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読書ノート

2014-10-01

pp.288-9

「ネオコン(…)」と呼ばれる戦略家たち(…)は、もともとは民主党支持者で、(…)カーター政権の弱腰外交に反発して、(…)共和党に鞍替えした人たちである。強硬な反ソ連主義者で、軍需産業をバックにしているため、安全保障政策では徹底的な強硬派だが、ユダヤ人が多く、中東においてはイスラエルの強力な支持者である。

(…)ネオコンはナチスに虐待された強烈な体験を持ち、ソ連という全体主義体制の中で差別され虐待された経験を背景に、人権意識が非常に強く、(…)民主主義や自由思想に対する思い入れが強い。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.288-9]

ISBN:9784794219923

p.280

「民主主義を共産主義から守る」という大義名分のもとで行われた秘密工作が繰り返されるたびに、独裁者が力をつけ、政治的穏健派が後退し、麻薬が氾濫し、組織犯罪が拡大するという矛盾(…)これらはアメリカの冷戦外交、とりわけCIAの秘密工作が生んだ、いわば「負の遺産」とも言えるものだった。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.280]


ISBN:9784794219923

p.277

オサマ・ビン・ラディンとアドルフ・ヒトラーの登場(…)共に反共産主義の砦として、アメリカ政財界の「同じ」エリート集団の支援を受け、後に敵対した(…)

世界経済を安定させ共産主義の拡大を防ぐという目的のために

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.277]


ISBN:9784794219923

p.276

 オサマが「聖戦」から継承したものは、(…)人脈だけではなかった。(…)今や欧米麻薬市場で圧倒的なシェアを誇るアフガン産麻薬の密輸利権(…)犯罪銀行BCCIの残骸(…)

ダレスやブッシュが第二次世界大戦以来、半世紀にわたって築きあげてきた冷戦の「負の遺産」だったと言うこともできるのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.276]


ISBN:9784794219923

pp.274-5

ソ連軍(…)撤退(…)が完了すると、アメリカは(…)パキスタンに対し、六億ドルの年間援助を唐突に停止すると通告し、同国を「テロリスト輸出国」としてブラックリストに載せ(…)「聖戦の戦士たち」を、今度は「テロリスト」呼ばわりするようになった(…)「主要な麻薬生産国である」という理由からアフガニスタンに対する支援も唐突に中止した。(…)麻薬生産を奨励し、(…)世界最大の麻薬生産国に押しあげた(…)CIA(…)

KGBのまいた種が芽を出して、ムジャヒディン同士が内ゲバを開始(…)「聖戦」に燃えるイスラム戦士たちが、この状況に幻滅し、やり場のない怒りを蓄積させていったとしても不思議ではない。(…)これがアル・カイダの原型だと言われている。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.274-5]

ISBN:9784794219923

p.272

ブッシュ(父)は(…)工作のための資金がアメリカからはほとんど出ないことに気がついた。そこでサウジの豊富な資金に目をつけ(…)CIAの活動を支えたのはこのサウジ・マネー(…)利用されたのがBCCIだったのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.272]

ISBN:9784794219923

p.265

 このいわば「アメリカに対する聖戦」は、一九九三年一月二十五日にその幕が切って落とされた。(…)ラングレイにあるCIA本部の正面でカラシニコフAK47を乱射し、CIA職員二名を殺害(…)二月二十六日には、世界貿易センタービル地下二階の駐車場で爆発(…)六人が死亡、千人が重軽傷を負う事件が発生した。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.265]

ISBN:9784794219923

pp.262-3

 一方のソ連(…)KGBは、(…)アフガン内部に「偽りの旗」を掲げた武装集団(…)つまり、ソ連軍に訓練されたアフガン・ゲリラ集団が、「CIAの支援を受けた反共ムジャヒディン」として(…)各派の間に混乱と内部抗争の火種を植えつけていった(…)彼らは異なるイスラム・ゲリラ組織同士の衝突を煽動し、必要に応じて(…)ソ連軍に降伏するなどして、(…)士気を削ぎ、(…)猜疑心を煽ろうと画策したのである*1

