Hatena::Groupbook

読書ノート

2013-11-03

p.243

現実の地域産業政策は、依然として経済成長を最優先する既存のパラダイムに捕らわれ(…)しかも、それがために、福利どころか経済成長すら達成できないという皮肉な結果に陥っている。(…)「オルタナティヴ・ヴィジョン」の実践は、可能性があるというだけでなく、必要性があるのである。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.243]

ISBN:9784779505133

p.241

リレーションシップ・バンキングは、金融市場の不安定化や危機に際して、中小企業などに安定的な資金を供給し、地域経済を安定化させる役割を果たす。(…)行政による金融機関の適切な監督・指導が不可欠である(…)ことから、金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に「地域密着型金融の推進」の項を設けている(22)

(…)

(22) アメリカ(…)地域社会再投資法(Community Reinvestment Act)(p.246)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.241]

ISBN:9784779505133

p.239

村松岐夫は、綿密な実証分析によって、日本が中央集権国家であるとする説を否定している。(…)法制度の上では確かに集権的であるが、地方は実質的な自治を持っている。(…)日本の中央政府は、地域の社会関係資本の発達を阻害するほど中央集権的であるとは言えないのである。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.239]

ISBN:9784779505133

pp.238-9

フランシス・フクヤマ(…)狭い範囲内のつながりによって生まれた社会関係資本は閉鎖的で内向的になりがち(…)国家が(…)地域を超えた広い視点を与えることが重要

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.238-9]

ISBN:9784779505133

p.238

ピーター・エヴァンス(…)国家がより弱体で消極的になっていくと、自主的な中間組織がその目的を達成することが難しく(…)また、社会関係資本が豊かになれば、国家政策はより効果的になる(9)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.238]

ISBN:9784779505133

p.238

シーダ・スコッチポルによれば、アメリカでは、連邦政府と州政府が自主的組織・宗教法人・非営利法人に対して補助を行ったり、協調・連携(…)形成に大きな役割を果たしてきたという。

二十世紀に形成された自主的な中間組織は、しばしば政府がトップダウンで形成を促進してきたのであり、市民社会を政府と対立するものとして理解すべきではない(8)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.238]


ISBN:9784779505133

p.237

戦後の地域産業政策の変遷は、経済成長を至上目的とする政策の限界が次第に明らかとなり、(…)活性化のためには、地域内在する社会的価値や社会関係資本が重要であることが認識されるようになっていくプロセスであった。

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.237]

ISBN:9784779505133

p.237

戦後の地域産業政策の歴史は、経済成長そのものを政策の目的とすると、地域社会の個性的な発展に失敗するばかりでなく、経済成長という結果すら出せないことを示している

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.237]

ISBN:9784779505133

p.233

地域産業政策は時代の変化に応じて変貌(…)だが、いずれも地域の外からの産業振興で、内発的な発展という面を軽視していた点で、共通の弱点を持っていた(4)

[黒籔誠「オルタナティヴ・ヴィジョンはユートピアか――地域産業政策の転換」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.233]

ISBN:9784779505133

p.341

本来商品として市場で自由に売買されることを想定されていない擬制商品としての貨幣のもつ可能性について、再度考えてみる必要があるだろう。(…) 自己調整的であるためには生産要素のすべての市場が存在する必要がある一方で、まさに本来商品ではない労働・土地・貨幣にまで市場が拡張することによって、究極的には自己調整的市場自体を掘り崩してしまう

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.341]

ISBN:9784779505133

p.340

異なる社会が市場を構築するさいの「実証的なバリエーションは、それぞれのやり方(…)異なった埋め込みの取り決め」をめぐるものなのだ(36)

(…)異なった制度的取り決めの可能性に注目することで、イデオロギー論争を回避すること(…)たんに英米型を仮定するものとは異なる規制の方途について考えていくことが可能となる。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.340]

ISBN:9784779505133

p.337

戦後国際経済秩序は米(英)型の資本主義がそのまま国際領域に投影された秩序であり、今日においては、グローバル化にともなうネオリベラルなイデオロギーによってそれがさらに推し進められたとすらいえる。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.337]

