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読書ノート

2014-01-25

pp.157-8

日本国家の成立史上で、氏の発生する時期は、いまだ明確ではないが、私は三世紀頃と推定している。それまでは各地方に〝小さなクニ(地域)〟が散在していたであろうが。その場合、域内の各個人には何らかの氏名がついていても、その首長は〝キミ〟(君・公)のみを通称とし、氏はなかった。なくても通用したからである((…))。

 しかし、〝小さなクニ〟が次第に統合されて大規模になると、(…)首長も、氏がないと呼び分けられなくなる。これらの大豪族の氏((…))は、そのようにして自然に発生、ないし彼等を統一した大首長から賜与されたのである。ところが統一した側の大首長のみは、当然、氏姓がなくともキミ(公・君)で通る。これがのちの「天皇」であるから、皇室に氏なし、ということになるのである。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.157-8]


ISBN:9784344983335

pp.155-6

『古事記』の文中では、スサノヲの尊が天照大神に対して、(…)女子を生んだので清明心が証明されたというのである。これは『日本書紀』の内容とは逆である。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.155-6]

ISBN:9784344983335

pp.152-3

『典範』にはもともと改正規定が無いため、『増補』や『準則』の形で改訂したのである。〝皇庶子孫〟の存在も、昭和天皇の〝側室廃止〟によって、いつの間にか自然に、『典範』の中から消え去った

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.152-3(傍線=傍点)]


ISBN:9784344983335

pp.149-50

 日本の歴史を顧みれば、皇位が〝兄弟相及ぶ〟時に、皇統が「分裂」し、乱が起きる場合が多い。(…)このことは、「直系継承」の重要さを示しており、現下の皇太子殿下以降の皇位継承を考える場合でも、参考とすべき原則ではなかろうか。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.149-50]


ISBN:9784344983335

pp.148-9

胤」(…)を用いると、この「胤」を〝タネ〟と解し、男性の〝精子〟の意味に説く(…)渡部昇一氏(…)この(たとえ)には実は出典(タネ?)があって、『訓俗遺規巻三魏叔子日録』に見える((…))。もちろん、シナの話である。

(…)

胤」は、「天子の子孫」すなわち「皇裔」と同じ意味で、本来、男女の区別自体は問題とならない。

(…)それ故に〈二〉で、わざわざ「男系に限る」と述べているのである。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.148-9]

参考


ISBN:9784344983335

p.146

〝お(つぼね)制度〟が廃止された(…)

当時に、〝側室制の廃止〟と〝男系世襲というシナ伝来の慣習〟との矛盾を解決しておくべきであったのに、(…)大慶祝の蔭に消え去ったことは惜しまれる。現在も同様な失敗を繰り返してはならない

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.146(傍線=傍点)]


ISBN:9784344983335

p.145

「一統」は皇家を中核とする同族・総体を含め、帯のようなゆたかな幅がある。「一系」よりも「一統」の方が、日本の歴史の実情に適している。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.145]

ISBN:9784344983335

p.144#b

おそらく三、四世紀頃、朝鮮半島を経由して新文化のシナ宗族制が導入され、(…)制度の中に採用されて、法的に固定化した。天皇の側室制もこの時に公認化されたのである。

 しかし、その律令制の中でも、日本はシナと異なり、「女帝」が認められ、〝女子の口分田〟が支給されていた。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.144]


ISBN:9784344983335

p.144

「――系」という表現を用いるとするならば、私は「メヲト系」とでも名付けたい。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.144]


ISBN:9784344983335

p.143

九州方面では、古く〝女性首長〟が存在し(…)〝ヒコ・ヒメ制〟(…)つまり男・女の共同統治が行われており、子供は父と母の間に生まれるという意識が強く、男女の優劣をシナのように強調しない

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.143(傍線=傍点)]


ISBN:9784344983335

pp.142-3

殷の時代の後期には〝一妻多夫〟の現実があったらしく、(…)それが、周の時代には、(…)「一夫一妻多妾(たしょう)」や、「同姓不婚」「異姓不養」「民不祀非族」「父子一気」等を特色とするシナ独特の宗族制が成立するのである。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.142-3]


ISBN:9784344983335

pp.140-1

竹田恒和(つねかず)氏は、(…)恒徳(つねよし)王の三男であるため、生誕時すでに長男系の公式の「王」ではない。(…)完全な民間人ということになるのである。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.140-1(傍線=傍点)]

ISBN:9784344983335

p.139#b

ポツダム宣言(…)当時の日本は、天皇陛下御自らの御身の上も定かでなく、(…)多くの戸主が軍籍にあった皇族方も(…)苛酷な運命があるかも知れず、国民も、(…)公職追放・教職追放など、非情な境遇にさらされていたのである。皇族の方々が、最も案ぜられたのは、何よりも陛下の御身の上で、(…)御負担を出来るだけ軽くするため、臣籍降下をむしろ進んで申し出られた方々があったということである。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.139]


ISBN:9784344983335

p.139#a

 昔の大宝・養老令にも、「皇親」(ほぼ現在の「皇族」に等しい)は、四世ないし五世で臣籍に降下する定めになっていた。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.139]


