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読書ノート

2015-06-07

pp.221-6

自己との交わりや自分のおこないを吟味することを知らなければ、すなわち思考しなければ、どんな犯罪を犯すことも可能になる、とアーレントは述べた。思考そのものは社会に善をもたらすことはないが、価値や教義や理論などを吟味し破壊する機能をもつ。そして、危機の(まれ)な瞬間、ほかのすべての人びとが無思考に体制に順応している状況で役立つ、と論じた。

(…)

私たちは考えることや発言し行為することによって、自動的あるいは必然的に進んでいるかのような歴史のプロセスを中断することができる。そこで新たにはじめることができる。アーレントにとってその「はじまり」の有無こそは、人間の尊厳にかかわっていた。

[矢野久美子『ハンナ・アーレント/「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』pp.221-6(傍線=傍点)]


ISBN:9784121022578