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読書ノート

2017-02-06

pp.8-9

アナーキストの返答は、結局きわめて単純なものである。それは、もしあなたが人びとを、子供として処するなら、彼らは子供のように振舞うだろう、というものだ。だからこそ、真にホッブズ的な状況が生起するのは、極端に独裁主義的な国家が突如崩壊した時なのである。サダム・フセインが倒れた後、イラクで起った暴動と略奪は、まさにその範例(パラダイム)である。それが突然消失したところから、このもっとも粗暴な状態、もっとも異常な反社会的行動が出現した。国防省長官ラムズフェルドや合衆国の将軍たちが、この混乱にきわめて無関心だったことがその証左である。彼らはあたかも「わかった!まずこれらの人びとに、われわれが導入しようとする資本主義的民主主義の裏にあるものは、野蛮な貪欲と暴力の支配であって、民主主義とは、洗練された軍備を備えたわれわれの支配が必要でなくなるということを意味しない――このことを理解させよう!」と言っているかのようだった。アナーキズムにとって、真の民主主義とはこのことにかかわっている。それが想定するのは、もしあなたが人びとを本気で大人として処するなら、彼らは即刻、大人として行動しはじめるだろう、ということである。

[デヴィッド・グレーバー『アナーキスト人類学のための断章』高祖岩三郎訳 pp.8-9]

ISBN:9784753102518