ISBN:9784779505133

p.337

より制度的な視座からみると、「埋め込まれた自由主義」は、国家の役割についての諸国間合意である「社会的目標の一致」というかたちで正当化が付与されるという意味において、覇権安定論のより洗練された理論として捉えることもできよう。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.337]

ISBN:9784779505133

pp.336-7

W・M・スキャンメルの言葉を借りるならば、IMFの目的と活動は、もともとケインズとホワイトによって想定されていたものから、米国の「自由化目標」へと移り変わっていった(…)

ブレトン・ウッズ体制は国際通貨システムとして大きな問題を抱え(…)深刻化する国際収支の赤字とあわせて、自由化を促進するという従来の立場に米国を引き戻したのである。

 これは米国が覇権国として、十九世紀と同様の開かれた自由主義的な国際経済秩序を築いたとする、(…)「覇権安定論」に通じるものである(25)

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.336-7]

ISBN:9784779505133

p.332

「(…)歴史を忘れることは……過去に経済的政治的混乱を促したような条件を整えてしまうというリスクをともなう」のである(8)

(…)

(8) Jonathan Kirshner,(…)またJacqueline Best,(…)(p.344)

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.332]

ISBN:9784779505133

p.329

このグローバル金融危機*1 は、ともすると市場が平静さを取り戻すにつれて資本主義の今日的展開について再検討を求める声がかき消されていった、アジア金融危機とそれに続く国際金融アーキテクチャーをめぐる論争が辿った道を繰り返すのかもしれない。

[五野井郁夫・安高啓朗「グローバル金融秩序と埋め込まれた自由主義――「ポスト・アメリカ」の世界秩序構想に向けて」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 p.329]

ISBN:9784779505133

p.26

『渋江抽斎』には不思議なおもしろさがある。『伊沢蘭軒』はなんとか読み進められる。だが、『北条霞亭』は勘弁して欲しい。それが私の率直な感想である。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」p.26]

ISBN:9784140883785

pp.5-6

 漢籍的教養の上に西欧的教養を積んだものたちが「明治十五年以前生まれ」なら、白紙の上に西欧的教養を積んだのが「明治十五年以後生まれの青年たち」であろう。武士的道徳が消滅したのち、大衆的流行文化と経済万能主義の大波を浴びつつ人となった世代、ということでもあろう。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」pp.5-6]

ISBN:9784140883785

pp.4-5

 日露戦争のために払った人命犠牲と増税の痛みは、講和の「軟弱」な条件では癒されない。戦争を継続せよ、ロシア沿海州を日本領とするまでは戦うべし、と国民とマスコミは叫んだ。

 リアルな感覚を持っていたのは政と軍、より好戦的であったのは民と新聞という逆転がこのとき生じた。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」pp.4-5]


ISBN:9784140883785

p.220

 戦争中のらいてうは国策に協力的であった。皮肉なことに女性の社会進出が戦中に活発(…)男たちがみな出征したからである。(…)「銃後」も「民主化」も新しい事態、新しい体制だったから、「新しい女」は新しい事態に接して勇躍したのである。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」p.220]


ISBN:9784140883785

p.210

 現代、一部の青年がサイバーワールドと現実を混同するように、明治青年らは西洋哲学を実人生よりリアルなものだと錯覚したのである。(…)

平塚明子もそのひとり(…)ただし彼女の場合、西洋哲学ではなく、禅であった。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」p.210]

ISBN:9784140883785

pp.206-7

明治日本を支配する男性原理への満腔の不満(…)

家から家へ、妻から母へ、すなわち「メディア」としてしか期待されていない女性にとって、経済的自立は現実にはあり得なかった。「メディア」としての価値を高めるための女子高等教育への疑い、それが明子の不満と不安の本質であった。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」pp.206-7]

ISBN:9784140883785

p.205

すでに青年の政治熱は去り、完成に近づく国民国家のただなかで、自分の中に棲みついた伝統文化と、あらたに摂取した外来文化の調和に苦しんだ世代(…)彼らはすなわち、漱石の小説世界の登場人物たちである。

[関川夏央「『一九〇五年』の彼ら 『現代』の発端を生きた十二人の文学者」p.205]


ISBN:9784140883785

*1:「二〇〇八年九月のリーマン・ブラザーズの破綻に端を発した金融危機」(p.328)