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読書ノート

2014-09-20

pp.166-7

今この「パン」に当たるものとして一番しっくりくるのは「政治(投票権)」だったり。

 列車の床に食べかけのパンが散乱していた。(…)ワルシャワ発だった。(…)

人間の頽廃である。だがなぜそんな心境になってしまうのか。それは人々が上から与えられたシステムのなかで生きているだけで、自分たちで社会をつくってはいないからである。(…)つくりだしているという実感がない。だからパンも(…)社会システムが提供したものと感じる。しかもそのパンはまずく、人々はもっとまともなパンを提供しろという怒りをいだきながら、床にパンを投げ捨てる。ところがそのために国家システムはますますパンを増産しなければならなくなり、パンの質はいっそう低下していく。人々はさらにパンを無駄にする。

 こんな構造のなかで当時の「東側諸国」は崩壊していった。

[内山節「怯えの時代」pp.166-7]

ISBN:9784106036293