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読書ノート

2015-12-09

pp.24-5

 言葉とは、その言葉をとおして「相手」との関係をつかむ役割をはたしているのだと私は思う。たとえば「虫の声」(…)私たちは秋の深まりと美しい音色を感じる。生きることの華やかさと寂しささえ感じることがある。(…)欧米語には「虫の声」に相応する言葉が存在せず、(…)意味が伝えられない。

 「虫の声」は、秋の虫がかなでる羽音と、それを聴く私たちとの関係がつくりだした言葉である。(…)だからバスク語の回復運動も、単なる失われた言語の回復運動ではなく、その言葉をとおしてつかみとられていた、その民族が持っていた関係的世界の回復運動なのである。

[内山節『戦争という仕事』pp.24-5]


ISBN:9784784070329

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