(…)ソ連軍が引き揚げた後に、KGBがまいた種が芽を吹き出しはじめ(…)お互いに猜疑心と反感を植えつけられたムジャヒディン各派が内部抗争をはじめ、アフガニスタンは以降長く悲惨な内戦に突入してしまう

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.262-3]

ISBN:9784794219923

pp.260-1

ムジャヒディン支援は、カーター政権下ではじめられたが、(…)レーガンが大統領に就任すると、(…)さらに大がかりな支援活動をはじめた。ここでも工作の主役を演じたのは(…)ブッシュ副大統領と、CIAの(…)ケーシー長官であった。(…)

CIAは世界中から急進派のイスラム教徒たちをパキスタンに呼び集め、アフガンのムジャヒディンと共に対ソ戦を戦わせるという一大秘密作戦(…)のいわば総合的なマネージメントを行い、サウジアラビアがスポンサーとなった。実際に急進派イスラム教徒たちを訓練する役割はパキスタンのISIやイギリスの傭兵会社が請け負った。こうして世界各地で「聖戦」に参加する義勇兵たちの徴募活動が展開され、八二年から九二年にかけて、中東、北アフリカ、アジアなど四十三ヵ国から約三万五千人(…)集まり、パキスタンのペシャワル近郊やアフガニスタン領内のキャンプで共に暮らし、イスラムの教義を学び、軍事訓練を受け、命を賭けて戦った。国籍を超えて思想を共有するイスラムの同志として、また共に戦った戦友として、(…)結束を強めていった。パキスタン人ジャーナリストのアハメド・ラシッドの言葉を借りれば、「これらのキャンプは、実質的に未来のイスラム急進主義の大学となった」のである。

 この「イスラム急進主義の大学」に(…)オサマ・ビン・ラディンがいた。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.260-1]

ISBN:9784794219923

pp.258-9

 ソ連軍がアフガニスタンに侵攻したとき、彼らを待ち構えていたのは、「ムジャヒディン」と呼ばれるイスラム教徒のゲリラだった。(…)CIAの他、パキスタンのISI(軍統合情報局)やサウジアラビア情報機関(GID)やイランなどが(…)支援した。(…)

前線では、ムジャヒディン各派が戦費をまかなうために、競うようにして麻薬生産に励んでいた。アフガンでは戦争勃発と共にアヘンの生産高が急増し、一九七九年から八一年にかけて生産は三倍に増加、八一年までに国連の調べではアフガン産ヘロインが西ヨーロッパやアメリカ合衆国のヘロイン市場の六十パーセントを占めるまでに増加したという。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.258-9]

ISBN:9784794219923

pp.257-8

カーター政権の国家安全保障問題担当補佐官(…)は、ロシア人に「彼らのベトナム戦争を与える」ために、アフガニスタンの反ソ勢力にてこ入れをはじめ、ソ連の介入を事実上誘発した。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.257-8]

参考


ISBN:9784794219923

p.248

国務省と「人道援助」を提供する契約を結んだ企業のうち少なくとも四社は麻薬密輸に関わっており、(…)

工作はニカラグアの内戦を激化させただけでなく、(…)CIAが有名な麻薬王たちを事実上「保護」したことから、アメリカ国内への麻薬の流入も急増し、麻薬の氾濫という巨大な負の遺産を残すことになったのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.248]

ISBN:9784794219923

p.244

八〇年代前半から(…)レバノンではイスラム過激派によるアメリカに対するテロが相次いで起こり、(…)八五年までに、イランが支援する(…)ヒズボラが、国務省やCIAの職員を含む多くのアメリカ人を捕らえて人質にするという最悪の事態が生じたのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.244]

ISBN:9784794219923

pp.240-2

上院は一九七五年十二月十九日に、政府の対アンゴラ援助拡大案を否決(…)アンゴラを親ソ派MPLAの支配から「解放」するには、大規模な軍事支援、とりわけ準軍事組織の投入が必要だった。(…)初仕事で「勝利」をあげたいブッシュ(…)

