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読書ノート

2018-05-22

pp.220-1

灰塵(かいじん)と化した社会(…)狂気が覆う世界の下でも(…)

正気の人びとがイデオロギーの衣装をまとった「徒党」ではなく、どう自立した関係性を築いていけるのか。それは新たな戦後が(ふる)い戦後の繰り返しになるか否かの分水嶺になるだろう。

[田原牧『人間の居場所』pp.220-1]

ISBN:9784087208917

p.175

 人と人との関係に成立する居場所は自然には発生しない。そこには関係を編む意思を持つ個人がいなくてはならない。(…)あるべき世界の風景をいま見える視野の先に空想する力(…)

塀に象徴される人と人との分断を超えた、いまだ見ぬ「私たちの世界」の可能性を浮かび上がらせている。

[田原牧『人間の居場所』p.175]


ISBN:9784087208917

pp.165-72

 和光(晴生)さんは六十一歳のとき、徳島刑務所に身を移した。たとえ望まぬ環境であろうとも、(…)自らの主体性を失わないために、その場所でいかに生きていくべきなのか。(…)

 「塀の中をいかに更生への拠点、囚人が自主性をもち、元気におツトメするような『居場所』にしていくのかということを考えているのです」

(…)その根っ子には、全共闘運動から始まった自らの運動経験を振り返っての反省があった。

(…)「(…)『社会主義』を掲げ、『社会革命』を求めていた主体が、(…)人間関係をしっかり築けていなかったし、結果として、どこにも足場*1、基盤をつくれずにいたわけです。(…)」

「『失われた二十~三十年』に、旧『新左翼』勢力はなんら対応策をとれないままでした。(…)『活動家』一人ひとりの非社会性(…)『反権力』と『反社会』とを混同し、(…)(活動のためなら)万引行為などをよしとするような倫理道徳上での、人としての退廃もあらわになったりしました」

(…)

 自らの社会性の回復と居場所づくりの地ならしのために、和光さんがまず自分に課した目標は「プロの囚人」になることたった。

(…)一昔前の労働組合工作によく似ている。(…)まずはその職場に必要な人間(…)コミュニティーの一員になることで、自分の位置を客観的に把握し、能動的な姿勢に転じようとしていた。

(…)

 「今後は塀の中を自らの『持ち場』とし、そこでできること、やるべきことを果しつつ、時代に関わり続け、未来を見つめ続けます。塀の中に骨を埋める覚悟で元気に出発します」

[田原牧『人間の居場所』pp.165-72]

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ISBN:9784087208917

*1:p.10