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読書ノート

2017-09-22

pp.196-7

 今や、金融危機が勃発し、エネルギー危機や食糧危機が現実化し、世界中で国家の権力強化や戦略的な活動が活発化している。ところが、我が国では、国家の自律性を高めるための経験をもったことがなく、新自由主義的な発想以外に政策哲学を知らない世代が、政官財の幹部やオピニオン・リーダーになってしまっている。彼らには、どう国家を強化したらよいのかが分からない。また、(…)そのための手段はすでに放棄されてしまっている。そのため、我が国の指導者層は、政治経済の世界的危機に直面しているというのに、なすすべもなく手をこまねいているしかない。(…)あるいは逆に、見当違いのやり方で国家権力をいたずらに強化しようとするおそれもある。

[中野剛志「コンドラチェフ波動説の復活?」『反官反民 中野剛志評論集』pp.196-7]


ISBN:9784864880015


pp.192-3

 思い起こせば、つい最近まで投機家たちは、これからは革新的な金融商品だ、ITだ、バイオテクノロジーだ、いやナノテクノロジーだと騒ぎ立てていた。それにあわせてジャーナリストや知識人たちもこぞって知識経済の時代が来たなどと講釈をしていたし、まだ言い続けている者もいる。ところが、その投機家たちは、金融商品というヴァーチャルなものに不安を感じて、食糧やエネルギーといったリアルなものに過剰に殺到している。これは世界経済が下部構造から動揺しているのが、表面に吹き出しつつあるということではないのだろうか。そのような不吉なものが感じられるのである。

[中野剛志「コンドラチェフ波動説の復活?」『反官反民 中野剛志評論集』pp.192-3]


ISBN:9784864880015