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読書ノート

2017-07-26

p.226

(柴山) 「常識」ってそういうことなんでしょうね。福田恆存(つねあり)が言っているように、「ものに教わる」っていうね。職人が目の前のものと向き合うときに、イデオロギーの入り込む余地はない。

(…)

 定規を持って線を引く。そこにその人の人生や、人生経験のなかで総合された常識ってものがあるだろうという話ですね。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.226]


ISBN:9784087208863

p.205

(柴山) 「常識」ってみんな簡単に考えているところがあるけど、いろんな価値観が複雑に絡み合った実に繊細なものなので、自覚化の作業を繰り返さないと見えてこない部分がある。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.205]


ISBN:9784087208863

pp.196-7,209-8

(柴山)ヘレニズム時代は、今風に言えばグローバル化の時代です。そして(…)ローマの支配と衰退によって終わります。

 シュペングラーが興味深いのは、このグローバル化を文明の末期症状だと位置付けたことです。(…)

 もともとは周囲の農村と有機的に結びつき、それぞれに固有の表情を持っていた都市が、だんだんと大地から切り離され、建築物も巨大化していく。そういう都市は、世界経済の中心地になっていく一方で、無個性な建築物の塊になっていく。シュペングラーは、世界都市のみが肥大化するのが文明末期の兆候だと言うわけです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.196-7,209-8]


ISBN:9784087208863

p.192

(中野)完全に近代化しても、前近代に戻っても、いずれにせよ完全に傾くとだめなんですよ。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.192]

ISBN:9784087208863

p.189

(中野)シュンペーターは必ず社会主義がくると予言した(…)

資本主義というのが勢いを失って、社会が官僚制化*1するからなのです。(…)ルールどおりで、例外や裁量を認めない。要するに近代化の徹底ですね。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.189]

ISBN:9784087208863

pp.178-9

(柴山)長期停滞論はアメリカでは一九五〇年代まで尾を引きます。戦争が終われば、また不況に逆戻りするという懸念があったんですね。(…)

 アメリカの株価が一九二九年以前の水準に戻ったのは、朝鮮戦争後の一九五四年のことでした。(…)二〇年以上掛かっている。(…)

(中野)第二次世界大戦という総力戦があったうえで

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.178-9]

ISBN:9784087208863

*1:「成果を数値で測って、それに基づく合理主義的な改革を進める、というくらいの意味です」

2017-07-25

p.173

(中野) アメリカの地政学的な理由から冷戦が始まって、アメリカの地政学的な理由からアメリカが日本の軍備を背負って、(…)アメリカが経済的に豊かになることを認め(…)

アメリカが繁栄させておく必要がなくなった冷戦終結後という時期と、日本の経済の失われた二〇年が一致していることには、何の不思議もない。それはまさに、一つの現象の表と裏のようなものだったんです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.173]

ISBN:9784087208863

pp.169-70

(中野)軍事的に見たとき、(…)中国は、総力戦で国力のぶつかり合いをしたいわけではなくて、象徴のゲームとして尖閣が欲しいんですよ。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.169-70]

ISBN:9784087208863

pp.163-4

(柴山)リーマン・ショック以降、(…)

輸出が止まったアジアの国々が、(…)内需拡大策で山ほどの金をばらまいた(…)結果、中国を中心に、今、(…)事実上の信用バブルが起き、民間債務過剰状態に陥っている(…)韓国、マレーシア、シンガポール、そしてオーストラリアまで含めて、この地域一帯が強烈な過剰債務状態なのです。

 もし何らかのきっかけでアジアのバブルがはじけると、私はこれが二一世紀初頭の「バブルのリレー」の最後になるんじゃないかと思います。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.163-4]

ISBN:9784087208863

pp.161-2

(中野)AIIB(…)は最初から、元の決済圏を広げようという意図なのでしょう。(…)

(柴山)AIIBが巨大基金になるとすれば、(…)バーター貿易のようなものの準備さえしているのかもしれません。(…)

戦時中に、ナチスが使った手ですよね。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.161-2]

