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読書ノート

2016-08-21

pp.212-5

懐風藻(かいふうそう)葛野王(かどのおおきみ)伝の記述(…)

群臣たちはそれぞれの私情によった意見を述べたため、議論は紛糾した。そこで葛野王は進み出て「我が国のによれば、神代より今日まで、子孫が相次いで皇位を継承することになっている。もし兄弟の順によって相続するならば、騒乱がこれより起きることは明らかなことである。天意を仰ぎ見て、それを推し測ることなどできようはずがあるまい。したがって、人間関係によって判断するならば、聖なる皇嗣はすでに決まったも同然である。いったいだれが異議を挟むことが許されようぞ」と仰せになった。(…)皇太后(持統天皇)は王の一言が国の方針を決したことをお褒めになり、特別に正四位を授けて式部卿に任命なさった。

(…)これは史上最初の皇太子選出の会議であった。(…)

会議を召集し、わざわざ群臣たちの合意を得ようとしたのは、(…)しかるべき権威を付与することが必要と判断されたためであったと考えられる。

[遠山美都男『天智と持統』pp.212-5(括弧内引用者)]


ISBN:9784062880770