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読書ノート

2018-03-01

pp.48-52

 厚生経済学の第一定理という仰々しいタイトルをつけられた定理は、(…)前章で述べた「完全競争市場モデル」*1の基本的な意味合いを示す数学命題に過ぎない。(…)競争市場経済は効率的で(…)仮定の下では、市場経済はすべての経済体制の中で最大の経済的成果を実現できる(…)このような効率性の定義*2は、公平さやその他の実現可能な社会的価値には全く注意を払っていないことに注意してほしい。(…)

今日、われわれが市場と聞いてすぐに効率性を連想するのは(…)二世紀以上にわたって市場経済と資本主義の便益について教え込まれたことが大きい。(…)

 厚生経済学の第一定理は、見えざる手の定理として経済学者の間で広く知られている。(…)

全くの仮想世界について考えられたものであり、現実の市場がそうであるといっているわけではない

[ダニ・ロドリック『エコノミクス・ルール 憂鬱な科学の功罪』柴山桂太・大川良文訳 pp.48-52]

ISBN:9784560095980

*1:「おなじみの供給―需要モデル(…)この人工世界は、経済学者が「完全競争市場」と呼ぶもので、消費者と生産者が無数にいる。全員が経済的利益を追及しており、誰も市場価格に影響を与えることができない。このモデルはたくさんのことを捨象している。(…)しかし、このモデルは現実の市場経済の単純な働きを解明してくれる」(p.20)

*2:――イタリアの博学者であるヴィルフレド・パレートに因んでパレート効率性と呼ばれる――