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2005-09-21698-701

[]神様ゲーム 神様ゲーム - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 神様ゲーム - 雲上読記 神様ゲーム - 雲上読記 のブックマークコメント

神様ゲーム (ミステリーランド)

神様ゲーム (ミステリーランド)

 子供向きではないという評判は聞いていたものの……見事に突き放されてしまった。

 大人でも無理?

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2004-12-01501-512

[][]夏と冬の奏鳴曲 夏と冬の奏鳴曲 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 夏と冬の奏鳴曲 - 雲上読記 夏と冬の奏鳴曲 - 雲上読記 のブックマークコメント

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

 なるほどこれは鮮烈である。読み終えて、そう思った。

 秋山はいわゆる叙述物が好きで、綾辻行人東野圭吾西澤保彦あたりを嬉々として読むのだが(本格ミステリ好き相手に叙述物でこのラインナップを言うと、失笑を買うかもしれない)、今まで麻耶にはあまり挑戦しなかった。その理由はデビュー作『翼ある闇』の印象の悪さである。確かに麻耶雄嵩のデビュー作は面白かったし、今でも記憶に残っている。けれどその作風文体は最悪で、おおよそ快読からかけ離れたものだった。確かに最後の数ページは劇的だが、それまでが冗長過ぎて読んでられなかったのだ。しかし乾くるみの『イニシエーション・ラヴ』を読んで、最後の一撃に惚れなおし、『名探偵木更悠也』を読んで、最近の麻耶は意外に読めることに気づき、挑戦することにした。

 はたして、作風はやはり最悪だった。あまりに冗長、あまりに低迷。隠喩と暗喩、迂遠な台詞回し、意味不明な説明群、主人公の名前が烏有なのだから仕方ないのだと諦めてしまうほどつまらなかった。それでも最後にきっと待ち受けているであろうカタルシス和音館という魅力的な“館”、そして登場人物の中で歪さを感じるほどに陽気でプラス思考なヒロイン、舞奈桐璃のために何とか頑張って読んだ。そして、結末。なるほどこれは鮮烈である。

 とりあえず何はともあれ言っておきたいことは、この作品は素晴らしいということだ。この作品の最初の読者であろう編集者は、一読すると同時に自分がこの作家を受け持つことができて恍惚を覚えると同時に、戦慄に震えただろう。この作品単体を評価するならば、はっきり言って全然、駄目なのだけれど、この作品に挑戦した作者、そして書き上げられた作品、このふたつの価値は絶大である。素晴らしい。麻耶の編集者が本当、うらやましくて仕方がない。――逆に言えば、この若い作者の頑張ってる感を、加味しないとやっていけないというわけでもある。しかし素晴らしいことには変わりない。

 ミステリ初心者には圧倒的に向かないだろう。数多く読み例外を許容できる読者にこそ相応しいだろうと思う。……今、気がついたが動機が非常識までに不鮮明で、ヒロインが意味不明までに萌えないこともない作品なので、これこそ萌えミステリと言えないこともないような気がしないでもないような、なんと言うか。

[][][]螢 螢 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 螢 - 雲上読記 螢 - 雲上読記 のブックマークコメント

螢

 帯の文章を書いた人間よ、出てこいと言いたい。「螢が誘う、戦慄の旋律。」「大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!」「未逮捕殺人鬼“ジョニー”に」、なんなんだこれは。こんな帯、さっさと捨てて、ただ表紙の美麗さを味わって欲しい。

――さて。面白かった。先に読んだ『夏と冬の奏鳴曲』が瑕疵の多い作品で、これも多かったのだけれど、冗長な地の文が圧倒的に少なく、とても面白く読めた。秋山は事前にこの作品をして「わりと序盤でトリックに気づいてしまい、それを確認するかのように読み進めるのだけれど、終盤でトリックが二重に仕掛けられていることに気づいた。分かりやすいトリックで読者を油断させておいて、隠されていたトリックで驚かす、この技術が凄い」というような評を読んでいたので、警戒に警戒し読み進めた。確かに、前面に押し出されているトリックには簡単に気づいた。ミステリを読み慣れている人間であれば、簡単に分かるだろう。そして、そこで立ち止まって考えるべきなのだ。大抵のトリックは読者を驚かすために存在するが、この作品における前面のトリックは後背のトリックを隠すために存在する。つまり、どうして麻耶はこんな分かりやすいトリックを設けたのかを考えなければならない。そしてこの思考が素晴らしい。まさしくミステリ読者のためのミステリだろう。さらに大きなトリックの背後に隠されているトリックも二重三重に張り巡らされているし、最後の一ページがもたらす本当の戦慄は、それまでに作品内世界で培われたあらゆる常識を否定し、世界を覆す。

