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読書ノート

2014-05-14

p.149

ジーンズに作業着としての歴史がなく、終戦直後のビンテージ(古着)に憧れた日本人は、デニムの加工や仕上げ、洗いの新しい手法を考案し、高級デニムの革新者という世界的な評判を築いた(*6)。その地位を確立した今も、日本人は(…)ビンテージの風合いを求め、毎年二〇〇〇トン分のビンテージや現代のアメリカのジーンズが日本に輸出されている(*7)

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.149]

ISBN:9784767808260

p.148

 一九六〇年代を通じてジーンズは反体制文化(カウンターカルチャー)の象徴となり、(…)とくにベトナム戦争から戻ってきたばかりの復員兵がジーンズをはいて勲章を地面に投げ捨てる姿は、言葉より多くの怒りを物語った。ジーンズと長髪は、何に忠誠を誓っているかの証(…)

ベトナム戦争はアメリカに敗北と恥辱をもたらし、ジーンズの人気は下流階級から中流階級に広がった。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.148]

ISBN:9784767808260

p.147

 第二次世界大戦が終わると、人々は初めてジーンズを余暇に着るようになった。(…)アメリカ占領下の日本では、米兵が休日にジーンズをはき――日本人は「Gパン」と呼んだ――、デニムはその後も長いこと、くつろぎと近代化とアメリカの富と結びつけられるようになる。日本ではジーンズはめったに手に入らず、終戦直後は一ヵ月の給料の半分近い値段もついた(*4)。米兵の古着を売る店が東京中で繁盛した。やがて車と同じようにジーンズは大量生産商品となり、(…)ジャーナリストのジャネット・マルコムはニューヨーカー誌で、デニムを「大量生産の古典」と呼んだ。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.147]

ISBN:9784767808260

p.140

廃棄物や汚染が少ない染料を使うこともできるが、(…)そうした染料の「正確な取り扱いを知っている有能な染色技師がデニム企業には残っていない(*14)(…)

一部の染料は、米健康福祉省によると、人間に対する発癌性が「知られている」あるいは「合理的に予想される」。しかしそれらは、アメリカではもう生産されていないが、世界の多くの国では私たちが日常的に買う服に使われている。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.140]

ISBN:9784767808260

pp.133-4

染色は基本的に環境を汚染する作業だ。インディゴは、衣料に使われるほかの染料の多くに比べれば環境に対する罪は軽いが、(…)繰り返し染料に浸す必要があるため、(…)水に流れ出るのは化学物質より色素のほうが多い。

(…)染料には実に多くの化学物質が使われ(…)服が店に並ぶときまでに使われた化学物質の大半は洗い落とされている。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 pp.133-4]

ISBN:9784767808260

pp.131-2

 インディゴは一六世紀にオランダの商人が東インドからヨーロッパに持ち帰り、(…)かたまりは通貨として使われ(…)国際貿易の商品になると、イギリス人は綿のときと同じように興奮した。(…)

 フランスでは「あせやすい染料」で「腐食性のある致死的な薬品」とされ、アンリ四世の平穏な時代にふさわしい法律で規制された。(…)イギリスの記録によると、二〇世紀初頭までインディゴの使用は死刑だったが、そのころには(…)すでに合成インディゴ染料が市場に出回っていた(…)インドにとって壊滅的な事態だった。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 pp.131-2]

ISBN:9784767808260

pp.124-5

梱包をほどかれた後の綿に、「オーガニック」なことはあまりない。(…)デニムジーンズを作る過程そのものが、もともとオーガニックではありえないのだ。(…)こんにちの大量消費市場に、完全にオーガニックな服は存在しない。(…)

 まったく同じ色と感触と織り方で大量の繊維を生産する(…)デニムの正確さは、(…)丹念に綿密に計画され計算されている。(…)

 ジーンズの加工方法の組み合わせはほとんど無限にあり、驚くほどさまざまな物質を使う。(…)

 この洗い加工がジーンズの製造過程全体のなかで、いちばん環境に優しくないことはほぼ議論の余地がない。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 pp.124-5]

ISBN:9784767808260

p.123

インディゴはほかの染料に比べてかなり効率が悪く、綿の糸もインディゴで染めるには同じくらい効率が悪い。(…)虚しい組み合わせ(…)不完全さこそ、デニムにかかわる仕事をするすべての人に言わせれば、まさに愛すべきところだ。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.123]

ISBN:9784767808260

p.122

((…)隅々まで漂白された「自然っぽい」ベージュ色(…)綿はもっとベージュ色が濃かったが、遺伝子組み換えでどんどん白くなった。(…))

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.122]

ISBN:9784767808260

p.120

先進国で、ポリエステルが衣料の王様だった一九八〇年代から一〇年以上も悲惨な売上が続いた綿が復活を遂げた大きな理由は、カジュアル・フライデーのほかにないだろう。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.120]

ISBN:9784767808260

p.115

繊維業の集中化は中国にとって主要な収入源となり、イタリアにとっては最大のプライドの一つが悲しい終わりを迎える象徴となっている。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.115]

ISBN:9784767808260

p.115

 二〇〇五年の夏にイタリアの新聞各紙は、ユーロ導入はイタリアの近代史で最悪の経済政策の一つだったと論評し、政府内でリラ復活の動きが高まっていることを図表付きで示した。(…)ベルルスコーニは、ユーロが「すべての人から搾取していて」、それがイタリア経済の苦境の原因だと語った。(…)若者の失業率は高く、財政赤字は莫大で、経済成長率はEU加盟国のなかで最低レベル(…)

世界経済フォーラムはニ〇〇五年に、イタリアの「成長性の競争力指数」を、ボツワナをわずかに上回る程度と評価した

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.115]


ISBN:9784767808260

pp.111-2

 デニム業界で働く人に共通する考え方は、デニムは私たちと一緒に変化していて、未来の考古学者が当時の生活を描く地図になるだろうということだ。デニムには宗教に近い信者がいる。(…)デニムほど象徴として毅然としている生地はほかにない。反抗、反体制、先端性。そして、デニムほど文学的な表現を引き出す服もない。アリアナはデニムを「生き物」だという。「(…)色あせるとわかっているから、(…)デニムの魂を理解しなくてはいけない」。そのはかなさ(…)

予測不可能で万能(…)デニムの振る舞いは奇抜だ。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 pp.111-2]

ISBN:9784767808260

p.106

日本はファッション性の高いデニムの都として世界的な評判を築いた。洗い加工や仕上げに金を惜しまないデニムや、アバンギャルドでポストモダンな織物職人がデザインした流行に敏感なデニム、高級な特別素材や生地を使ったデニムだ。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.106]

ISBN:9784767808260

p.106

 パスカルは、「リーバイス501」が業界を変えたと語る。501の登場でデニムは大量生産市場となり、彼の言う「デニムのグローバル化」をもたらした。(…)完全に同じ方法で再生産(…)ファストフード業界がフライドポテトを機械化したようなものだ。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.106]

ISBN:9784767808260

pp.99-100

自分という人間を定義してきたものを失うことの意味を、彼は説明しようとした。「グッチ、アルマーニ、プラダ、これらは『イタリアン』だ」。(…)

彼の表現と美学において(…)世界は、毎日少しずつ美しさを失いつつある。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 pp.99-100]

ISBN:9784767808260

p.95

ここでは、ダンスには酒以上の力がある。(…)ダンスは自由を与えるが、同時に規則を維持している。

[レイチェル・ルイーズ・スナイダー「放浪のデニム/グローバル経済に翻弄されるジーンズの世界」矢羽野薫訳 p.95]

ISBN:9784767808260