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読書ノート

2017-05-13

pp.083-7

一九五〇年代~六〇年代ごろの家族史研究では、戸籍の記載をそのまま家族実態と見なしてきた。しかし現在では、戸籍には租税収取・兵士徴発の台帳としてさまざまに作り替えの手が加わっていること、また、律令国家があらたに導入をめざしていた父系主義の原則で記載されているために、通い婚や、妻方居住婚等の実態はきわめて見えにくくなっていること、注意深く分析することで背後の実態がわずかに浮かび上がってくること、が明らかにされている*1

(…)

 戸籍については、何十年にもわたる大勢の研究者の努力によって、戸籍からは〝見えない〟関係が、少しずつ探り出されてきた。その場合、戸籍以外の史料には豊富に記録されている通い婚や妻方居住婚が、戸籍には一例も記載されていないのはなぜか、という疑問が解明への一つの手がかりとなった。倭人伝についても、その字面だけに視野を限定せず広く古代の婚姻関係全体を見渡せば、「大人皆四五婦、下戸或二三婦」への疑問が湧く

[義江明子『つくられた卑弥呼─<女>の創出と国家』pp.083-7]

ISBN:9784480062284

*1(南部『日本古代戸籍の研究』)

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