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読書ノート

2013-11-06

p.169

 社会が民主的政体であり続けるためには,家族と国家を仲介する中間的諸関係がどれだけ保たれているかにかかっていると,W・コーンハウザーは『大衆社会の政治』において論述している(…) 地域社会や自発的組織など(…)は個人の自由を守るために(…)全体社会の暴走を食い止める歯止めとなり,また孤立しそうな個人を社会につなぎ止める役割を果たす。 (…)現代社会において最も強力な中間組織は企業集団であるのだが,今日に至るまでその役割を全うするどころか,個人の原子化,孤立化を幇助するに至っていると言わざるをえない。

 立憲制度の伝統のもとで交渉の窓口となる中間集団を育てたイギリスや,当初から解体すべき対抗勢力を持たなかったアメリカなどに比べ,ドイツやイタリア,そしてロシア,さらにフランスなどはそうした中間集団が育たなかったことに,大衆社会の到来とともに緩衝材のない個人がいきなり国家へと向かう構造があったと, コーンハウザーは指摘している。

[根本正一「ホワイトカラーの暴走:企業社会に潜むナチズムとの親和性」『ソシオサイエンス』 Vol.15 p.169]

ISSN:1345-8116