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読書ノート

2014-08-04

p.395

生存競争の世に国を立てゝ頼む所は(ただ)硝鉄のみとて、海陸の軍備に全力を注ぎ各国相対して唯(おく)れんことを恐るゝ(…)その軍備の進歩は(いず)れの辺に達して止むべきや。このまゝにして年々歳々唯進むの一方ならんには、遂には人間世界の衣食住を挙げて喧嘩争闘の資に供し、世々子孫喧嘩の()めに生れ喧嘩の()めに働き喧嘩の為めに死することゝ()り、人の智愚器械の精粗こそ(こと)なれ、同類相殺し相食(あいは)むの事実は恰も往古の蛮族に等しき奇観を呈するに至るべし。

[福澤諭吉「福翁百話」p.395]



慶應義塾大学 メディアセンター デジタルコレクション

p.139

妙按(みようあん)なきに苦しむのみなれども、我輩の所見を以てすれば、男女の間に行わるゝ無限の弊事を(かぞ)え立てゝ喋々(ちようちよう)するよりも、何は扨置(さてお)き彼の公然たる多妻法を禁ずるのみにして(かえつ)て大に実効を奏することあるべしと信ずるものなり。

[福澤諭吉「福翁百話」p.139]

慶應義塾大学 メディアセンター デジタルコレクション