Hatena::Groupbook

読書ノート

2015-03-25

pp.026-041

 夕飯についての思考を担う部分や、背中の皮膚感覚を担う部分はもちろん活動しています。しかし、(…)「行動」を発現させてはいません。それぞれの行動は、「抑制」されています。したがって、(…)五感を通して推測することができないのです。

(…)心の「気配」を感じるとき、その正体は、この「活動はしているものの、伴われる(意識的、および無意識的)行動の発現を抑制する部位」なのです。(…)

「心を込めて、贈ります」と言いながら、滑らかに贈り物を差し出せるのは、夕飯のことを意識的に考えたり、(かゆ)みを無意識的に感じたりしている活動部位が、(…)行動を抑制し、「隠れた活動部位」となっているからです。

(…)「魔の二歳児」*1たちも、成長するにつれ、特定の行動を維持できるようになります。それは、(…)その行動以外の余計な行動の発現をしっかり抑制できるようになるということとともに成り立ちます。

(…)この余計な行動の抑制という重要な働きは、だれかにそうしろと明示的に教えられるわけではありません。社会の中で暮らすうちに、自然に獲得され、身に付いていくのです。

(…)私たちの意識が行動を選択し、それを実現するとき、心は確実に他の行動の抑制という行動を行っています。私たちは、その活動を「心の気配」として感じているのです。

[森山徹「ダンゴムシに心はあるのか/新しい心の科学」pp.026-041]


ISBN:9784569796550

*1:pp.036-8