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読書ノート

2017-08-19

pp.171-3

 どうやら現代人たちは、自分の一生も経営感覚でつくりだしていかなければならなくなったようだ、と感じたのは一九八〇年代に入った頃であった。(…)

経営とは時間とともに生みだされる価値の展開であり、(…)

 もしかすると、自分の一生を経営感覚でとらえることのできる人々を、近代的市民というのではないかとも私は思った。(…)

 共同体社会がこわれ、近代的市民社会がつくられていく過程は、共同的な関係によって時間がつくられていく時代から、個人の時間が確立していく時代への転換であった。(…)

さまざまな時間世界が確立され、時間の多元化がすすむのであれば、ここに生まれる市民社会は、さまざまな個性に裏付けられた活力あふれるものになったであろう。だが現実はそうではなかった。(…)等速で直線的な時計の時間へと集約され(…)誰もがこの縦軸の時間をみながら、ときにこの時間に圧迫され、恐怖を覚え、追いかけられながら生きていくようになった。

[内山節『内山節著作集9 時間についての十二章』pp.171-3]


ISBN:9784540141331