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読書ノート

2016-12-10

pp.25-33

 それは、ご自身の体験と実践に裏打ちされた、極めてクリアな「能動的」象徴天皇像の提示――とでも表現すべき内容だ。

(…)伝統の継承者として、(…)

その「伝統」を固定し、硬直化した過去の遺物、〝骨董品(こっとうひん)〟にしてしまわないで、「いかに伝統を現代に生かすことができるか、(…)

過去・現在・未来を大きく視野に収めつつ、同時代の社会の要請に極力、お心を配ろうとされているのだ。

(…)

 皇室の祖先神、天照大神(あまてらすおおみかみ)の系統を正しく受け継ぎ、歴代の天皇が継承して来た皇位の〝しるし〟である神聖な「三種の神器(じんぎ)」を保持し、まぎれもなく皇位にある天皇「である」にしても、ただそれだけでは国民〝統合〟の「象徴」としての〝役割〟を十分「果たしている」とは言えない――(…)

「常に国民と共にある自覚」を内面において培い、またそのおのずからなる発露として行われてきたのが、さきの二つの「務め」*1に他ならない。天皇陛下は、その「務め」を十分〝能動的〟に果たしてこそ、真に「天皇」であり「象徴」であり得る、という極めて厳しいご自覚をもっておられるように拝される。

[高森明勅『天皇「生前退位」の真実』pp.25-33(傍線=傍点)]


資料


ISBN:9784344984417

*1:「「何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ること」「事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」」(p.27)