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読書ノート

2019-03-19

pp.198-212

 「職業の再建」は、「生活の再建」にもつながる。普通の働き方が広がれば、家庭に配慮した生活も可能になるからだ。

(…)

 藤田がいうソーシャルワーク実践*1とは、(…)満たされるべき必要を社会に確定する取り組みである。それが「生活の再建」だといえよう。

(…)それを「どのように満たすのか」は、「職業の再建」にかかっている。(…)

 持続可能な労働条件の実現を求めるだけでなく、職業を通じて社会の再生産に寄与し、自らの存在価値を実感できるような状態。働く者の尊厳が、そのようにして回復されることこそが、「職業の再建」にほかならない。

(…)井手英策のいう(…)

「ベーシック・サービス」*2を実現するための最大の社会的勢力こそが、「職業の再建」の担い手でもある一般労働者*3たちだ。年功賃金が得られない一般労働者たちは、ベーシック・サービスを不可欠とし、なおかつ社会のボリュームゾーンをなす社会階層だからだ。

 だから、「保障の再建」のカギを握るのも、実は一般労働者たちによる労働運動だといっていい。

(…)

 「企業に守られた正社員」から「一般労働者」へと転化している現代日本の(…)労働運動は、(…)「中間団体」の形成を目指すべきである。

[井手英策・今野晴貴・藤田孝典『未来の再建─暮らし・仕事・社会保障のグランドデザイン』pp.198-212]


ISBN:9784480071927

*1:pp.169-

*2:pp.141-

*3:「非正規雇用でフルタイムで働き、生活費を自分で賄っている労働者」「正社員でありながら、比較的単純な労働に長時間従事させられて使いつぶされる、ブラック企業の社員」「これまでの終身雇用・年功賃金の正社員や、主婦やアルバイトからなる非正規というカテゴリーには含まれない」「個別の企業にとらわれていない」「日本の労働者の中核をなしている」(p.181)