雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-03-28569-570

[][][]キリサキ キリサキ - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - キリサキ - 雲上読記 キリサキ - 雲上読記 のブックマークコメント

キリサキ (富士見ミステリー文庫)

キリサキ (富士見ミステリー文庫)

 通常のトリック、例えば密室であったりアリバイであったりは、登場人物の一人として登場する犯人役が、警察探偵役に対して用意するものである。そして、登場人物には関与しえない、作品内世界とは関係のない次元で展開されるトリック、例えば物語を語る作者が、物語を読む読者に対して用意するものを叙述トリックという。これとは別に、SFに多いのだが登場人物が同じ時間をもう一度、経験するループ物や、他の世界に行ってしまうパラレルワールド物というのがある。どちらも作品内世界で展開される事象である。この事象だけでも魅力的だと言うのに、それを死角として読者のふいを突くレベルの高いトリックが存在する。それを秋山は、四次元殺法と呼んでいる。

 本書はその構成と真相から察するに、殊能将之ハサミ男』の影響を受けていると思う。叙述物としては、『ハサミ男』を越えるには至らなかったが、時間の概念を用いれることと、幾つものどんでん返しを用意することで、かなりミステリとしての完成度は高くなっている。富士ミスだから? ライトノベルだから? そんなことは理由にはならない。ミステリ読みは本書を読まないと駄目だろう。

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2004-11-01483-500

[][]平井骸惚此中ニ有リ 其参 平井骸惚此中ニ有リ 其参 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 平井骸惚此中ニ有リ 其参 - 雲上読記 平井骸惚此中ニ有リ 其参 - 雲上読記 のブックマークコメント

 第一巻は大賞を受賞したにも関わらず今ひとつで、二巻はいきなりミステリしてきて探偵小説に関する考察も含んでいて好感が持て、三巻目となる今回はさらに腕を上げてきており非常に楽しめた。富士ミスの中では数少ない、しっかりとミステリやっているシリーズなのではないだろうか。

 今回は平井骸惚ではなく、その弟子を自称する、最近すっかり粗忽者が板についてしまった河上太一が探偵役を務めている。また珍しいことに彼の相棒としてメインに登場するのは、口絵で色香の漂っている涼ではなく、その妹の溌子。さらに太一の許婚だというゲストヒロインまで出てきて、――主人公は好かれすぎ。ミステリとしてもしっかりと作られていて、楽しむことができた。

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2004-08-01420-436

[][]平井骸惚此中ニ有リ 其貮 平井骸惚此中ニ有リ 其貮 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 平井骸惚此中ニ有リ 其貮 - 雲上読記 平井骸惚此中ニ有リ 其貮 - 雲上読記 のブックマークコメント

 担当編集者・香月緋音に誘われ、探偵作家平井骸惚一家と弟子の河上は、栃木の山奥へと秘書に出かけた。招待主は子爵の位を賜わる華族・日下家。一行が日下家の門を潜ったそのときから悲劇は始まる。吹きすさむ嵐によって閉ざされる館、そして次々と殺されてゆく日下家の跡取りたち。探偵作家探偵となったとき、事件は解決するのか――?

 五十ページで第一の被害者、百ページで第二の被害者、百五十ページで第三の被害者。前巻において被害者はたったひとりしかおらず、また展開も遅々として進まなかったのに対し、今回は圧倒的なスピードでただひたすらに攻めてくる。しかも嵐の山荘。そして何処か京極堂を連想させる平井骸惚。主人公が登場する女性キャラの全員に好かれているのは、ライトノベル所以、あるいは編集部の以降だろうが、それを差し置いてもしっかりとミステリしてるし、探偵論に触れる言説も最後の方には見受けられた。テンポよく進む講談調の語り口はより洗練され、デビューしてから確実に上手くなったと言える一冊。一巻を読んで気に入った人は是非。

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