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読書ノート

2017-05-14

pp.131-2

私たちは、ほとんど疑問の余地なく、文明化された朝廷の王者による未開の蛮族の制圧過程として、「土蜘蛛」の話を読み取るだろう。だがそれは、無意識のうちに『日本書紀』や『風土記』編者のねらいにはまってしまうことである。

 後世風の諡号(しごう)・尊称をとりのぞけば、五世紀ごろまでのヤマトの王や豪族は、実は、土蜘蛛たちと同質の名前をもっている。ここに目を据えれば、滅ぼした側も、滅ぼされた側も、こうした名前を身にまとうことに強い呪力の働きを見いだす、その意味では共通の宇宙観・自然観にたつ同質の首長たちだったことが、ありありとみえてくるだろう。

 名前の同質性に着目することは、ヤマトと「土蜘蛛」の対比の虚構性に目をひらかせるだけではない。〝男〟と〝女〟の区分への深い疑問にもつながっていく。

[義江明子『つくられた卑弥呼─<女>の創出と国家』pp.131-2]

ISBN:9784480062284

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