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読書ノート

2016-05-27

pp.186-90

新規採用者数を減らし続け、(…)倒産やリストラ(…)民事再生や合併などが相次ぎ、(…)あふれた他社の工事監督を採用することで現場の人材を一時的に補いました。そのため、建設現場は教育の場ではなくなり、(…)

いま、建設現場は経験豊富な監督からの技術継承が思うように進まないまま、優秀な工事監督の現役引退を静かに見送り続けています。(…)

追い打ちをかけているのが、1999年の労働者派遣法の改正です。(…)

 建設業における派遣労働の問題点は、法律が改正されて15年が経ったいまの建設現場を見ればよく分かります。(…)責任範囲は細かく分断され、現場での業務の最優先事項が「個人的なリスク回避」になってしまいました。それにともない現場全体の士気は下がり、モラルは低下し、工事監督以下、各種業務の責任者間のコミュニケーション不足が慢性化(…)

後輩が助手としてつき、先輩のスキルを学んでいるわけではありません。契約期限を決められ、業務範囲を限定され(…)契約内容以上のがんばりを見せたところで誰かに評価されるわけでも、昇進するわけでもありません。ある現場で一緒に働いた職人たちと別の現場で顔を合わせるとも限りません。すべてが、その場その場のドライな関係です。(…)

現場を束ねていく際の要領を指導、教育していく動機がありません。法改正への対応やコンプライアンスの遵守が厳しく求められるなか、ますます増えていく管理書類や報告書の提出に追われる毎日です。「余計なこと」をしているヒマはないのです。

(…)

 短期的な利益を追求するばかりで長期的な人材教育をおろそかにし、人材の流動化という流行りの労働思想に乗ってしまった結果、(…)建設工事のクオリティは目に見えて下がっています。横浜の傾斜マンション問題も、まさにそうした状態が行き着いた先で、起こるべくして起こった事件だったのです。

[森山高至『非常識な建築業界 「どや建築」という病』pp.186-90]


ISBN:9784334039059