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2005-01-01513-524

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春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 小鳩君と小佐内さん。恋愛関係でもなく依存関係でもなく、ただ互恵関係にある彼らは手に手を取って清く慎ましい小市民を目指している。彼らは小市民となるべく、周囲に対して繊細でそれと分からないほどにさりげない気遣いをする。そしてけして出しゃばらない。しかし、そんなふたりの前に立ち塞がる、日常の大したことのない、通り過ぎることが簡単にできそうな幾つもの謎。

 米澤作品を最初から追っている身としては、ちょっと想像していたのとは違うな、と。小市民を目指す彼らは、その実、小市民ではない。むしろ小市民ではないからこそ、小市民を目指すのだ。彼らは思考力と推理力に長けており、探偵となるべくして生まれたような頭を持っていながら小市民を目指す。この立ち位置は、『氷菓』『愚者のエンドロール』や『さよなら妖精』の主人公たちより進んでいると言うか、ちょっと、ずれている。より複雑に、より自覚的に作られているのだ。萌えミステリや、ライトノベルを期待して読んだ人はちょっと残念に思うかもしれないが、自分はとても面白く読めた。

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