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2004-10-01455-482

[][]目を擦る女 目を擦る女 - 雲上読記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 目を擦る女 - 雲上読記 目を擦る女 - 雲上読記 のブックマークコメント

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)

 とうとう小林泰三ハヤカワ文庫に進出した。もうホラー作家としては勿論、SF作家としても完全に認められたのだろう――と言うのが、本書を手に取った瞬間の感想である。しかし実際に読み出して落胆した。なんと言うか、薄いのだ。確かに語り出しや設定は、何処までも小林泰三なのだけれど、結末があまりに弱すぎる。標題作になっている「目を擦る女」は標題作であるにも関わらず、平均的な小林泰三の上に『奇憶』とネタが少なからず被っているし、続く「超限探偵Σ」『密室・殺人』に比べると数段も落ちるし、「脳喰い」もありきたり。最初の三編を読んで駄目だと思った。同じく、雑誌に掲載された短編を集めた『海を見る人』と比較するとレベルがあまりに落ちている。酷い。――が、不思議とそれ以降は面白いのだ。以下、雑感。

「目を擦る女」前述の通り、標題作であるにも関わらずつまらない。とは言え、小林泰三という作家を、過不足なく現している作家でもある。ぬめりを演出し微妙にミステリさせ、クトゥルー分が足らなくはあるが、堅実にらしさは作っている。しかしファンには少し足りないし、初心者には唐突過ぎて駄目……どうしてこんなのが標題作なのだろう。

「超限探偵Σ」期待外れ。初出が『SFバカ本 天然パラダイス篇』であるのには、真っ当なメタ小説であるだけに首を捻る。最初からメタであることを意識し、きっちり二段構えで仕掛けてきてくれている点は好感。でも『密室・殺人』に比べると弱いんだよなあ。

「脳喰い」今ひとつ。これに関しては、もうとにかく今ひとつと言わざるを得ない。名前は忘れたが『海を見る人』にかなり似た設定の小説があったし、もうそれのデッドコピィにしか読めなかった。

「空からの風が止む時」ここから本書は本領を発揮する。今までの作品と微妙にリンクしつつも、しっかり

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2004-06-01368-396

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肉食屋敷

肉食屋敷

 日本ホラー小説大賞短編作家による短編集恐竜を現代に蘇らせようとした科学者は、誤って恐竜の滅亡の原因となった、地球に衝突した隕石を分析し地球外生命体を復元してしまった「肉食屋敷」、人間の身体でさえ機械の道具と化し、死体が商品として取り扱われている腐敗した遠未来を描いたSF「ジャンク」、妻に当てた三通の手紙、未来から過去へと三通の手紙を遡る中、少しずつ狂気が見え隠れする「妻への三通の告白」、主人公は自らの中に眠るもうひとりの人格に脅えている、彼(彼女)は主人公が眠っているときにだけ目を覚まし様々な凶行を働く……「獣の記憶」、以上の四篇からなる。

「肉食屋敷」小林泰三の本領が存分に発揮されている一篇。陰鬱とした心象・風景描写から緩やかに異界に入りこみ、一息に広げた翼で読者を包み込み、闇の中に突き落としてしまうように、容赦がなかった。久しぶりに読んだと言うこともあり、ちょっと夜が恐くなりそうだ。「ジャンク」人造馬と人面租から『吸血鬼ハンターD』を思いだした。あれと比べると格段に頽廃的で腐敗臭が漂っているけれど、ミステリ要素も含んでいて、面白かった。「妻への三通の告白」構造としては面白い。まず最初に三通目の手紙があって、次が二通目で、最後に一通目の手紙。当然、一通目の手紙には様々な謎への解答が書いてあるわけだけど、そのパワーが弱い。前二作が良かったものだけに、やや残念。「獣の記憶」は序盤が退屈だったが、最後の解決編および最後の一行の攻撃力が絶大。なるほどなるほど、そう来たかと。

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