 思えば『夏と冬の奏鳴曲』もそうだった。彼女は存在しないという題を掲げたのは浦賀和宏だが、最後の一ページで明かされる真相から、真逆の方向へと物語がずっと続くのだ。それ故に最後に明かされる真相が、ちょっとした驚きではなく、世界が覆されるほどのカタルシスに感じるのだ。素晴らしい。

 少し前に秋山の作品をして「麻耶雄嵩佐藤友哉を足して二で割ったような感じだ」と言われたが、確かにその通りな感じがしなくもない。もし秋山が数年前の時点で麻耶を読み崩していたら、もっと麻耶に傾倒していたかもしれない。

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2004-10-01455-482

[][][]名探偵 木更津悠也 名探偵 木更津悠也 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 名探偵 木更津悠也 - 雲上読記 名探偵 木更津悠也 - 雲上読記 のブックマークコメント

名探偵 木更津悠也 (カッパ・ノベルス)

名探偵 木更津悠也 (カッパ・ノベルス)

 これは中々に面白かった。木更津悠也という京都で名を馳せている探偵の活躍を、香月実朝という彼の友人にして推理小説作家が書いているという形式を取っており、カバーの折り返し(と言うのか? 表紙の延長線上のところ)にも香月実朝の名前で「著者の言葉」らしきものが書かれている。四つの短編小説からなる連作短編の形式を取っており、いずれにも京都を騒がす白幽霊の噂が片鱗を見せている。自分は『翼ある闇』を読んで、筆者が得意とする「世界が崩壊しかねない歪んだ結末」を含む展開は気に入ったのだが、どうにも筆致が気に入らなく敬遠していた。この本を手に取ったのは、本書が本格に位置していると聞き及んだのと、また短編集というのが魅力だったからだ。

 結論としては読んで良かったと思う作品だった。印象的だったのは、語り部にして本来はワトソン役に甘んじる立場にある香月実朝が、自らをワトソン役にして木更津悠也を名探偵にするために、彼に推理の手助けをしているのだ。香月実朝はワトソンを気取り、いかにも意味と効果のなさそうなヒントを出すことによって、木更津悠也を真相へと至らせるのだ。傍から見ると、香月実朝と木更津悠也の立場は面白いまでに逆転している。香月が犯人を推理し、木更津が犯人を指摘し、その様子を香月が小説にし、全体を麻耶雄嵩が書いている、というような。非常に興味深く面白い構造である。

「白幽霊」資産家が殺され、犯人は誰かというもの。当然のように被疑者たちは偽証しているのだが、論理とはまるで関係がないところから犯人を示す糸口が見つかる点が面白かった。雰囲気で言えば、雪原に足跡が残っていて、ひとりだけ足の大きさが突出して異なっている人物がいるようなものだ。いかに全員にアリバイと動機があろうと、犯人はそのひとりでしかありえない。

「禁区」個人的にはベストの作品。恐らくは白幽霊が一番、フィーチャーされていると思う。実はミステリにおける探偵と霊媒師などによる幽霊はいるかいないか的な談義は不要と考えていて、そういう会話が出てくると興醒めするのだが、この作品にそういうシーンは少なくて良かったと思っている。事件の当事者が高校生で年齢が近いということもあり親近感が沸いた、動機は嫌いだが。それにしてもミステリで高校生が出てくると、文芸部に入っていることが多い。どうしてだろうか。

「交換殺人」ネットでの感想では、これが人気だったように感じる。題名の通り交換殺人が取り扱われているのだが、とても新鮮に作られているように感じられました。きっと他の三編が本格ミステリしているのに対し、この作品だけ他の交換殺人を使っている本格ミステリ差別化を計っているので人気なのでしょう。最後の一文がいいです、とても。

「時間外返却」期待していただけに普通のミステリでがっかりした。前述の通り、本書は京都に出没する白幽霊がどの作品にも顔を出していて、でもどの作品でもその本当の正体は暴かれていないのだ。きっと最後の一編では、今までの短編長編の一部に過ぎなかったのだ的な展開をし、白幽霊の正体が明かされるのだろうと思っていたので、そうでなかったことが残念。また時間外返却なんて、時間物を予感させる素敵なタイトルなのに、まるでそうでなかったことも残念。

 全体として香月実朝による木更津悠也賛歌なのだが、気持ち悪くはない。この手の設定であると、大抵は語り部の名探偵萌えっぷりが気持ち悪いのだが、本書がそうでなかったのは恐らく、香月実朝も木更津悠也も、どこか欠点のあるキャラクタだからだろう。

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