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読書ノート

2017-04-20

pp.100-2

古代の神社・宮廷における祭祀は「男女一組」となって行うのが常態で、両者の地位に本来は優劣・上下の関係はなかった*1(…)男性の神がかりの伝統は古い時代から確認でき*2(…)玉依ヒメ・玉依ヒコの名称に明らかなとおり、霊力(玉=魂)をよりつかせる能力を持ったのは女性だけではありませんでした。(…)

七世紀以前の古伝承を核とすると思われる氏文(うじぶみ)の中で、神への食事奉仕の由来は「八乎止古(やをとこ)八乎止竎(やおとめ)」によるものとして語られ*3、ヤヲトコ・ヤヲトメによる神饌奉仕は、平安期の宮廷祭祀儀礼にも生き続けています。(…)

八世紀の『風土記(ふどき)』には、豊饒(ほうじょう)を願う春の予祝行事たるカガヒの場で、「加味乃乎止古(かみのをとこ)」と「加味乃乎止売(かみのをとめ)」が性的に結ばれる物語が描かれています*4。また、(…)「土偶・石棒のような造形品が、特に男・女のどちらかの性の優位性を示しているとは、状況からみていえない」*5との指摘が、考古学のほうからなされています(…)豊饒の祈りに欠かせないのは、女性の出産機能そのものではなく、男女の結合(…)豊饒を願う神事は、男女によって担われていたのです。

[義江明子『古代女性史への招待 〈妹の力〉を超えて』pp.100-2]


ISBN:9784642079372

*1(岡田 一九八二)

*2(『日本書紀』天武元年七月条、『三代実録』貞観七年十二月九日条など)

*3(『高橋氏文』)

*4(「常陸国香島郡条」)

*5(間壁 一九八五)