ISBN:9784087208863

pp.148-53

(中野)「強兵」なき「富国」が幻想にすぎないことを、これから日本人は嫌というほど思い知らされることになるでしょう。

(…)冷戦時代からすでに、日米同盟はソ連を封じ込めるものであるとともに、日本を封じ込めるためにあったわけです。(…)

冷戦が崩壊して、(…)ソ連を封じ込めるという意義がなくなったにもかかわらず、日米同盟が維持されたのは、(…)一方の目的がまだ生きているからだと理解できます。

(…)

 こういうふうに考えてくると、日本には今、日米同盟との関係では、二つの選択肢しか残らなくなる。(…)

一つは、日米同盟を維持して封じ込められ続ける。もう一つは、日米同盟がなくなって放り出される。放り出されたときには、(…)もう勝てっこないくらい強くなった中国しかいない。

(…)仮に日米同盟を五年先延ばしにしたからといって、日本の封じ込めの期間が五年長引くだけで、そのせいでアメリカが撤退した後の中国と日本の力の差はもっとついているわけですね。

(…)日本は中国の経済成長に期待をして、さんざん対中投資をして、(…)中国の軍拡を側面から支援してしまった、(…)

 そして現在、米中の軍事費の比率は三対一です。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.148-53]


ISBN:9784087208863

p.144

(中野) オバマはTPPを推進し、トランプはTPPに反対しましたが、実は日本を標的にして雇用を収奪しようとする点では、二人は同じでした。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.144]

ISBN:9784087208863

pp.141-2

(柴山)一九九五年のWTO以降、あるいは冷戦崩壊以降の「自由貿易」という言葉は、それ以前の「自由貿易」とは、まったく異質と考えたほうがよい。

(…)

 これ以上、関税が下げられないくらいの自由貿易をやって(…)危険な保護主義の到来だ、などと言われても全然説得力がありません。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.141-2]

ISBN:9784087208863

pp.128-31

(柴山) 私が考えるに、日本でポピュリズムが盛り上がらない、もっと根本的な理由は、日本の主権そのものが奪われている状態に、国民が慣れてしまっているから、(…)

実感が全然ないわけです。そもそも、「主権」という意識が、ものすごく薄いんじゃないかと疑いたくなる。あえて強い言葉で言えば、主権意識がないんでしょう。(…)

日本における主権意識に対する無意識の抑圧というのは、すさまじいものがあります。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.128-31]


ISBN:9784087208863

p.121

一九世紀後半から二〇世紀前半の構図(…)英米連合と大陸欧州という古典的な(…)第一次世界大戦、第二次世界大戦と繰り返された対立軸です。ロシアは、その分断線の側にいた

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.121]


ISBN:9784087208863

2017-07-24

p.103

(柴山)主権というのは、長い歴史と関わる正統性の問題です。数十年単位の社会実験で、いきなり確立できるものではないのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』p.103]

ISBN:9784087208863

pp.101-2

(中野) ユーロという通貨システムは、ユーロの貨幣価値の決定を国際金融市場に委ねるという発想に基づいて設計されています。ユーロの価値を維持するためには、投資家たちからユーロの需要がある必要があるということです。しかし、この場合、ユーロは資産として需要があることになり(…)保有され(…)その分、支払い手段としては流通しない(…)

 ということは、(…)その価値が高まれば高まるほど、ユーロの供給量は少なくなる(…)つまり、ユーロ・システムは、デフレ圧力が発生するという仕組みになっているのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.101-2]

ISBN:9784087208863

pp.98,108-113

(中野)自分たちの理論で説明できないものは意味がないとする啓蒙主義者の傲慢(…)

ありていに言えば「馬鹿な国民は黙って見てろ」ということなのですよ。(…)

(柴山)ハイエクのファシズムの原因分析は、ポラニーと真逆です。

(…)(中野)経済自由主義がもたらす、すばらしい世界を阻害するのが民衆の声だ、というのが彼らの理論*1(…)

EUそのものは民主的な組織ではありません。民主政治を隔離する巨大な官僚システムの完成形なのです。

[中野剛志・柴山桂太『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』pp.98,108-113]

ISBN:9784087208863

*1:p.98

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