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読書ノート

2015-06-05

pp.127-8

イデオロギー的思考は、過去・現在・未来について全体的に世界を説明することを約束する。そしていっさいの経験を無視して、予測不可能で偶然性に満ちている人びとの行為の特質と無関係な説明体系をつくりだす。確実なものとして見なされる前提から出発し、完全な論理的一貫性に即して、事実を処理するのである。(…)テロルは、複数の人間たちがつむぎだす一切の人間関係を破壊し、人びとの自発的な行為を不可能にして人びとのあいだにある世界を消滅させる。そうしたなかで、自由な行為の空間を喪失し(…)イデオロギーが(…)孤立した人間を必然的な論理体系のなかに組み込む。(…)

イデオロギーとテロルの支配下で(…)現実の世界が余計なものとなるのである。複数の人間のあいだにあり、人びとが(…)共有している世界の解体

[矢野久美子『ハンナ・アーレント/「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』pp.127-8]


ISBN:9784121022578