のCIAは、正式にイギリスに対して傭兵を(…)要請した。(…)政府が関与していると問題になるので、イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)の元隊員で構成される「民間」の警備会社が選ばれた。イギリスにはいくつもこうした民間の傭兵会社が存在し、政府が公に軍事介入できない場合に、政府から依頼を受けて軍事介入を請け負っていた。(…)

一九七六年一月には、第一便の傭兵や武器がイギリスからアンゴラへ送られ(…)軍を強力なゲリラ戦用に再編し、活発なゲリラ戦を展開させた。(…)

 一方、アメリカ国内では(…)(ASC)が、(…)資金援助を求める一大キャンペーンを展開していた。(…)

工作は一定の成功を収め、アンゴラの内戦は泥沼化し、(…)二〇〇二年二月にサビンビが殺害されるまで続けられたのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.240-2]

ISBN:9784794219923

p.238

「自分の国の産業は自分たちの手でコントロールしたい」という当たり前の願望が第三世界に広まっていることに危機感を抱いたCIAは、(…)指導者たちに淡い夢を持たせないように警告を発しなければならなかった。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.238]

ISBN:9784794219923

p.230

ソ連からの支援を受けていようがいまいが、アメリカの意に沿わない政権には「共産主義」のレッテルを貼り付けて潰し(…)こうした活動が(…)疑心暗鬼の悪循環に拍車をかけ(…)戦争を加熱化させていったのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.230]


ISBN:9784794219923

p.229

アメリカは自国企業の利権を守るために、(…)都合のよい口実を用いて介入し、自分たちの意に沿う独裁政権を打ち立てた(…)こうした近視眼的な政策は、(…)政治的穏健路線を葬り去って(…)多くの民衆の命を奪うことになった。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.229]


ISBN:9784794219923

p.228

「(…)脅威」を声高に訴えて世論を誘導し(…)CIAが(…)亡命者の訓練を開始(…)危機感を募らせた(…)政権が、ソ連ブロックに武器の調達を依頼(…)この行動は、(…)介入に関する決定的な口実を与え(…)米軍基地から軍事侵攻を開始

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.228]

ISBN:9784794219923

p.227

 ユナイテッド・フルーツ社はボストンに本社を置き、中米諸国の果樹栽培やその輸送を独占する巨大多国籍企業で(…)グアテマラ国内の耕作可能な土地の実に四十二パーセントを所有していた

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.227]

ISBN:9784794219923

p.226

一九五二年までにイランの生産は急落していた。モサデクは(…)生産は確保したものの、肝心の販路はすべて(…)欧米企業に握られ(…)世界市場で売却することはできなかったのである。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」p.226]


ISBN:9784794219923

pp.222-4

ダレス兄弟は、(…)一九四八年のイタリア総選挙で、(…)その後の反共秘密工作の基本パターンを確立している。(…)

選挙期間中に民間及び軍事援助の名目で三億五千万ドルをイタリアに注ぎ込み、反共産主義の一大キャンペーン(…)フランク・シナトラやゲーリー・クーパーなどの有名人をラジオに出演させて反共のコメントを流させ、新聞やジャーナリストを買収して共産主義の危険性を訴える記事や写真を大量に流した。また共産党の対立候補にも密かに活動資金を注ぎ込んだのである。かつて「イントレピッド」がアメリカに仕掛けた秘密工作のノウハウを盗み(…)イタリアで実践したのだった。

 しかもこうした工作資金の大部分は、アメリカ人の税金ではなく、大戦中にナチス・ドイツから押収した資産でまかなわれ(…)この資金には、ナチスが戦争中ユダヤ人から強奪した(…)「血塗られた金」も含まれていた。

[菅原出「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」pp.222-4]

ISBN:9784794219923

*1(二〇〇二年二月二十五日付『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙による)