雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-02-14

[][][]849 16:41 849 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 849 - 雲上読記 849 - 雲上読記 のブックマークコメント

痙攣的

痙攣的

 読みながら何度も吹き出してしまった。もう何と言うか、色々とやりすぎ。収録されている五編の連作短編のうち、最初の三編は、まだ寒蝉主水(ひぐらし・もんど)なる謎めいた人物が様々な架空の芸術家や芸術作品を批評し、それなりに楽しむことが出来たが、四編目から何だかよく分からない、筆舌に尽くしがき、名状しがたき世界に突入するのだ。ちょっと、もう図を見た瞬間に笑ってしまった。いかにすれば、あんな狂った物語が思いつくのだろう。最後までミステリという形式を取ってはいるが、どちらかと言うと幻想奇想に近いだろう。鳥飼否宇、超最高!

[][]851 22:56 851 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 851 - 雲上読記 851 - 雲上読記 のブックマークコメント

逆説探偵―13人の申し分なき重罪人

逆説探偵―13人の申し分なき重罪人

『本格的』と『痙攣的』で存分に頭の悪い作家ぶりを披露した鳥飼否宇。次はどんな破格の作品が飛び出るのかと期待に胸を膨らませて本書を読んだがしかし、思っていたよりまともな作品で残念。「事件→ヒント→解決→どんでん返し」というミステリの展開を忠実に守った短編が12連続で続き、中には首を傾げるようなトリックや解決を含んではいるが、全体に基本に忠実に作られている。帯に「ライト感覚の本格ミステリー」とあったが、鳥飼否宇を読むというより、寝しなに少しだけ読みたいときに相応しい本。

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2005-10-04

[][]711 05:12 711 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 711 - 雲上読記 711 - 雲上読記 のブックマークコメント

本格的―死人と狂人たち (ミステリー・リーグ)

本格的―死人と狂人たち (ミステリー・リーグ)

 これ、すっげー面白いわ。

「変態」「擬態」「形態」と舞台は共有しつつも、基本的には脇役である警察を除いて登場人物も事件も交錯しない短編連作。特筆すべきは、第一講と銘打たれている「変態」。これは最高。異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態する助教授が、教え子の性行為を覗くというフィールドワークを行っていたところ殺人事件が発生するのだが、性交渉も殺人事件も何もかもを数学的に解決しようとする姿勢が失笑と苦笑を誘う。舞城王太郎による奈津川四郎や九十九十九をも凌ぐ、迷怪な推理を披露し、しかもそれが的中してしまうのだ! こんなおかしすぎる主人公、他にいない。こんな主人公を描けてしまう作者は、何処か頭のネジが緩んでいるのではないだろうか。

「変態」があまりに面白かったのに対し、「擬態」と「形態」はどこか垢抜けず、無難な印象を受けてしまった。勿論、「変態」のインパクトがなければ、残りの二つも十二分に異常で面白い作品なのだが。

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2004-06-01368-396

[][][][][][][][][][][][][][][]本格ミステリ04 二〇〇四年本格短編ベスト・セレクション 本格ミステリ04 二〇〇四年本格短編ベスト・セレクション - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 本格ミステリ04 二〇〇四年本格短編ベスト・セレクション - 雲上読記 本格ミステリ04 二〇〇四年本格短編ベスト・セレクション - 雲上読記 のブックマークコメント

 2003年に発表された短編小説と評論のアンソロジィ。『01』『02』『03』に続く四回目となる今回は、十二作からなっている。

 横山秀夫「眼前の密室」調和的で完成度の高い作品。「終身検死官シリーズ」というシリーズにおける一冊であるためか、登場人物の説明も特になく、いきなり始まってしまうのには閉口したが、難なくまとまっていると思う。青木知己「Y駅発深夜バス」これは中々、面白かった。第一部では深夜バスの持つおどろおどろしさを、ホラー小説的な手法で描いているのだけれど、これが第二部に入ると一転、見事なまでにミステリの中に組み込まれてしまう。手際よく謎が解体されていく様と、最後の一文に静かに震えた。鳥飼否宇廃墟と青空」密室トリックは充分に練られているし、解決編の場面も実に雰囲気が出ていてよかった。けれど、ロックについて語りすぎなのと、動機が不鮮明なのが珠に瑕。法月綸太郎「盗まれた手紙」登場人物の名前がカタカナであったことに加え、徹夜明けの妙に高いテンションと眠気がすれ違ったときに読んでしまったので殆ど頭に入ってこなかった。手紙を盗み出す方法は、面白かった。芦辺拓「78回転の密室1930年代を描いているのだけれど、それが抜群に上手い。乱舞する漢字は、意味の分からないものばかりだが、雰囲気を盛り上げるのには一役も二役も買っている。事件の真相も、どこか哀愁漂うもので実に良かった。石持浅海「顔のない敵」対人地雷を取り扱った社会派。作者の主張が確かにそこにあって、威力のあるブローだった。柄刀一「イエローロード」これには骨抜きにされた。田舎のバス停で一日に三本しかないバスを待っていたら、隣に腰掛けた老人が「ちょっと私の話を聞いてみませんか」と何気ない仕草で語り聞かせてくれたような物語。押し付けがましくないさりげない筆致に、整然とした推理が犯人へと導く鮮やかな手腕に、そして朴訥な好意とに、乾杯したいぐらいに良かった。東川篤哉「霧ケ峰涼の屈辱」はははは、これは面白い。カープファンでミステリマニアの主人公による一人称は、お茶目な学生らしさに満ち溢れていて、読んでいて何度も笑ってしまった。この主人公は今まで読んできた学園ミステリの中では、一番、学生らしい。親近感が持てる。トリック自体もやや不自然だけれど、なるほどと頷けるし。良かった。高橋克彦「筆合戦」この作品には、山ほど伏線が敷かれているのだが、見事なのはそれが伏線であると見抜けないようになっている点。最後の最後で、まずそれらが伏線だったと明かされ、さらに全ての伏線を束ねあげてひとつの真実を示すのだが、その様が巧みすぎる。匠の領域。北森鴻「憑代忌」これは難解だった。あまりにミステリ然としていて、ミステリとしては評価できるけれど、ひとつの短編としてはやや力不足なのではないかと思う。アプローチも短いし、もう少し長く読みたかった。松尾由美「走る目覚まし時計の問題」いいねいいね。そろそろのほほんとした日常の謎が欲しいなと思っていたら最後で来た。発表順の収録だから偶然なんだろうけれど、最後にこれが来たのは良かったと思う。面白かった。波多野健「『ブラッディ・マーダー』/推理小説はクリスティに始まり、後期クイーンボルヘスエーコ・オースターをどう読むかまで」難解。タイトル通りのことが書かれているわけだが、てんで分からなかった。残念。(講談社ノベルス

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