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読書ノート

2014-03-03

xyn920140303

p.101

自動車産業などは六〇年代、幼稚産業として保護される一方、将来には貿易自由化にさらされると予告され、激しい技術革新競争に励んだ。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.101]


ISBN:448005863X

p.099

好況期には設備投資競争が起き、不況時には集中豪雨的な輸出が図られる。日本的経営はこうした経済環境に応じた経営形態として定着し、一方、過当競争を避けるために通産省が講じた(…)設備投資規制(…)行政指導カルテル(…)「仕切られた競争(compartmentalized competition)

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.099]

ISBN:448005863X

pp.094-5

公団住宅の登場(…)と時を同じくして都会の空間は、個人の占有物として仕切られてゆく。(…)農地が住宅に転用される途上で生じた「原っぱ」(…)路地に植木鉢が所狭しと置かれる江戸時代以来の光景(…)暗渠とされない小川(…)これらは所有者が明確である場合さえ、誰もが共用する(…)社交と憩いの場を提供していた。そうした準公共空間が徐々に消え去っていったのである。(…)情報は隣近所から対面的には伝わって来なくなり、コミュニケーションは家庭に内封されるとともにテレビを通じて全国に接続された。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」pp.094-5]


ISBN:448005863X

p.094

 五五〜七五年の(…)二〇年間で世帯総数が八〇%も増加した(…)世帯にはおのおの耐久消費財が備えられるから、世帯が増えるということは、そのまま耐久消費財への需要につながる。(…)(吉川、一九九七)。核家族化とそれに伴う耐久消費財需要の伸びが経済の高度成長に与えた影響は、計り知れない。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.094]

ISBN:448005863X

p.091

視聴者の消費欲望を強烈に刺激するもの(…)が先頭に立って急速に普及したことは、高度経済成長実現の足場を固めた。テレビは日本の消費社会化を推進するインフラストラクチャーだったのである。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.091]


ISBN:448005863X

p.089

プロレスにせよ日本人同士のメイン・イベントが成立するのは、猪木と馬場が主役をめぐって対立した七〇年代以降(…)単純な反米では観客の要望を満たせなくなったのは高度成長を実現した七〇年代前後だったということで、これは偶然の一致ではなかろう。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.089]

ISBN:448005863X

p.086

アメリカにあり自分たちになかったものとして「豊かさ」の存在に気づき、それを摂取することによってナショナル・アイデンティティの立て直しを図ったというのは事実だろう(吉見、一九九七)

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.086]


ISBN:448005863X

pp.084-5

個人消費のGNP比が四四年の三五・六%から四六年の七〇・三%に激増(…)(対照的に政府経常支出は(…)三七・一%から一一・六%に減少している)。また貿易は占領軍の管理下に置かれ、輸入は必要最小限に止められた(岡崎、一九九七)

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」pp.084-5]

ISBN:448005863X

p.083

一九二〇年代、日本経済は慢性的な不況に苛まれたが、個人消費支出が景気を下支えしたことは注目に値する。(…)所得の上昇、都市への人口集中、サラリーマンの増大、私鉄による都市郊外の開発、百貨店の増加(…)ターミナルもこの頃に発展し、(…)時代を読むに敏であった阪急百貨店の創業者・小林一三は、百貨店を「家族揃っての楽しみ」と呼んでいる。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.083]


ISBN:448005863X

p.077

行く行くは「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」((…)顧客を識別しそのシェアを追求する)が主流になると期待されている。多数の客を集めるのではなく一人の顧客に繰り返し買ってもらい、(…)顧客ごとの好みに合わせて提供するというのである。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.077]

ISBN:448005863X

p.075

不動産も個別性の強い商品だから、(…)それぞれの特徴をデータベースとして蓄積しておけば簡単に検索できる。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.075]

参考


ISBN:448005863X

pp.074-5

マスメディアにおける情報は基本的にフローであり、(…)流れている時点で多くの人の関心を惹きつけねばならない。ところがバーチャル・コミュニティでは、情報は多くの場合ストックされ、(…)長期間閲覧することができ(…)検索は、フローとストックとにかかわらず、電子ネットワークの得意とするところである。

(…)

 このような新たなコミュニケーション手段の登場により、(…)公正で協調的な市民社会や直接民主制、さらには完全な競争市場が現実に成立するという楽観論が、俄然勢いを得るようになった。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」pp.074-5]


ISBN:448005863X

p.071

IT革命に乗り遅れるなという号令(…)には奇妙なところがある。(…)そもそもアメリカ経済を八〇年代の低迷から復興させたIT革命には、日本型の経済システムと経営組織の長所を取り込むための工夫として案出された面があるからだ。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.071]

ISBN:448005863X

p.064

いまや「個性」は、社会的に表現され消費される対象となったのだ。(…)「他人との関係ばかりでなく、自分自身との関係が消費される関係」となっている。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.064]



ISBN:448005863X

p.062

消費はコミュニケーションとして、消費者のアイデンティティの微調整をおこなうのである。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.062]

ISBN:448005863X

p.060

 消費者の合理的な選択を信じる経済学においては、経済成長は、分配や外部不経済の問題を無視すれば、それじたいが進歩と受け取られる。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.060]


ISBN:448005863X

p.059

「操作型・産業資本主義」*1(…)は五〇年代から六〇年代にかけてアメリカに未曾有の経済的繁栄をもたらし、肯定的な評価を勝ち取っていった。(…)マスコミ主導ではあれ消費者が合理的かつ自由に商品選択を行っているからには分配の偏りは残るにしても全体の社会的厚生は高まっているはずだ、と考えられたのである。

[松原隆一郎「消費資本主義のゆくえ」p.059]


ISBN:448005863X

*1:p.045-