2016-02-19
pp.30-2
思想の感情からの離反、(…)観点を少し変へると、(…)感情がその本領を発揮して然るべき領域に思想が侵入してその領域の支配者となり、感情を思想に隷従させるといふ事でもある。(…)
問題は、本来見えて然るべき数多くの普通のものが、(…)感情の思想への隷従によって、見えなくなるといふところにある。(…)
普通の人、名もなき「常民」に具わつてゐたものが見えてゐたといふその事は、我々に彼(柳田國男)の感情の鍛練を十分に推知せしめるのである。思想による感情の侵蝕を許す人は、偉大な思想の道を歩むのを誇りにする事も出来よう。しかしさういふ人には、「常民」に具わつてゐるものが見えないのである。
[照屋佳男「社会の再発見と社会の防衛」pp.30-2]
- 〈特殊〉の存在理由,p.37
- コンプライアンスが日本を潰す,p.223
- 女性皇太子の誕生,pp.249-50
- 素朴への回帰,p.152
- ハンナ・アーレント,pp.127-8
- 知と疑い
- 「おのずから」と「みずから」,pp.96-100
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