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読書ノート

2013-11-06

p.166

 そもそもそうした挫折したホワイトカラー層の感情は,ナチ党の指導者層のそれと相通ずるものがある。(…)「自分は才能があるのに,世の中に認められていない」という(…)深いルサンチマン(…)をため込んでいた。

(…)ナチズムに明確な思想の基盤があったわけではなかった(…)自らのルサンチマンを晴らそうと(…)いった考えを権威づけるために,(…)あらゆる思想家の業績を都合よく利用したにすぎない。民族共同体思想や反ユダヤ主義,社会ダーウィン主義――など理論自体としてはナチズムとは別個に出てきたものだが,共同体から排除されるべき敵を想定し,その敵を自分よりも劣ったものとして見下し,生存のために徹底的な抗戦を挑むことにより,自らを擬似的に高めアイデンティティーを保とうとする友敵論にとっては,格好の思想的拠り所となる。

 理念として存在するのは独特の指導者理論だけだった。その支配形態は(…)ホワイトカラー層がこれまでたどってきた企業内での組織原理とほとんど変わるところがない。(…)イデオロギーは無批判にお題目として唱えられるだけで,彼らに対しては(…)具体的な指令としてやってくるだけだった。

[根本正一「ホワイトカラーの暴走:企業社会に潜むナチズムとの親和性」『ソシオサイエンス』 Vol.15 p.166]


ISSN:1345-8116