時代のイギリスで起きたことです。(…)

同じ(てつ)を踏んだわけです。どの国だって、金融化を進めれば自滅する。その泥沼から、いまだ抜けきれていない。

(柴山) しかも、厄介なことに、金融化のほうは、いったん始めると、後戻りがなかなかできない。(…)

今のアメリカは、何がどうあっても株価を下げるわけにはいかないという状態になっている。株が下がった瞬間に、あらゆることがおかしくなる。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.64-7]


ISBN:9784087208863

pp.51-3

(柴山)思い出すのが、一昔前の社会心理学の研究です。中産階級で学歴が比較的高い(…)自分で物事を決めていると思っている層ほど、実は広告会社などが仕掛ける流行に流されている。

(…)

サラリーマン層は、意見形成でもマスコミの影響をかなり受ける。(…)その時々のイデオロギーに影響されやすい。

(…)小池百合子にしても橋下徹にしても、あるいは安倍晋三にしても新自由主義的な改革を唱える政治家が、いまだ人気です。彼らはマスコミをうまく使って、都市部のサラリーマン層を中心に支持を集めている。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.51-3]


ISBN:9784087208863

pp.43-5,57

(中野)みんなが忘れているようだけれど、トランプが出てくる前に、NAFTAを見直すと言っていた政治家がいました。(…)

 ところが、(…)見直すどころか、その路線をもっと拡張したTPPを推進する側に回ってしまい、アメリカの労働者たちは失望した。その結果、もっと過激なトランプが出てくるという事態になったのです。

(…)

(柴山) 歴史を振り返ると、時代の転換期というのは、そういうものなのです。「言い出しっぺ」は激しい抵抗に遭うから、そんなに大きな路線変更はできないのだけれども、次の指導者はためらいなく前政権の路線を推し進めるということがある。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.43-5,p.57]


ISBN:9784087208863

pp.41-7

(柴山)アメリカで福祉拡大を言えばサンダースのようなポピュリズム左派と見なされるし、移民制限を言えばトランプのようにポピュリズム右派の烙印(らくいん)を押される。

 エリートの意見合わないこの二つは、どちらも「悪しきポピュリズム」と一括(ひとくく)りにされ(…)

自分たちの価値観を、絶対的な正義として法律にしたり教育に持ち込んだりと、社会改革の運動にしていく。

 その間違った情熱を(クリストファー・)ラッシュは「アメリカ社会衛生化十字軍」と呼んでいます。(…)

(中野) これこそが、ヒラリー・クリントンが嫌われた理由です。(…)

(柴山)今、アメリカで起きている分裂の危機を考える上で重要なのは、経済的な対立であるという以上に、文化的な対立だと捉えるべきだということです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.41-7]

ISBN:9784087208863

2017-07-21

pp.226-9

 日本人に必要なのは、ポストモダンじゃなくて、むしろ、自前のモダニズムだと思う。

(…)

 もともと地に足のついたモダニズムがないところへ、対抗モダニズム(マルクス主義)までなくなってしまった。これでは思想的に、真空状態みたいなものである。(…)

思想なしでも、体制は十分しっかりやっている。(…)近代主義はもう、なしですまそう。戦後思想を屑払いに出そう。既成の権威やしがらみと関係なく、自分たちの考えたいこと、気に入ったことだけを考えていけばいいじゃないか。

 こういう密かな思いが噴き出して、ポストモダンが人びとに迎えられたような気がする。(…)

どうも(日本の)ポストモダンは、旧世代の思想とまるで対決していないんじゃないか。

[橋爪大三郎『はじめての構造主義』pp.226-9]


ISBN:4061488988

p.206

構造主義と精神分析は、浅からぬつながりがあることになっている。レヴィ=ストロースの語るところによれば、構造主義には三つの源泉がある。マルクス主義、地質学、それに精神分析。これらに共通するのは、目に視える部分のに、本当の秩序(構造)が隠れている、と想定している点だ。あるところまで調べがすすむと、急にそれがあらわれてくる。

[橋爪大三郎『はじめての構造主義』p.206]

ISBN:4061488988

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