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2005-07-07649-652

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煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY (富士見ファンタジア文庫)

煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY (富士見ファンタジア文庫)

 富士見ファンタジア大賞受賞者によるシリーズ物の第一作。『12月のベロニカ』と『眠り姫』を経て、何らかのかたちでミステリしてくるだろうと思ったら、直球も直球も、ど真ん中のファンタジィで逆に驚いた。事前に最後の方に驚きがあるというレビューを読んでいたので、いかなるトリックが待ち伏せているのか、構えてしまった。ファンタジィストーリィ的な驚きはあったが、叙述的な驚きはなくて残念。

 では、ファンタジィとしてどうだろうかと振り返ったとき、あまり面白くなかった。いや、平均的には面白かったのかもしれないが、秋山の基準では面白くない方に配置される。貴子潤一郎が著者なのに、面白くない方に配置されるというのが自分でも驚きだが、こういうこともあるだろう。

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2005-05-14602-605

[][][]眠り姫 眠り姫 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 眠り姫 - 雲上読記 眠り姫 - 雲上読記 のブックマークコメント

眠り姫 (富士見ファンタジア文庫)

眠り姫 (富士見ファンタジア文庫)

 貴子潤一郎という作者は、あるいは乙一と同じような道を歩むのではないだろうか――。本書は大きな可能性を感じさせる短編集である。

「眠り姫」とても短い。もっと長くても読むのに値すると思うが、この青春を目を瞑って駆け抜けるような疾走感、あるいは目眩めく酩酊感が読者に涙を誘うのではないだろうか。荒削りだが、紛うことなき傑作の原石。素晴らしい。――また、読了後に表紙を見ると、しっかりと刻まれたものを認識し、それが意味するものを連想し、涙が止まらない。

「汝、信心深き者なれば」個人的に本書の中でベスト。現実を蝕む悪夢と狂喜、「眠り姫」同様、荒削りではあるけれど否めない説明不足が生み出す不足感が耐えようのない衝撃を読者に与えている。

「さよなら、アーカイブこれは面白くない。が、それはこの異色さに塗れた本書の中にあるからこそ。けしてレベルが低いわけではない、きれいにまとまっている。あるいはだからこそ、期待しすぎてしまい肩透かしを食らったのかもしれない。

「水たちがあばれる」これは世界観が異様。「さよなら、アーカイブ」と同じく、解答が与えられているがゆえに、余韻を十全に楽しめないのだが、それなりに面白いしミステリもしている。

探偵真木1 ヘルター・スケルター」「探偵真木2 カム・トゥギャザー」「探偵真木3 孤独のRunaway」貴子潤一郎の持つ幅の広さを見せに見せた連作。こいつはハードボイルドまで書けるのか! と愕然とした。この才能、凄まじい。特に二作目。犯人を見抜くために麻雀で勝負するのだが、その描写が、その駆け引きが絶妙。素晴らしかった。

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2004-12-01501-512

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12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

 第14回ファンタジア大賞受賞作品。

 続編にして最近は珍しい短編集『眠り姫』を上梓した貴子潤一郎のデビュー作。ライトノベル界隈で、個々の作品が完全に独立した短編集と言えば、乙一あたりが代表格ではないだろうか。しかもこれが各所で好評なので、どれとひとつ手にとってみた。――が、読み始めて溜息が出た。やはり富士見ファンタジアだな……と、キャラクタにも世界観にも語り口も今一つ好きになれない典型的なファンタジィ。どうしたものかなと読み続けたのだが、135ページの傍点つきの科白で「ひょっとしたら、ループものか?」と思い、真剣に読み始めた。結果として自分の予想はベクトルが違っていたのだけれど、仕掛けがあることには代わりなく、153ページで本書の持つ構造に気がついた。なるほど、この作品は素晴らしい。仕掛けが魅力的なことは勿論、青くてやってられないほどに甘過ぎるキャラクタ世界観は、想像を絶する時間の重みによって深みを得ている。もし自分が今ほどすれてなく、本の粗を自然と見つけてしまうほど本を読んでいなければ、あるいはこの一途過ぎる愛に当てられていたかもしれない。そういった意味では、本書は本を読みなれていない人には絶好の、そして凄惨な読書体験をもたらすだろう。そういう訳で、読書家にはあまり積極的に勧められない。確かに本書の上手さや下手さや若さならではの無謀さ矛盾さを正確に指摘できるだろうが、ときにそういうことをされない方がいい本もあるのだ。本書はきっと、この世にこういう仕掛けがあることを知らず、ファンタジィが大好きという若者にこそ相応しいのだろう。恐らくは、この作品こそライトノベルだろう。

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