ISBN:9784344983335

p.138

皇族宮家消滅という現実の前に、男系固執のグループの中でも、最近は、「女性宮家」の創設そのものに、(…)結局は同意せざるを得ない、という立場にある者が少なくないのである。

 ただし、(…)配偶者((…))は、現在の皇族をベストとするが、それが現実に不可能(…)だから、代わりの第一案としては、必ず「旧皇族」の流れを汲む御方に限ることを主張し、(…)それ以外の民間人は排除するという。

 第二案は、(…)占領政策の被害をうけて臣籍降下させられた十一宮家(…)の中から皇族に復帰していただくことにせよ、との条件をつける。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.138]


ISBN:9784344983335

p.130

なお、上代においては、特別な儀式がなくても、皇太子になられるというそのことが、先帝の「太子」〈男女あり〉すなわち「御子」になられることを意味しており、皇位継承上の相伝が事実上の親子よりも優先していた((…)「中天皇をめぐる諸問題」を参照。『田中卓著作集』第五巻二一〇〜六頁に所収)

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.130]

ISBN:9784344983335

p.127

 平泉澄(…)「風稜日記」大正七年六月二十七日条(…)

 「今ノ世ニ於テ曲学阿世トイフハ民主自由ナドヲ唱ヘテ花々シク絶叫スル輩ナリ、/維新ノ志士ノ如ク幕府ト争フハ却ッテ易シ、今後俗衆ト争フハ非常ノ困難也

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.127(傍線=傍点)]


ISBN:9784344983335

p.125#b

是非、読者の注意を喚起しておきたいのは、〝誤報〟または〝デマ〟の恐ろしさである。

 古来、開戦には種々の要因があるが、誤報やデマほど判断を誤らせるものはない。近くはアメリカがイラク情報を誤って泥沼の戦争に陥ったこと、周知の通りであろう。壬申の乱の発起も、種々の学説があるが、私は誤報からきた疑惑、不信感が大きいと考えている。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.125]


ISBN:9784344983335

p.125#a

大東亜戦争の敗北を経験した(…)当時、大学卒業後で国史を学び始めていた私が、ただちに連想したのは〝壬申の乱〟であった。それは、日唐戦争に敗れた後の日本が、外敵とは講和したものの、国内で(…)国家を二分して戦った悲惨な内乱である。そのため、私の最初の研究テーマは〝壬申の乱〟

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.125]


ISBN:9784344983335

p.124

西尾・保阪論に対して、(…)現在の論壇はほとんど黙して語らずで、資料を挙げての本格的な反論もなく、事勿(ことなか)れの姿勢に終始しているように思われる。

 この姿は、情けないというより、むしろ恐ろしい事態ではあるまいか。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.124]


ISBN:9784344983335

p.120

 八木氏は、(…)次のような談話を発表した(朝日新聞『アエラ』平成十八年二月二十日号)

 最近、尊皇心の強い人に出会うと、皇太子ご一家3人がそろって皇籍を離脱したらいいという意見を聞く。彼らの言い分では、この際、東宮そのものをなくして、皇位継承の中心的存在を秋篠宮家にした上で、旧宮家の皇籍を復活させ、縁談を進めればいい、という考えだ。

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.120(傍線=傍点)]

ISBN:9784344983335

p.117

八木秀次氏の発言*1(…)

 「タイトルを見て、皇太子さまの廃嫡や皇位継承順位の変更、または秋篠宮さまが次期天皇に向けて強い決意(…)との逸話など(…)かと期待したのに、(…)」

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.117]

ISBN:9784344983335

pp.111-2

その御発言に対して、その場で、メディアには〝妃殿下の人格否定〟につながるようなスキャンダル記事を流す不埒(ふらち)な者はおりません、と断言し、反論するだけの自信と気骨のある記者が一人でもいたのかどうか

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.111-2]

資料


ISBN:9784344983335

pp.109-10

保阪*2氏は宮内庁と東宮側の対立を強調し、「この八方ふさがりの状況下にあって、(…)秋篠宮の存在感が増していると感じるのは私だけだろうか」(一〇〇頁)と、秋篠宮殿下の存在感を持ち上げている。

(…)他方、(…)斎藤吉久氏が、自らのメールマガジン(…)の中で、「皇室祭祀の伝統」に関し(…)「高まる皇太子の存在感」を主張している(平成二十一年正月十三日発行)

[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」pp.109-10]

資料


ISBN:9784344983335

p.109

実際は,宮内庁長官は,「皇室そのものが(…)ご病気の原因ではないか」といった論調がしばしば報道等で見られることに対し,両陛下が深く傷つかれた発言し,東宮大夫も長官の発言に同調し,このような論調には妃殿下も深く傷つかれている述べた

宮内庁長官と東宮大夫の記者会見をめぐる最近の皇室関連報道について - 宮内庁
[田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか/女性皇太子の誕生」p.109]

資料


ISBN:9784344983335

*1:「『週間新潮』(一月二十九日号)

*2:「「保阪(ほさか)正康(まさやす)」」(p.95)