雲上読記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-02-01

[][][]819 10:42 819 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 819 - 雲上読記 819 - 雲上読記 のブックマークコメント

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)

 予想通り! 面白かった!!

 いやはや。正直なところ、何処の奈須きのこですか? それとも西尾維新ですか? もしくはうえお久光ですか? あるいは葉山透ですか? 的な世界観なのだが、他のどの作家が作った世界よりも、片山憲太郎のこの世界が一番しっくり来る。しかも読んでいて純粋に楽しい。キャラクタ小説としては極上の一言。どの女の子も可愛いし、緩急のつけ方も絶妙だし、『電波的な彼女』とのクロスオーバーもあるとのことで、あちらの二巻目以降も俄然、読みたくなってきた。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20060201

2004-10-01455-482

[][]電波的な彼女 電波的な彼女 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 電波的な彼女 - 雲上読記 電波的な彼女 - 雲上読記 のブックマークコメント

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 (集英社スーパーダッシュ文庫)

 なるほど、これは確かに面白い。

 周囲を隔絶し不良を気取りその実、完全な不良になりきれない自分自身を悩む柔沢ジュウ。唐突に現われジュウに忠誠を近った電波少女の堕花雨。クラスメイトの全員と仲がよくクラスの腫れ物であるジュウにも自然と接してくる紗月美夜。前半はジュウと雨の衝撃的というか電波的というか、おおよそボーイ・ミーツ・ガール的でない、むしろ第一次接近遭遇に近い出会いとジュウを巡る日常を描き、後半はこのところ社会を騒がしている(しかし事件が派手でないためにその規模は他の猟奇事件には劣る)連続殺人事件をジュウが追いかけるという構成。今、気がついたが予備知識なくこの本を、ライトノベルとして読んだ読者は、終盤の展開に驚きを隠せないかもしれない。あるいは『クビシメロマンチスト』や『りすか(第二話)』を書いた西尾維新的であると言ってもいいかもしれない。しかし自分の場合は、本書がもえたんの課題本になるかもしれないと思い、先回りして読んだわけで、つまり最初から「敵はミステリだ!」と食って掛かっていたのだ。その結果、「なんだこの構造は、初期の佐藤友哉じゃねえか。犯人はきっとこいつだな……かぁ、やっぱりこいつか!!」と。――とは言え、優れた小説トリックや犯人が見抜けたとしてもそれなりに楽しめる。しかし、しかしなあ。

 本書のヒロインは題名からも分かるとおり、かなりの電波だ。帯にある初登場時の科白を引用すれば「我が身はあなたの領土。我が心はあなたの奴隷。我が王、柔沢ジュウ様。あなたに永遠の忠義を誓います」とこんな感じである。この出会いの後も、雨は度々、電波な発言を繰り返しジュウを引かせる。しかし同時に知的な会話をできたりするところを見せたり、電波でない言動をできるところも見せ、確実にジュウと読者とにその存在をアピールしてくるのだ。それがどうにも気に食わない。中盤、連続殺人事件がジュウの日常と交錯する段になって、ジュウは雨のことを「犯人ではないか?」と疑うのだけれど、その根拠が実に薄弱だし、それまでに読者相手に散々、見せ付けられた雨の言動から読者は当然「彼女は犯人なりえない」と思うだろう。問題はここだ。もし仮に、雨に多少のミステリアスさが残されていたら「どっちが犯人だろう? それとも別にいるのか?」的なドキドキ感を持ちつつ読み進められたかもしれない。と言うわけでこの点においてミステリ的には明らかに失敗。次に終盤になってようやく「何故、雨が主君として選んだのはジュウなのか」という問いに答えが与えられるのだが、これによって雨は電波キャラから○○○キャラになってしまう。勿論、○○○萌えな読者からしたら「キター」な展開だろうが、ミステリアスな電波が好きな自分としては、勿体無いの一言。

 グダグダと本書が自分の好みから外れていることを述べたが、本書をライトノベルとして楽しんでいこうという姿勢を持って読んだならば、かなりの満足感が与えられるであろうことは保証する。本書は第3回スーパーダッシュ小説新人賞の受賞作ということで、いわゆるデビュー作なのだけれど、デビュー作らしい迫力と勢いがあって、ライトノベル新人賞を専門的に読んでいる人ならば、まず間違いなく楽しめると言っておく。

トラックバック - http://book.g.hatena.ne.jp/sinden/20041001