Hatena::Groupbook

読書ノート

2014-03-04

xyn920140304

pp.147-50

 小池和男が指摘するように、日本企業では人材育成の方法としてOJTが重視されるが、それは(…)現場で不意の事件が発生した際にも十分に対処できるような実践的なノウハウを習得するための方法で(…)普遍的技術をマニュアルによって身につけただけではなしえない類いの熟練である。

(…)半製品について熟知するということは、(…)製造している企業において、(…)商品価値を持つ時点でしか意義がない。つまり、そうした具体的知識を習得することは、それを重要とみなさない他社では意味を持たないのである。これは、いわゆる資格がどこでも・いつでも通用する抽象的かつ一般的な知識の習得に対し行われるのとは対照的である。

(…)その意味で終身雇用は、誰もが安心して他社では使えない知識の習得に向かいうるための制度的保証であった。その限りでは、日本企業の競争力は、終身雇用制が支えていたのだということになる。

(…)

 けれども、(…)とりわけ八〇年代を通じ労働者にとって企業での活動を過重なものとし(…)「飲みニケーション」に象徴されるように、企業内の人間関係は濃密となった。(…)企業人のコミュニケーションは、特定の所属企業に縛られ(…)広く世間には知られていないことに(…)集中し(…)会社の文脈から離れてはコミュニケーションできなくなってしまった(…)父親は、長時間会社に滞在しているために家庭では不在になったといわれ(…)不況で早く帰宅したとしても家族とともに語る言葉を持つことができない人が多いといわれる。いわば居ながらにして「不在」(…)家族や社会から孤立している

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」pp.147-50]


ISBN:448005863X