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読書ノート

2013-10-31

pp.216-7

 明治の世になると、今度はこうした「養子制度」を、もっぱらその経済的側面に着目して擁護する議論が出てきた。(…)

養子にとっては立身出世の手段、養父母にとっては介護の保険。まことに結構ではないか、と(…)こうした事態を苦々しく思うものは明治の世にもいた。洋学者である。(…)

血統を正するは欧米諸州の通習にして倫理の因って立つ所なり、亜細亜諸邦に於ては必ずしも然らす、殊に我が国の如き血統を軽する其最も甚き者なり、(…)(森有礼「妻妾論の二」『明六雑誌(11)』)

(…)「血統」を重んずる欧米に比して、我が国の現状はいかにも「亜細亜」的で野蛮だ、(…)と森は言うが、ここで言われている(…)「家系」が特殊江戸的なそれであることはもはや明らかで(…) 「血縁」共同体としての家族を真の家族として理想化し、中国ではなく西洋にそれを投影したのである。

[河野有理「「養子」と「隠居」――明治日本におけるリア王の運命」『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』中野剛志編 pp.216-7]

ISBN:9784779505133