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読書ノート

2014-02-06

p.61

天照大神の神勅に日嗣(ひつぎ)の天壌と(とも)(きはまり)無しとこれ有り候処、神勅の相違なければ日本は(いま)だ亡びず、日本未だ亡びざれば正気(かさね)て発生の時は必ずある也。只今の時勢に頓着するは、神勅を疑うの罪、軽からざる也。(吉田松陰)

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.61]


ISBN:9784344983335

pp.64-5

メキシコはネオリベラル市場改革のショーウィンドウだった。それは世界中に自由市場を構築するというアメリカの企ての重要な場だったのである。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 pp.64-5]

ISBN:4532147565

p.64

メキシコはアメリカにとって非常に大きな戦略的重要性を持っている。アメリカ商務省によれば、NAFTA批准から一年後にメキシコはアメリカにとって上位三位の貿易相手国の一つとなった。カナダと日本の中間ぐらいで(…)ロシア、中国、そして欧州のほとんどの国を合わせたよりも多くのアメリカ製品を買っている。

(…)十五年か二十年のうちに、アメリカで暮らすメキシコ人の数はアメリカ黒人を上回り、(…)最大の少数派人種集団になるだろう。今*1ですら、彼らは強力な政治勢力である。

(…)メキシコで本格的な政治的混乱が起これば、アメリカにとって計り知れない影響を持つだろう。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.64]

ISBN:4532147565

p.245

バブル経済の破裂以来、(…)債務デフレという状況の中で、日本はケインズの処方による典型的なジレンマに陥っている。それはケインズが言った、金利を「意のままに操って」低下させることで需要を喚起しようとする政府のことである。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.245]

ISBN:4532147565

p.245

 日本のモデルには輸出不可能なものがたくさんある。他にあまり例を見ない日本の文化的持続性と同質性が日本モデルを保障するものである。しかし、高度に成熟した工業社会としての日本の置かれた環境は、江戸時代における技術の放棄と同じくらいユニークなものを後期近代の時代に達成することを可能にするかもしれない。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.245]

ISBN:4532147565

p.244

 もし日本の政策決定者がワシントン・コンセンサスの要求に屈するなら、日本は大量失業、氾濫する犯罪、社会的まとまりの崩壊という解決法のない問題を抱えるすべての西欧社会の仲間入りをするだろう。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.244]

ISBN:4532147565

p.243

 ワシントン・コンセンサスにとってもっとも許しがたい罪は、日本の完全雇用文化である。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.243]


ISBN:4532147565

pp.242-3

 日本の経済を社会の働きと一体化させている相互連結は、この何十年か、アメリカ政府の交渉者や多国間機構による攻撃の的となってきた。(…)保護主義の防波堤という汚名を着せられ、社会のまとまりを維持する上でそれらが果たしている役割は理解されないままできたか、あるいは拒絶されてきた。(…)社会的制度としての街角の小さな商店(…)のほうが、大量の刑務所収容よりも有効に機能するかもしれないという可能性は、奇怪なものとして片付けられ(…)考慮の対象にすらならないのである。

 ある明敏なイギリスの観察者は次のように述べている。

 アメリカ司法省の報告によれば、最新時点で百十万人が刑務所に入っている。(…)全人口のうちおよそ二百人に一人という割合である。(…)このような社会(…)規制撤廃から機関投資家の力、福祉事業に至るまで、(…)アメリカは、すべての国際機関にとっての青写真になっているのだ。OECDは(日本に関する年次報告書の中で)小規模商店の保護を終わらせるようさらに規制緩和を要求している。OECDは、過去十五年間に日本では十五の商店につき一つが廃業したと勝ち誇ったように自慢している。小規模商店はかつてない早さで姿を消している。大きな社会的混乱という犠牲を払って、わずかばかりの効率の向上が得られているのである16

 ワシントン・コンセンサスの日本に対する要求は、小規模商店の廃業だけではない。貯蓄率を低下させること、完全雇用文化を放棄すること、市場個人主義を採用することなどが含まれる。全体として見れば、(…)日本に日本であることを止めよと要求しているに等しい

(…)

16 Graham Searjeant*2, ‘Economically, jails cost more than corner shops’, The Times, 11 December 1995.(p.301)

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 pp.242-3]


ISBN:4532147565

p.242

日本では「財閥とその他のつながりが工業、商業、金融企業を他のいかなる国でも見られないような厚く、複雑なにつなげている15とはよく言われることである。日本ではこれらの大企業グループが、おびただしい多様性を持つ中小企業と共存している。しかし、こうした一般の企業が活動する枠組みを作っているのは大企業グループなのである。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.242]

ISBN:4532147565

p.241

セイル*3が言うように、「日本の政府は社会から分かれて、あるいは社会の上にある存在ではない。それはむしろ、〝和〟による取引交渉される場なのである12。この点で日本は、ヨーロッパ諸国とだけでなく、中国や朝鮮とも大きく違っている

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.241]

ISBN:4532147565

p.240

社会構造や文化的伝統を変える(…)初めからそうした目的でなかったのである。日本の工業化は国家の独立を維持する目的で促進された。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.240]


ISBN:4532147565

p.239

長いこと識字率が高く、都市生活は急速に発展し(…)新技術が吸収され、中央集権国家が存立(…)日本はこれら近代化のしるしを、その社会構造や文化的伝統を西欧化することなく獲得していたのである。(…)

 歴史に関する啓蒙思想哲学によれば、各国は西欧社会をまねることによって近代化した。こうした哲学とそれが支持した近代化理論は、二十世紀初頭の日本によってすでに誤りであることが証明されたのである。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.239]


ISBN:4532147565

p.239

初期の資本主義理論家たちは、資本主義と個人主義の結びつきを間違って普遍的法則として受け取った。彼らが自分たちの理論を基づかせた証拠は、大部分が少数の西欧諸国に限られたものだったからだ。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.239]

ISBN:4532147565

pp.238-9

日本の工業化における一つの根本的な真理を示すもの(…)は、ヨーロッパ大陸諸国で起こったような封建的社会秩序との決定的な断絶を伴わなかったということだ。

 日本の企業は、中世から引き継がれた制度への接木として発達し(…)近代的な工業経済は、そのもっとも重要な部分にあった社会秩序を破壊しないまま内包させていた。武士階級、すなわちサムライ層が先導した日本の近代化は、その出発点だった封建的秩序が崩壊しなかったからこそ可能だったのである。

 技術の絆が古い社会構造に作用し、それを崩壊させるというマルクス理論は、日本の場合にはほとんど適用されなかった。知識の成長とアイデアの革新を通じて社会が進化するというリベラル的な通説についても同じである。西欧の歴史をモデルにした近代化物語は日本の経験には通用しない

(…)日本の市場制度は契約の文化よりは信頼のネットワークに依存している。(…)日本の資本主義が示す倫理性は個人主義的でなく、そうなる兆しも見せていない。

 日本の資本主義とイギリス、アメリカの資本主義との間にあるこの深い、いつまでも続く相違は根本的な真理を示すものだ。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 pp.238-9]

ISBN:4532147565

p.237

ペリーの黒船によって日本の孤立とロー・テクノロジーの実験は終わった。それは「ゼロ成長経済が繁栄と文明化された生活と完全に両立する」ことを証明した実験だった。

[ジョン・グレイ「グローバリズムという妄想」石塚雅彦訳 p.237]

ISBN:4532147565

*1:「本書は一九九八年にイギリスで出版された」(p.293)

*2:Serjeant ?

*3:Murray Sayle