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2005-10-24

[][]730 14:13 730 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 730 - 雲上読記 730 - 雲上読記 のブックマークコメント

文章魔界道 (祥伝社文庫)

文章魔界道 (祥伝社文庫)

 むしろこの本こそが魔界だ。読んでいる間ずっと期待と不安とが付きまとっていた。「鯨はきっとやってくれるだろうな。本書が面白いものであるという期待を裏切るだろうな」という期待と「え、もしかして面白いのだろうか。まさかそんな」という不安が。本書は見事、答えてくれた。期待の方に。

 第一の番人、第二の番人、そして文章魔王の問いおよびミユキの回答には多少なりとも楽しめた。特に第二の番人による回文で答えよという質問。けれど、残念ながら『喜劇ひく悲喜劇』を先に読んでしまった身としては、驚きも半減。

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2005-10-23

[][]727 16:53 727 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 727 - 雲上読記 727 - 雲上読記 のブックマークコメント

CANDY (祥伝社文庫)

CANDY (祥伝社文庫)

 これは酷い。何処までが自覚的なんだろうか、著者は何を思ってこんな小説を書いたのだろうか、恥ずかしくないのだろうか。もう本編の内容如何ではなく、著者の小説家としての姿勢に疑問を持つ。

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2004-12-01501-512

[][]まんだら探偵空海 いろは歌に暗号 まんだら探偵空海 いろは歌に暗号 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - まんだら探偵空海 いろは歌に暗号 - 雲上読記 まんだら探偵空海 いろは歌に暗号 - 雲上読記 のブックマークコメント

上皇がなぜ謀反を起こしたのか探るのだ」。神野天皇の命に空海は友人の橘逸勢と共に平城上皇藤原薬子の周辺を探る。しかし同じ命が最澄にも下されており、ふたりは知恵比べをすることになる……と裏表紙のあらすじに書かれているが、実際に空海最澄が知恵比べをするのは終盤も終盤で、しかも本書のメインではない。本書は薬子と空海の対決や、薬子が平城上皇に謀反を進め、平城上皇が謀反を決意し、失敗し、と長々とドラマを描いているのだ。自分はどちらかと言うと、こちらの方が楽しめた。後半、しつこいぐらいに操りが登場する。彼は彼女に操られており、彼を操っていた彼女は彼に操られており、彼を操っていた彼女を操っていた彼は――としつこいぐらいに操りが操られに操られる。正直、ここまで操りを強調しミステリっぽくせずとも、本書を最初から読めばその切羽詰った動機には充分納得できるし、それが操りを生んだと言われたらすんなりと受け入れることができる。そう、意外なことに、本書にはしっかりと人間ドラマが盛り込まれているのだ。少なくとも自分はそう思った。けしてレベルの高いミステリと言うわけではないけれど、最低レベルのラインは間違いなくクリアされているし、期待度が低ければ充分に満足できるだろう。良かった。

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2004-10-01455-482

[][]邪馬台国はどこですか? 邪馬台国はどこですか? - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 邪馬台国はどこですか? - 雲上読記 邪馬台国はどこですか? - 雲上読記 のブックマークコメント

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

 雰囲気としては高田崇史の『QED』シリーズと共通する部分があるように思う――本書の舞台は、カウンター席だけしかない地下一階のバー。登場人物はバーテンダーの松永に常連客の三谷教授とその助手静香、そして謎の男宮田六郎の四人のみ。物語はこの寂れたバーのカウンターから一歩も動かず、場景描写を最低限に留め、四人の会話によってのみ進行する。基本的な流れとしては、宮田が歴史上の事実とされてきた事項に対し突飛としか思えない仮説を発し、常識と定説を知り尽くした静香が反論を試みるというもの。三谷教授は柔軟な思考で、宮田の口上を促しつつも議論には積極的に参加せず、バーテンダーの松永は客同士の会話に興味をそそられつつも、挑発的な宮田の態度と爆発寸前の静香にあたふたする。短編連作の形を取っている。

悟りを開いたのはいつですか?」実は仏陀悟りを開いていないのではないかという仮説。初っ端からぶっ飛んでいる、仏教を根底から引っくり返すような発言ではないだろうか。

邪馬台国はどこですか?」標題作にもなっている作品で、邪馬台国が実は東北にあるのではないかという仮説。

聖徳太子はだれですか?」推古天皇聖徳太子蘇我馬子の三人が、実は同一人物であるという空前絶後の仮説。この短編集の中で、一番、面白く読めたのがこの作品。到底ありえない結論で幕が落ちるのだが、収録されている作品群の中では、知っている名前も多く親近感が沸いたというのもあるが、三人が同一人物である証拠――あるいは三人を同一人物にしなくてはならなかった動機が“歴史を闇に埋もれさすため”という部分に魅力を感じた。どうにも黒歴史と言うのは、好奇心を抱かされます。

「謀反の動機はなんですか?」織田信長自殺をするために、明智光秀に謀反を起こさせたという仮説。これは、ここに提示されている情報が確かならば、あるいは真実に手を届かせているのかもしれないと思わせてくれた。他の作品は基本的に、もっともらしいものではあるもの「いや、よく出来た冗談だな」という部類なのだが、これだけはあるいは真実かもしれないな、と。

「維新が起きたのはなぜですか?」坂本竜馬を殺した暗殺者の正体を暴くのかと思いきや、明治維新の黒幕は誰かという趣旨。ミステリではありふれた手法を使っており、今ひとつといった感じ。

奇跡はどのようになされたのですか?」キリストとユダが実は同一人物なのだという仮説。これも今ひとつ。

 本編を読んでいる間はどうにもうさんくさい空気が漂い、薄っぺらい登場人物と合わさって味気ない感じがしないでもないのだが、解説を読むと途端に本書が面白いもののように感じられるのだから不思議だ。

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2004-09-01437-454

[][]喜劇ひく悲奇劇 喜劇ひく悲奇劇 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 喜劇ひく悲奇劇 - 雲上読記 喜劇ひく悲奇劇 - 雲上読記 のブックマークコメント

喜劇ひく悲奇劇 (ハルキ・ノベルス)

喜劇ひく悲奇劇 (ハルキ・ノベルス)

 鯨統一郎を読むのは初めてだったけれど、これは初めてには適していないと思った。泡坂妻夫喜劇悲奇劇』をリスペクトした作品らしく、全編に渡り回文が張り巡らされている。題名もそうだし、章の名前や登場人物、著者コメントに至るまで回文で書かれている。ひとつのページの中に最低ひとつは回文が太字で書かれていて、多いページになると十以上の回文が地の文や会話文の中に出てくる。特に圧巻なのは、136ページから始まる古今東西のミステリをネタにした回文。また探偵・犯人・凶器・動機・アリバイまで回文で、本当に凝りに凝っている。しかし、凝りすぎているがゆえに不自然な箇所が多く、回文を盛り込むために犠牲にしているなと感じる場面が多々あったように感じた。きっと本書では、鯨統一郎らしさを十二分に発揮できていないと思うので、次は鯨統一郎らしい作品を読みたいと思う。

 作中に面白い回文が出てくる小説として、都築道夫『最長不倒距離』、岡島二人『三度目ならばABC』、『文章魔界道』、泡坂妻夫喜劇悲奇劇』『亜愛一郎の転倒』などが紹介されていたので、機会があれば読みたいと思う。

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