Hatena::Groupbook

読書ノート

2017-09-26

pp.68-9

 群れのなかに動作のにぶいスズメがいた。すぐに実を見失ってしまって、おたおしているばかりである。ところが困ることもない。群れのボス格のスズメは、自分が数粒の実を食べ終えると、群れから少し離れて、みんながうまく遊び、うまく食べているか様子をみる。それからまた群れに加わり、すばやく一粒の実を拾うと、勢いがあまったように走りつづけ、少々にぶい仲間の前まで行くところぶのである。本当にバタンとつまずく。そのとき、にぶいスズメの足元に、ポロッとくわえてきた実を落とす。

 それからボス格のスズメは、「あれ、落としちゃった。どこにいったのかな」というようにキョロキョロと見回し、「しょうがない、わからなくなっちゃったから次のを拾おう」というそぶりをみせながら、また群れの前面にでてくるのである。そうすると少々にぶいスズメは、その実を拾いパキパキと食べはじめる。

 群れのなかには、そういった行動をとるボス格のスズメが三、四羽いて、彼らが順番ににぶいスズメの前でつまずくのである。(…)

 そんな様子を見ていると、私はスズメの文化水準の高さに敬服してしまう。そしてこれが仲間とともに生きるものたちの、自由の守り方なのかと、考えてしまうのである。

[内山節『自由論——自然と人間のゆらぎの中で』pp.68-9]

ISBN:9784000286787